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双棍のトラベラー  作者: コルミ
肩を並べて
21/86

籠城戦

 皆が武器を構える。そして、ソラが指し示した方向へ歩を進める。

 少しずつ森に近づき、草原と森の境近くまで来ると、森の入り口辺りに黒い(もや)を纏い立ち尽くすオークを発見した。


「黒い(もや)、魔物で間違いないね」


 生物としてのオークは森の奥に集落を形成し生活する臆病な種族だ。しかし臆病と言っても姿形は2メートルほどの太った豚顔の大男。それの魔物となると豚顔の巨漢が大暴れするという状態になるため、危険度はそれなりに高い。

 今回見つけたオークも黒い(もや)を纏っているため生物のオークではなく、淀んだ魔力から生まれた凶暴な魔物だ。


「くそ、微妙な角度で立ってやがるな。森の方向けよ」


 見つけたオークは何をするわけでもなく立ち尽くしているだけだが、ギリギリ草原を視界に入れて立っているため、今の位置からではこれ以上近づけなかった。


「仕方ない。少し迂回しよう」


 アルスが指示を出し、オークの視界外へ入ろうと移動を開始。

 しかしその瞬間、ぐりんとオークの首が5人の方を向いた。そして…。


「ピギイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイィィィィ!!!!!!!!」


 とてつもない音量で奇声をあげ始めた。


「ぐっ!」

「うるさーいっ!!!」


 あまりの音量に耳を塞ぐ5人。そして奇声をあげていたオークは声を出し終わると5人に向かって突進してくる。


「ピギャアア!」


 すぐに迎撃態勢に入る5人。


「来るよ皆! 備えて!」

「はっ! 不意打ちは失敗したが、あっちから来てくれるなら変わらねぇ!」


 前方のオークに集中する5人。しかしソラが慌てて声をあげ、アイーシャの後ろ髪を引っ張った。


「ピーーー!!! ピーーー!!!」

「いたたたたどうしたんですかソラちゃん痛いです…ってええええええ!???? 皆さん大変ですぅ!!!」


 ソラと一緒に慌てだすアイーシャ。


「どうしたアイーシャ! 何があった!?」

「草原にオークがいっぱい居ますー!!!」

「なに!??」


 草原を見ると、どこにこんなに隠れていたのかというほどのオークが、ひしめき合いながらこちらに向かってきている。さらに…。


「まずいね…! 森からもどんどん出てくる…!」


 前方の森からも多数のオークが5人目指して走ってくる。そして横からも…。

 完全に四方を大量のオークに囲まれてしまい、5人は退路を断たれてしまった。このままではあっという間にオークの波に飲み込まれてしまう。

 その時、ぐるっと周囲を見渡したカルドラが咄嗟に声を上げる。


「アイーシャ! 口の小さい窯みたいな形でプロテクションを展開できるか!?」

「え!? で、できますけどなんで…」

「すぐにおれの方を入り口にして、できるだけ大きく展開してくれ!!!」

「わ、わかりました! プロテクション!!!」


 アイーシャは指示通りに森方面に口を開けた巨大なドーム状のプロテクションを展開した。


「よし! メイ! プロテクションは中から外へは制限なく通過できる! 草原側は頼む!」

「!!! そういうことね! まかせて!!!」


 カルドラは一瞬の閃きで次々指示を飛ばす。そのおかげで草原側の防御態勢は整った。


「なるほど…! あとは僕らがこの入り口から入ってくるオークを順番に片付けていけば良いわけだね…!」

「そんで、1匹でもアイーシャのとこに通したらゲームオーバーってわけだ…!」

「そういうことだ…! 気張らないとな…!」


 3人で敗北条件を共有し、気合を入れる。

 するとすぐにオークたちが入り口に殺到し始めた。


(…! 入ってくる数が多すぎる…! これじゃすぐ押し切られる…!)


「おおりゃあああ!!!」

ズバァァァン

「ピギィィィ!」


「はあぁっ!!!」

ズババァァ

「ピギャアァァ!」


 アルスとダンテは次々にオークを葬り黒い(きり)に変えていく。

 しかし数が多すぎる。このままではすぐに突破され、後方のアイーシャがやられてしまう。

 おそらくメイもアイーシャを護るだけの余裕はない。アイーシャは自身を中心にカルドラたちが縦横無尽に動き回れるほど巨大な防壁を展開している。そのアイーシャの魔力が尽きる前にオークを殲滅しなければならないため、草原側への攻撃も手を抜くことができないからだ。


(危険だが…、やるしかない!)


 カルドラが覚悟を決め叫ぶ。


「アルス! ダンテ! 中を頼む! おれが()()()()()()()()()入ってくる量減らしてくる!」


 カルドラのとんでもない宣言にアルスとダンテは驚愕する。


「何を言っている!?? 無茶だ!!!」

「このままじゃすぐ押し切られる!!!」


 そう言い残しカルドラは1人、オークの大群の中へ消えていった。


「く…っ! 確かにジリ貧だが…!」

「いくらなんでも無謀だぞ…!」


 消えていったカルドラのことは気になるが、アルスとダンテも余裕はない。


「はぁぁぁ!!!」

ズバァァァ

「ピギイァァ!」


 目の前のオークをひたすら切り続ける。すると少しずつ…入り口から入ってくるオークが減ってきた。


「…おいおい、まじかよあいつ…!」

「有言実行とは…、恐れ入るね…」


 カルドラが外で何をやっているのかはわからないが、入ってくるオークの数は確実に減っている。


「これならいけるかも知れねぇなぁ!」

「うん! がんばろうか!!!」

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