鉱山の町のギルド
話がまとまり鍛冶屋を後にした3人はギルドの支部に向かっていた。タングスライトの入手についてはギルドを通した方が良いとのアドバイスを貰ったからだ。確かに勝手に採掘場に入り込んで掘るのはいろんなところから怒られそうな気がする。
ちなみに武器は「彫刻が気に入ったから研究したい」とバルドレンが言うのでひしゃげた1本だけ置いてきた。
「それにしてもすごい人でしたね」
サニアが呟く。概ね同意だ。
「あぁ。性格から技量まで…、満遍なくすごかったな…」
「建物の大きさの謎も解けて良かったですね」
少し元気を取り戻してきたアイーシャも会話に加わる。
「そうですね。まさか7割ほどが倉庫だとは思いませんでした」
そう。あの大きい建物はほとんどが倉庫だったのだ。
バルドレン曰く、「面白そうな素材を買い取ってたらいつ間にかこうなった」とのことだった。仕事以外はあまり気にしない根っからの職人なのだろう。
「ま、武器関連はあの人に任せておけば間違いないだろ。おれたちは素材の調達に集中しよう」
「そうですね」
「がんばりましょー!」
そんな話をしている間に3人はギルドに到着した。さっそく中に入り受付へ向かう。
がやがや がやがや がやがや
ギルドの中には複数の冒険者のパーティーが屯っていた。そのいくつかがサニアの容姿に釘付けになっている。
(どこに行っても視線を集めるな。さすがと言うべきか、気の毒と言うべきか…)
一般からは逸脱した美しい容姿を持つサニアだったが、彼女自身あまり目立つのが好きではないのを知っているため、こうやって注目を浴びてしまうのは少しかわいそうに思ってしまう。
いざとなったら助けに入らないと、と考えている間に受付に到着。ギルドカードを提示しつつ要件を伝える。
「すみません。タングスライトが欲しいのですが、それに準ずる依頼はありませんか?」
「はい。タングスライトの入手を満たせる依頼ですね。少々お待ちください」
そう言うと依頼書の束にパラパラと目を通していく受付嬢。
そしてすぐに1枚の依頼書を引き抜いた。
「お待たせしました。これなど如何でしょうか」
提示されたのは坑道の魔物退治の依頼。支払われる金額が少ない代わりにタングスライト鉱石が報酬に入っている。…いろいろ察した。
「これ、どれくらい放置されてる依頼なんですか…?」
「え!? えーと…2週間くらいですかね~???」
「なるほど?」
「(ニコニコ)」
冒険者の間では現金以外の報酬はあまり好まれない。なのでこのような依頼は放置されがちだ。
(対象の魔物はネズミ、コウモリ、ヘビなどなど。小物ばかりだから探すのも手間、しかもすばしっこい。こりゃ誰も受けないわな…)
しかしカルドラたちにとっては報酬にタングスライト鉱石が入っているのはうれしい。しかも場所が坑道なのでもしかすると自分たちでタングスライト鉱石を見つけることもできるかもしれない。
「ちなみに、依頼の途中での鉱石の採掘は何か規約に引っかかったりします?」
「えーと、本当はまずいんですが、あまり大掛かりじゃなければ黙認されてますね。片手に持てるくらいなら大丈夫です」
「なるほど」
一応2人に確認を取る。
「アイーシャ、サニア、これどう思う? 個人的には有りだ」
「はい。異論ありません」
「私もです!」
確認が取れたので受付嬢に伝える。
「と、いうことなので、その依頼受けますね」
「! ありがとうございます! 助かりま――じゃなくてお気をつけて!」
「ふふ、ありがとうございます。じゃあ行ってきます」
余程この依頼に頭を悩ませていたのだろう。受付嬢はすごくうれしそうだ。
「ふふふ、あの人すごくうれしそうですね」
アイーシャがクスクス笑いながら話しかけてくる。
「あの内容だからなぁ。誰も受けてくれなくて悩んでたんだろ。まぁこれも一種の人助けだな」
「じゃあ早く終わらせてもっと喜ばせてあげましょう♪」
「そりゃ良い。明日は早めに出発だな」
「そうしましょう!」
ちょっとした善行で士気を上げる3人。
早く依頼を達成するため、早めに食事を済ませ、早めに宿に戻った。




