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双棍のトラベラー  作者: コルミ
各々のやりたいこと
67/84

開けますよー?

 カルドラとサニアの部屋の前に移動したアイーシャと女将。まずはカルドラの部屋を開けることにした。

 その前に女将が一応の最終確認をする。


トントン

「すみませーん。起きてますかー? 扉開けますよー?」


 ………返事はない。

 2人は顔を見合わせ、マスターキーで扉を開ける。


キィ…

「失礼します」

「カルさーん?」


 部屋を見渡すと、ベッドの上でカルドラが寝息を立てていた。


「カルさん…、良かった…寝てただけでした」


 安堵するアイーシャ。その様子に女将も一安心だ。

 そしてアイーシャがカルドラを揺する。


「カルさーん? もうお昼ですよー? 起きないんですかー?」


 ゆっさゆっさ激しく揺すられ、カルドラが重い瞼を開ける。


「………う゛ぅぅ。…アイーシャ? …おはよう?」

「おはようございます。もうお昼ですけど…。どうしたんですか? どこか具合悪いです?」


 心配するアイーシャの言葉を聞きながら上体を起こし、自分の状態を確認する。


「…いや、体調は問題ない。強いて言えば筋肉痛がやばいくらいだ。心配してくれてありがとな」

「そうですか…、良かった…。いつも早起きのカルさんが起きてこないから心配しましたよ」


 その言葉をぼんやり聞きながら、カルドラは昨晩の事を話す。


「深夜まで剣の素振りしてて、ベッドに座ったところまでは覚えてる。きっとその後意識飛んだな」


 それを聞いた女将が「あぁそう言えば」と話し出す。


「夜の番をしてた旦那が、深夜にふらつきながら戻ってきた客がいてびっくりしたって言ってたわ。貴方のことだったのね」


 女将の言葉に「ご心配お掛けしました」と頭を下げるカルドラ。

 とりあえずカルドラの安否は確認できたので次はサニアだ。


「カルさん。実はサニアさんも起きてきません。これから様子を見てくるので、ちゃちゃっと身支度しててください」

「??? サニアも?」


 不思議がるカルドラを置いて2人はサニアの部屋へ。

 また女将が確認を取る。


「すみませーん。起きてますかー? ……開けますよー?」


 返事がないのでマスターキーを使い部屋の中へ。


「失礼します」

「サニアさーん?」


 部屋を見渡すと、ベッドの上で丸くなり、何とも幸せそうな表情で眠るサニアがいた。

 普段のしっかりした彼女からは想像もできない幼い少女のような寝顔を晒すサニア。もともとの美しい容姿も相まって、その光景はそのまま絵にして飾りたいくらいの神々しいものだった。

 アイーシャも女将もその光景に一瞬目を奪われてしまったが、アイーシャがすぐに目的を思い出し、気持良さそうに眠るサニアをやさしく揺する。


「サニアさん? お昼ですよー? ご飯食べに行きましょー?」


 するとサニアはもぞもぞと動き出し、とろんとした目でアイーシャを見る。


「あ…、おはようございます…。お昼ですか…? そうですね…朝ご飯食べないといけませんね………………お昼!????」


 がばっと飛び起きるサニア。窓の外を見ると日がサンサンと登り、まさにお昼。

 クスクス笑う女将とアイーシャ。そして女将が口を開く。


「ふふふ、2人とも何もなくて良かったよ。じゃ、私はカウンターに戻るから」


 そう言って部屋を出ていく女将にアイーシャが感謝を告げる。


「わざわざありがとうございました! 後でお礼しますね!」


 女将は「気にしないでー」と言いながらカウンターへ戻っていった。

 そして急いで身支度を進めるサニアにアイーシャが尋ねる。


「珍しいですね。サニアさんが寝坊するなんて。あ! もしかして昨日無理して監督してくれてたんですか!?」

「いえいえ違います! 寝坊は完全に個人的な理由です! アイーシャさんは何も悪くありません!」


 すぐに訂正を入れるサニア。そして理由を話し出す。


「昨日の魔剣覚えてます? あれの解析をしてたら楽しくなっちゃって、深夜まで作業してたんです…。そして魔法の3重付与のやり方がわかって、嬉しさと満足感に浸って眠ったので…。きっとそのせいですごく深い眠りに…」


 嬉しさと気まずさが入り混じった微妙な表情をするサニア。

 そんなサニアにアイーシャは微笑みながら声を掛ける。


「すごいじゃないですか。あの魔剣国宝級なんでしょう? 楽しみながら解析できちゃうなんて、さすがサニアさんです! でもいつも早起きのサニアさんが起きてこなくて心配しちゃいました。何もなくて良かったです」


 その言葉に「心配かけてごめんなさい」と頭を下げるサニア。

 そしてあっという間に身支度を終え2人で廊下に出ると、部屋の前にカルドラが待っていた。


「よ、おはよう。準備できたみたいだな。どこかで食事にしようぜ」


 笑顔で言うカルドラに賛同し、3人で昼時の町に繰り出す。

 そして筋肉痛で動きがぎこちないカルドラを2人でからかい、笑いながら飯屋を探すのだった。

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