興味があります
「こんにちは。君も無事に目が覚めたみたいだね。よかったよかった」
「あ! 昨日の騎士様!」
「ん???」
(昨日の騎士様? おれが寝てる時の話か?)
状況を簡単に想像する。すると騎士様?が自己紹介を始めた。
「僕はアルス。王宮騎士団特殊部隊の隊長をしている。隣の彼は同じく特殊部隊のダンテ。そこの彼女は王宮魔術士団だけど、同じ特殊部隊の仲間のメイ。よろしくね」
「よろしくな」
「よっろしくー」
一緒に居た2人の紹介もまとめてしてくれた。全員王都の騎士団の関係者らしい。
なぜ騎士が?という疑問はあるが、こちらも自己紹介をしなければ失礼に当たる。
出来るだけ丁寧に自己紹介することにした。
「初めまして、騎士様。私は一介のトラベラー、カルドラと申します」
「私は神官、アイーシャと申します。昨日はあのような対応となってしまい失礼致しました」
アイーシャが別人のような自己紹介をしているのに驚く。
(そういえば腕相撲の時も別人のような雰囲気になってたなぁ。切り替えがうまいことで)
そう思っているとアルスがクスクス笑いながら訂正を入れてくる。
「そんなに畏まらないでくれ。特にアイーシャ。昨日僕に畏まるなと言ったのは君じゃないか」
アイーシャを見ると、そうでしたかねー?みたいな顔をしている。カルドラの頭の中でクエスチョンマークが踊る。
「それにしてもこんなところで会えるなんてね。話をするのに持って来いじゃないか。アイーシャに伝言を頼んだのが無駄になってしまったね」
伝言…、という言葉を聞きアイーシャを見ると、ふぃっと目を逸らされた。
忘れていたようだ。
「あの、もしかしておれに用があるんですか?」
カルドラは話の流れから、自分に何か用がある?と推測し、聞いてみた。
「カルドラ、君も敬語は不要だよ。たぶん歳もそう変わらないからね。僕は19だし、そこのダンテは20だ。そして用はある。オーガの魔物についての話を"君の口から"聞いてみたかったんだ。昨日訪ねたら君は寝ていたからね。ここで会えて本当に幸運だよ」
(なるほど。おれたちがオーガの魔物と戦闘したのを兵士から聞いて、そのときの状況を確認したかったわけだ。さすが騎士、仕事熱心だね)
「騎士様がそう言うなら遠慮なく普通に喋らせてもらうよ。あ、おれは18ね。でもオーガの魔物の話って言っても、おれたちは必死に逃げてきただけだぞ?」
思っていることを素直に伝えてみる。するとアルスは更に突っ込んで聞いてくる。
「あの両足の腱、どうやって切断したんだい? その辺を詳しく聞きたいんだ」
「どうやってって…。ギリギリで避けて、近づいて切って、避けて、切って、その繰り返しだよ。何も変わったことはしてないぞ?」
「……なるほどね」
真剣な顔で何か考えているアルス。いったい何が気になるというのか。カルドラは不思議がる。
するとアイーシャが「あっ」と声をあげる。
「腱のこと知ってるってことはあのオーガと会敵したってことですよね!? 大丈夫だったんですか!?」
「あ! 確かに! 大丈夫だったのか!?」
その言葉に少し驚くアルス。オーガがどうなったかではなく、アルスたちが大丈夫だったのかを真っ先に心配してきた。
ふふ、と笑いながらアルスは答える。
「心配してくれてありがとう。でも問題ないよ、僕たちがオーガを見つけた時にはすでに勝負は終わっていたんだ。僕たちはただ後処理をしただけ…。終わらせたのは君だよ、カルドラ。」
「え???」
不思議そうな顔をするカルドラ。
そんなカルドラに、尚も楽しそうに笑いながらアルスは言う。
「俄然君たちに興味が出てきたよ。僕たちはこれからある仕事をする予定なんだけど、良かったら一緒に行かないか? 報酬は弾むよ?」
「仕事?」
「そう、仕事だ」
まさかの騎士たちと合同での仕事の誘いである。
「この町の近くで数頭のオークの目撃情報があって、それの事実確認、及び殲滅だ。もうちょっと詳しく言うと、オークがいるのかを確認。いたら町に近づかないように説得。もし魔物だった場合は殲滅。こんな感じだよ」
「なるほど」
「ちなみに報酬の件だけど、僕たち騎士は王都からの支給金で活動しているんだ。だからこの仕事での報酬はすべてそちらに流す。悪くないだろ?」
「なに!??」
悪くないどころか破格だった。魔物相手に戦闘する可能性はあるが、その場合でも騎士と一緒に戦闘できる。その上で報酬は全てカルドラたちが貰える。つまり普通ではありえない低リスクで多くの報酬が手に入るチャンス。
ちらっとアイーシャをみる。アイーシャは相変わらずぽけーっとしている。
(少なからず戦闘の可能性があるのが気になるが、今回は騎士が一緒だ。戦闘の負担はある程度本職が担ってくれるはず。なにより報酬がうますぎる。やらない手はない!)
考えがまとまり返事をする。
「その仕事、やるよ」
それを聞くとアルスはニコっと笑う。
「ではギルドには僕が話を通しておくよ。君たちの準備ができ次第出発だ。それでいいかい?」
「あぁ、それで大丈夫だ。よろしく頼む」
「こちらこそ」
握手を交わし、契約成立だ。
「よし。じゃあとりあえず食事にしよう。準備はそれからだ」
アルスはそう言うと、ウェイトレスを捕まえて注文をし始めた。




