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双棍のトラベラー  作者: コルミ
町での生活 2
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作戦会議

「気は済みましたか?」

「あぁ。もう二度としない」


 サニアの確認に強い意思で答えるカルドラ。

 カルドラがふっ飛ばされた後、クオーツサラマンダーはのそのそと川へ入って行き、結局逃げられてしまった。

 カルドラは身体強化を使い川を跳び越えて2人の所へ戻ってきた。幸い怪我はなかった。


「でも、ある意味良い確認だったかもしれませんね。私もまさかクオーツサラマンダーがあんなに器用に魔法を使えるとは思ってませんでした」

「おれは怪我とかが無い状態でまともに攻撃を貰ったの数年ぶりだよ…。かなりショックだ…」


 カルドラが貰った魔法はウォーター・レイ。昨日からサニアが注意を促していた魔法だ。

 今まで感覚加速という特殊技能(スキル)を駆使して人間離れした回避を続けてきたカルドラだったが、さすがの彼も死角からの攻撃には対応できなかったようだ。


「高速で接近するカルさんの足元から的確に水を噴射。空中へ持ち上げて警戒範囲外までふっ飛ばす。この事実から、彼らが相当高い空間認識能力を持っているのがわかります。でなければわざわざ足元からなんて選択をしません」

「あの無防備な顔に騙されちゃいかんということか…」

「昨日の猫ちゃんもそうでしたね」

「おれは猫と同レベルだったのか…」


 サニアの分析結果とアイーシャの突っ込みでへこむカルドラ。 

 そんな彼をスルーし、サニアは1つ確認をする。


「カルさん、アイーシャさん。解体受付の人は『目を潰してえぐれ』、と言っていたんですよね?」


 その質問にカルドラとアイーシャは顔を見合わせ、答える。


「はい。確かにそう言ってました」

「一字一句間違いないはずだ」


 サニアが少し考えてから口を開く。


「…もしかしたら、"視界を奪ってから攻撃しろ"、と伝えたかったのでは…? あのレベルの空間認識能力を持っている生き物にまともに攻撃が当たるとは思えません。ましてあんなに小さな目を狙い撃ちするなんて…。まずはあの空間認識能力を阻害しないと」


 カルドラとアイーシャの目が点になる。

 そしてカルドラが膝から崩れ落ち両手で地面を叩く。


「くそっ…! あのおっさん…! 大雑把なのは態度だけにしてくれ…!」

「サニアさんが一緒に来てくれてよかったです…。きっと私たちだけじゃその事実に辿り着けませんでした…」


 アイーシャに感謝され、ハハハ…と苦笑いをするサニア。

 そしてカルドラが立ち上がり、次の作戦を考え始める。


「さてどうする? 視界を奪うって言ってもおれはそんなことできないぞ?」

「私も無理です…」

「視界を奪う"だけ"なら私ができます」

「「え?」」


 できるというサニアの言葉にカルドラとアイーシャの反応が被る。

 その反応を見て少し笑いながらサニアが説明する。


「"フォグ"という魔法があって…。濃霧を作る水魔法なんですけど、問題もあります」

「問題?」


 アイーシャが首を傾げる。


「実際見た方が早いですね。これがフォグです」


 そう言って大杖を地面にトンッと突いて魔法陣を展開し、フォグを発動するサニア。

 すると魔法陣からもくもくと白煙が広がり始め、3人を包んでいく。

 あっという間に周囲が見えなくなってしまった。


「何も見えないですー…」

「これは…すごいな…」


 もはやお互いの顔すら認識できない。

 そしてカルドラが納得する。


「確かにこれは問題だな。これじゃおれたちも攻撃できない」

「そうなんです。どうしましょう…」


 サニアの言葉通り、本当に視界を奪う"だけ"。その後どうすればいいか全くわからない。

 とりあえずこのままでは何も見えないので「ウィンド」と詠唱して風を作り、濃霧を吹き飛ばすサニア。

 そして首を横に振りながら話し始める。


「自分で言っておいてなんですが、この魔法はだめですね。今の状況に合いません」

「んー、でもそうすると本当に手段が無いぞ。…一回最初に言ってた作戦でやってみるか? 死角からの魔法に気を付ければなんとかならないかな」

「そうですね…。それでうまくいけばそれが一番ですし――」


 カルドラとサニアが話し合っていると、アイーシャが無言で手を上げる。

 それに気づきサニアが発言を止め、それを確認したアイーシャがおずおずと話し始める。


「あの…、すごく子どもっぽい作戦を思いついてしまったのですが、聞いてもらえますか…」

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