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双棍のトラベラー  作者: コルミ
肩を並べて
24/80

騎士の力

 アルスは走った。動きの鈍いオークは無視し、俊敏なオークはすれ違いざまに切り伏せる。そして大オークとの距離がどんどん縮まり、対象の周辺を確認できる距離まで来た。


(…! カル! やはり戦っていたか!)


 そこでやっと大オークと普通のオークに囲まれつつ、人間離れした動きで攻撃を躱し続けるカルドラを視認した。


(なんという身のこなしだ…! それが例の見切りというやつか…! だが、それでは…!)


 明らかに余裕がなかった。捕まるもの時間の問題だ。

 そしてそれはカルドラも感じていたらしく、彼は恐ろしい選択をする。さっきまでとは次元の違う威力の斬撃をオークに放ったのだ。


(!!! カル! 君はまさか!)


 アルスの予感は的中する。カルドラの攻撃が当たった瞬間、明らかにカルドラの動きが鈍ったのだ。だがすぐに立て直し2撃目を放つ。しかし今度は完全に動きが止まる。


(やはり特殊体質の力を…! くそ…! 間に合え!!!)


 走るアルス。まだ距離がある。

 その間、カルドラは攻撃にさらされる。硬直したカルドラにオークのボディフックが迫る。そしてまたカルドラは恐ろしいことを仕出かす。カウンターを叩き込んだのだ。しかしそのせいでボディフックをまともに貰ってしまった。


(カル! 耐えろ! 今行く! 耐えてくれ!)


 吹っ飛ばされごろごろ転がるカルドラ。もはや動く力が無いらしい。微かに立ち上がろうとしているのはわかるが、身体が言うことを聞いていない。

 そんなカルドラに残りのオークが迫っていく。


(間に合え! 間に合ってくれ!)


 オークが拳を振り上げた。


「うおおおおおおお!!!」


バシィィン

「ピギ!?」


 今まさに拳を振り下ろそうとしていたオークに、アルス渾身のシールドバッシュが炸裂する。そしてすぐさま身を翻し、普通のオーク2匹の首を刎ねる。


ズパズパッ!

「「ピギィィ!?」」


 その斬撃の速さに2匹はまったく反応できず黒い(きり)となる。そして大オークが拳を振ってきたのを冷静に見極め、拳を盾で滑らせバランスを崩させる。その隙にシールドバッシュで転倒させたオークに止めをさし、体制を立て直そうとしている大オークの首にアルスの最大威力の剣技を放つ。


「光迅閃!!!」


…ヵ…


 小さな音がしたかと思えば次の瞬間大オークの首は落ち、黒い(きり)となって消えていく。音さえ置き去りにする超スピードの斬撃だった。

 そしてアルスはがくっと膝をつく。


「はぁっ! はぁっ! はぁっ! はぁっ! く、シールドバッシュからの連撃は…、さすがに無茶だったか…! しかし…! まだ止まるわけにはいかない…!」


 がくつく足をなんとか支え、カルドラの元へ近づく。


「カル…! 生きてるか…!? 返事をしてくれ…!」


 返事はない。ピクリとも動かない。


「…カル!」


 そう言ってカルドラを仰向けにし、心拍と呼吸を確認する。


「……………、……………、……………」


 呼吸している。なんとか生きているようだ。


(……良かった。一先ず安心だ。だが、早く回復させなければ今度こそ死んでしまう)


 アルスはカルドラがオークからボディフックを貰った部位に手を当てた。するとふわぁっとやさしく光り始める。


(あまり得意ではないが…、応急処置にはなるだろう。しかしゆっくりもしていられない。数分したら背負って防壁まで戻らなければ)

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