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双棍のトラベラー  作者: コルミ
肩を並べて
23/83

一線の見極め

「はあぁぁ!」

ズバァ

「ピギュィィ!」


 防壁入り口。アルスとダンテはひたすらに、ただひたすらにオークを切り続ける。


「うがああああ!!!」

ズバアアァァ

「ピギャァ!」


 しかしさすがに息が上がってきている。どこまで持つかはわからなかった。


「はぁっ! はぁっ! ダンテ! 気づいてるかい!?」

「はぁ! はぁ! あぁ! あのデカ物だろ!? でもどうしようもねぇぞ! こっちも手いっぱいだ! おりゃああ!」

ズバァァァ

「ピギイイ!」


 オークを切りながら1体の大きなオークの存在を確認し合う。そしてアルスは戦いながら観察し、気づいたことをダンテに話す。


「今外に見えるオークのほとんどは足を損傷し動きが鈍くなっている! おそらくカルがやってくれたんだろう! そしてきっと今、彼はあの大きなオークのところにいる!」

「あぁ!? まじかよ!? 大丈夫なのかあいつ!」


 ダンテが外をちらっと確認すると、確かにほとんどのオークが変な動きで鈍くなっていた。そしてその上で大オークに向かっていることに驚く。


「ダンテ! 今防壁内にいるオークを片付ければ、あとは鈍いオークだけになるはずだ! だから、この場を君に任せてもいいかい!?」

「……!」


 アルスはカルドラの加勢に行くつもりなのだろう。そしてこの場はダンテなら任せられると信頼している。

 騎士として、期待されたら応えないわけにはいかなかった。


「安心してさっさと行ってきやがれ! カルのやろうがどうなってるか分かったもんじゃねぇ!」

「ダンテ! ありがとう! まかせたよ!」


 そう言ってアルスはオークを切り伏せながらカルドラの元へ向かった。

 そして残ったオークたちの視線がすべてダンテに集中する。


「はぁ! はぁ! はぁ! さぁおまえら…! 楽しい楽しい延長戦の時間だ…! たっぷり楽しもうぜぇぇ!!!」


 ダンテは気力を振り絞り大剣を振り上げる。




ブォン

「くっ!」


ブオン

「うぉっ!」


ブゥン

「くそっ!」


 カルドラはオークたちの攻撃を紙一重で躱し続けていた。ギリギリすぎて腱を狙うこともできない。

 そして巨体に似合わず俊敏な大オークに翻弄され、周りのオークたちもじりじりとプレッシャーを掛けてくる。


「はぁ!」

ズバッ

「ピギ!」


(くそっ! 倒せない!)


 カルドラも刹那の隙をみて攻撃を加えてはいるが、ギリギリの刹那での攻撃故に急所には届かない。そもそもカルドラの攻撃力でオークを倒すには何回も急所へ攻撃を加えなければならない。

 これがカルドラの最大の弱点だ。

 身体強化の効果が弱いため、いくら特殊体質で補っても、攻撃力では常人には敵わない。常人と同じ攻撃力を求めれば、必ず身体が壊れる。

 そして今の状況でそれをやれば、やった瞬間に痛みで動きが鈍り、他のオークの餌食になる。

 ジリ貧だった。


(一旦引くか、だめだ! 後方がどうなってるかわからない! 下手したらこいつを連れていくことになる! でもこのままじゃ捕まる!)


 必死に考えるが、今のままではどうしようもなかった。

 そう、()()()()では…。


(……フーーーッ。覚悟を決めよう。一撃で倒せるように出力を上げて、デカ物以外を片付ける。おそらく腕が壊れるが、痛みによる硬直を最小限に抑えれば捕まることはないはずだ)


 ちらっと、数を確認する。


(デカ物の周りにいるのは6匹…、まずはこいつだ!)


 覚悟を決め、目の前の首に切りかかった。


ズバアァ

「ピギュ!」


 オークの首が落ち、黒い(きり)となり消え始める。しかし…。


ミシミシミシミシ…

「ぐぅっ!」


 右前腕の骨がしなり、ひびが走る。


(耐えろ…! あと5匹…!)


 硬直を最小限に身を翻し、次のオークへ切りかかる。


ズバァァ

「ピギイ!」


 2匹目も黒い(きり)となる。そして…。


メキッ

「ん゛ううぅっ!」


 しなりに耐え切れず右前腕の骨が折れた。動きが鈍る。

 そしてその硬直を見逃さず、オークの拳が迫る。


(!!!)


 咄嗟に左手の剣でカウンターを狙う。


ズバッ

「ピギュ!」


 仕留めた。しかしオークの拳が同時に突き刺さっていた。


ゴキッ

「ぐがああああ!!!」


 右腕でガードし直撃は避けたが衝撃が貫通し大ダメージを貰ってしまった。

 吹っ飛ばされ、ごろごろと転がる。


「……ぐっ!……ぐぅっ!……」


 必死に体制を立て直そうとするが、ダメージが大きすぎて身体が言うことを聞かなかった。そんなカルドラに残ったオークたちが迫る。


(……くそ…! 動け…! もう少し、こいつらの足止めを…! …ぅ…視界が…っ)


 オークが拳を振り上げる。


(………動け……、……だ…めだ……意識…が……)

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