肩を並べた先で
2日後の朝。5人が町の門に立つ。
「アルス、いろいろありがとな。おかげですぐに出発準備ができたよ。アルスたちはこれからどうするんだ?」
そう。本来は別の依頼で回収された魔石を受け取るためにはギルドといろいろやり取りをしなくてはならなかったのだが、アルスがギルドとのやり取りを仲介してくれたおかげでスムーズに魔石の受け取りを完了することができた。アルス様様である。
「僕らは一度、馬車で王都に戻るよ。しばらく帰ってないし、騎士団長に今回の詳細を"当事者の口で"説明する必要がありそうだからね」
「ふぅん…。やっぱり騎士は大変なんだな…」
率直な感想を述べるカルドラ。
そこにメイが釘を刺してくる。
「カル、アイーシャをしっかり見張っておきなさい。何仕出かすか分かったもんじゃないわ」
「わかってる。メイ、迷惑かけて本当にすまなかった」
「あーひどいです! 私だっていろいろ考えてるんですよ!?」
カルドラとメイのやり取りに不満を主張するアイーシャ。
そこにダンテも口を挟む。
「アイーシャ、カルをちゃんと見張っとけよ。こいつも何仕出かすか分かったもんじゃねぇ」
「なっ!?」
「まかせてください! しっかり見張っておきます!」
そんな微笑ましいやり取りを、クスクスと眺めていたアルス。
そしてカルドラとアイーシャに言葉を贈る。
「カル、アイーシャ。この数日本当に楽しかったよ。機会があればまた飲み交わそう。旅の無事を祈ってるよ」
「またな」
「元気でねー」
ダンテとメイもアルスに続く。
そんな騎士たちに2人は返す。
「ありがとう。おれたちも楽しかったよ。じゃ、そっちも元気でな」
「また会いましょー!」
そうしてカルドラとアイーシャは次の街を目指して旅立っていった。
そして少しずつ小さくなる2人を見送るアルスに、ダンテが声を掛ける。
「良かったのか? すんなり引き下がっちまって。相当気に入ってただろ、あの2人」
その言葉を聞き、二日前の夜の事を思い出す。
アルスの誘いを受けたカルドラは最初驚き、その後嬉しさと申し訳なさの入り混じった表情で誘いを断った。
その時の顔を思い出しながら、アルスは微笑みダンテに返す。
「あれで良かったのさ。彼らは自由に世界を旅をしてこそ輝く存在だよ。僕らもある程度自由を許されているけど、騎士であることに変わりはない。どうしても制約が付き纏うからね。それに、君も人の事言えないだろ? あんなに楽しそうに飲む君は初めて見たよ」
その言葉に、ふん、と顔を背けるダンテ。その姿にふふっと笑いながら、また2人の背中を見るアルス。
(また会おう。カル、アイーシャ。世界は広いが、繋がっているのだから)
その瞳には、2人の旅人を中心に広がる青空が映っていた。




