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双棍のトラベラー  作者: コルミ
信頼は積み重なるもので
36/80

明らかになる仕様

 その日の夜。

 3人で夕飯を食べ、食後にまったりお茶を飲んでいると、サニアが魔法陣解析についての進捗を報告し始めた。


「カルさん。魔法陣について新たな事実が発覚したので、それの報告をしますね」

「え? まだなにかあるのか? おれの魔法陣どんだけ情報が詰まってるんだよ…」


 まさかの情報追加に遠い目をするカルドラ。しかし意外なことにサニアの表情は明るい。


「魔法の出力不足、解消できるかもしれません」

「え!?」

「そうなんですか!?」


 2人が驚く。先日の魔力路の障害の詳細を確認した時、魔法の出力は絶対に上げることができないと納得していたのでその情報は本当に驚きだった。


「カルさんの魔法陣は球体状の5層構造。この()()というのが少し引っかかってまして。それについて解析した結果。"層の1つ1つ"がリミッターの役割をしていることがわかりました」

「「???」」


 カルドラとアイーシャが同時に首傾げる。それを見てクスっと笑いながらサニアは続ける。


「わかりやすく層の役割を説明すると、1層目は魔法陣全体の制御を担当、2層目は8割魔力を通し、3層目は6割、4層目は4割、5層目は2割、という風に、外側に向かうほど魔力を通さないようになってるんです」

「えーと…、つまり?」

「層ごとのリミッターを解除できます」


 呆然とするカルドラ。まさかそんな機能まで備わっていたとは…。先代の森の魔導士のすごさを改めて実感する。


「あの…。それって解除しちゃって大丈夫なんですか? そのあと困るんじゃ…」


 アイーシャが心配そうに聞く。確かに解除した後に魔力が漏れ放題だと非常に困る。


「安心してください。このリミッターは扉のようなもので、扉が閉まっているときは小さな隙間から魔力が流れ、開いているときは魔力の流れを阻害しない作りになってます。解除というより"開放"ですね。そしてその開放と施錠はカルさんの意思で操作できるはずです。さらにもう1つわかったことがあって、魔力量が一定以下になると強制的にすべての層が施錠されるようになっています。つまりどんなに魔法を高出力で使ってもカルさんの命は保証されています」

「まじか…」


 魔法陣のあまりの完成度の高さに開いた口が塞がらなかった。

 つまり先代の森の魔導士は、日常生活ではしっかり魔力漏洩を防ぎつつ、魔法を使いたいときにも困らないように魔法陣を組んでくれていたのだ。


「カルさん。私も確認してみたいので、一番外側の5層目の開放を試してみましょう。私がカルさんをサポートしますので、開放の練習をしてみましょう」

「あ、あぁ! 頼むサニア!」


 そうしてカルドラのリミッター開放の練習が始まった。


「では魔力を同期させますね。手を失礼します」

「…わかった」


 サニアがカルドラの手をやさしく包み、カルドラと魔力を同期させていく。


(……3回目だけど、サニアが美人すぎて緊張する…。何回やっても慣れない…)


 心の中でちょっとした困りごとに頭を悩ませつつ、がんばって集中するカルドラ。

 そんなカルドラにサニアが声を掛ける。


「魔法陣を確認しました。ではカルさん、自分の魔力核の存在を強く意識してみてください。魔力核の周りに"何か"あるのを感じ取れませんか?」

「…ん-…」


 目を瞑り、自分の身体の奥深くに意識を集中してみる。魔力を感じ、その大元である魔力核を探す…。


「…! これか? 魔力の大元、その周りに…、確かに"何か"ある」


 その言葉にサニアがニコッと笑う。


「それがカルさんの魔法陣です。ではそれの層を感じてください。5層確認できるはずです」

「んー…」


 さらに集中する。そして朧気ながらに層の存在を認識できた。


「分かった、確かに5層ある。すごいな…。こんなにはっきり魔法陣の存在を感じるのは初めてだ…」


 今まで自分の命を繋いでくれていた魔法陣。それを身近に感じ、しばし感動する。


「ふふ、たぶんカルさんは魔法の才能ありますよ? こんなに早く魔力核を感じるところまで辿り着けるんですから」

「そうなのか?」

「はい。将来性ばっちりです。私が保証します♪」


 凄腕の魔導士に褒めて貰えて少し気恥ずかしくなる。


「では本題に行きましょう。カルさん、私が魔法陣の状態を視ているので、層の一番外側、5層目の扉を開けるイメージをしてみて貰っていいですか? おそらくそれで5層目を開放できるはずです」

「わかった。やってみる」


 少し真剣な声色になったサニアに言われ、5層目の扉を開けるイメージをしてみる。そしてサニアは魔法陣の動きに細心の注意を払う。


パキ… ギ… ギギ…


 魔法陣の最外層が軋み始める。まるで錆びた扉を少しづつ押し広げるように…。


(………)


 サニアがそれを注視し、全体に異常を来たさないかを見極める。

 そして…。


ギギギギギ…ブワアアアアアアア!!!


 魔法陣からさっきまでとは比べ物にならない量の魔力が溢れ始める。扉が開いた。

 それを確認したサニアはすぐに魔法陣全体を俯瞰(ふかん)する。


(……大丈夫、安定してる。よかった)


 ほっとするサニア。一方カルドラは今まで感じたことのない魔力量に困惑していた。


「サ、サニア…? めちゃくちゃ魔力を感じるんだが…これ…大丈夫なのか…?」


 その言葉にクスっと笑い、サニアは答える。


「大丈夫ですよ。むしろ今までが少なすぎたんです。それに今解放されてる魔力でも4割です。2層目まで開放したらその2.5倍ですよ?」

「……まじか…」


 言葉が続かないカルドラ。今まで魔法の出力の低さにはさんざん苦労させられてきた。それから解放される。その事実は、現在抱える魔法陣崩壊のリスクをも上回りカルドラを感動させた。


「さ、カルさん。このまま順番に扉を開けていきましょう。動作確認です。問題がありそうなら伝えます、その時はすぐに施錠してください」

「わかった。サニア、頼む」

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