情報共有
食事の後、一旦分かれたカルドラとアルスたち。
各自準備を整えてからギルドで落ち合い、共にオークが目撃されたという場所に向かっていた。
「今のうちに簡単に各個人の戦闘方法について共有しておこう。僕はロングソードと盾を使う攻守一体型の剣士だ。魔法は身体強化主体で、タイミングをみて攻撃魔法も使う」
「おれは大剣使いの重剣士だ。基本的にこの大剣一本で戦うが、相手によってはロングソードに持ち替える。魔法は身体強化と、あとは剣に魔力を纏わせたりするな」
「わたしは見ての通り魔術士ね。いろいろ使えるけど、火魔法中心に使うからあんまり私の前うろちょろしないように」
騎士たちが次々に情報をくれる。すごくバランスが良さそうな構成だ。
カルドラたちも続いて情報を出す。
「おれは棍棒とショートソードを使い分ける双剣使い。特殊技能として景色をゆっくり認識できるから見切りがうまい。あとここからは説明がややこしくなるからそういうものだと思って聞いてくれ。筋肉の力を千切れるまで引き出せる。初級回復魔法と身体強化は使えるが出力は常人の3割。以上だ」
「私は回復魔法全般と防御魔法を使えます。攻撃はできないのでそこはすみません」
カルドラたちの情報を聞き終えた騎士たちが顔を見合わせる。そしてアルスが尋ねてくる。
「一つだけ聞かせてくれ。千切れるまで引き出せる、というのはどういう意味だい?」
「そのままの意味だよ。人が無意識にセーブしている筋力の領域、おれはそれを意識的に使える。筋肉が千切れるまでね。特殊体質ってやつだよ」
むぅ…とダンテが唸っている。そして聞いてきた。
「おまえそれ…、かなり苦労したんじゃないか?」
「まぁね。子どもの頃はぶちぶち切れてた」
うひぃ~、というような渋い顔をするダンテ。
「うん。カルドラが生半可な覚悟で旅をしているわけじゃないことは良く分かったよ」
アルスも頷く。
「世界を回るのが夢だったからな。そりゃ必死に訓練したさ。あー、あとおれのことは"カル"でいいよ。皆そう呼んでた」
「了解した、カル。ふふ、雑談していたらもう着いてしまった。この辺りが目撃地点だね」
アルスがそう言うと辺りを見渡し始める。
ここは街道から少し外れたところにある木が少ない開けた場所だ。草は生えているが皆背が低く、とても見晴らしが良い。
「遠くまでよく見えるな。こりゃ骨が折れるぞ」
ダンテが右手で頭を抱える。もし対象が魔物ではない普通のオークだった場合、おそらくこちらの存在を気づかれた時点で逃げられてしまう。この見晴らしの良さは致命的だった。
「う~ん…。ソラ、頼めるか?」
「ピッ!」
カルドラがソラに聞くと、ソラはぴゅーっと上空に舞い上がっていった。
それを見上げる5人。
「彼はカルが使役しているのかい?」
アルスが聞く。
「使役なんてしてないよ。ソラはおれの"家族"だ」
「フッ、そうか」
カルドラの返答に、アルスが微笑む。
それを見たカルドラは不意に思う。
(すごいな今の。たぶん他のやつがやったらとんでもなくキザッぽかったぞ。こいつは様になっている。これがイケメンというやつか)
ひどく失礼なことを考えているとソラが下りてきた。
「ピー!」
「お帰りソラ。どうだった?」
「ピッ! ピッピー!」
森の方を視線で示し、その後武器をぺしぺし叩き始めた。
(武器を持て、ってことか)
読み取ったソラの意図をアルスに伝える。
「アルス、対象はたぶん魔物だ。武器の準備を」
「…なるほど。了解した」




