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双棍のトラベラー  作者: コルミ
後処理のあれこれ
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ご対面

 そのまましばらく歩き続ける4人。

 森を進み、山の斜面を登っていると周りの木々がだんだん少なくなってくる。それを確認し、昨日ソラに案内された道を思い出しながら周りを見渡すカルドラ。

 すると遠くから白い塊が飛んで来た。ソラだ。


「ピー!」

「おーソラ! やっぱりこっちにいたか!」


 頭に乗っかるソラを器用に撫でるカルドラ。ソラも嬉しそうである。

 エルミアはソラを始めて見るので「ハネトカゲ?」と呟き首を傾げている。

 そんな彼女にサニアが「あの子はですね――」と軽く説明し始める。


「ソラ。実はアイーシャとサニアと、このエルミアって人をあのドラゴンに会わせたいんだけど大丈夫かな?」

「ピ?」


 カルドラの言葉を聞き、ソラは飛んで来た方向を向いて少し固まり、そしてすぐにカルドラに向き直って頷いてみせる。連れて行って大丈夫ということらしい。


「サンキューソラ。ここから道案内してもらって良いか? 正直迷いそうだ」

「ピー!」


 ソラはパタパタとカルドラの前を飛び誘導を開始。4人はソラについていく。

 そしてまたしばらく歩くと斜面に窪地が現れ、ソラがその中に入って行く。

 カルドラはその窪地に入る前に一旦立ち止まり、3人に注意を促す。


「この窪地に入ると、何て言うか…すごい違和感を感じると思う。気持ちの準備だけしといてくれ」

「え? どんな違和感ですか?」

「ぞわぁっとくる感じ」


 アイーシャの質問に何とも言えない返答をするカルドラ。

 そして彼が窪地に足を踏み入れる。すると…。


す…

「!??? 消えた!???」


 なんとカルドラが消えてしまった。


「ん? そっちからはおれが見えない感じか?」


 しかしカルドラの声はちゃんと聞こえてくる。そして瞬きした次の瞬間、消えたかと思ったカルドラはちゃんとそこに確認できた。


「あ…いえ、消えてません…。あれ? 今の何ですか???」


 目の前で起こった謎の現象にアイーシャが混乱している。


「なるほど…。これが一昨日言ってた"認識阻害の結界魔法"ですか…。恐ろしいですね…」


 サニアが冷や汗まじりに呟く。魔導士目線ではこの結界はとんでもないものらしい。


「…とりあえず行きましょう。立ち止まってても仕方ありません」

「そうですね…」


 意を決して3人は窪地に入る。


ぞわぁ

「「「!!!!!」」」


 なんとも言えない感覚に全身に鳥肌が立つ。なにかをすり抜けたような、そんな感じだった。

 そして窪地内は凄まじい重圧で満ちている。明らかに異常な空間だった。


「うん、最初はやっぱりそうなるよな…」


 先に入って待っていたカルドラがうんうんと頷いている。


「こ、この重圧は…、ドラゴンのものですか…?」


 サニアが声を絞り出し、カルドラが答える。


「そ。最初は苦しいだろうけど少しすれば慣れるよ。さ、行こうか」


 そう言ってカルドラが歩き出す。3人はゆっくりその後をついていく。

 少し歩くと窪地の中心あたりに辿り着いた。

 そしてカルドラが"何もない"空間に向かって話し始めた。


「よお。入れてくれてありがとな。今日は仲間を連れてきたよ」

「ピー!」

「え? カルさん、どうしたんですか?」


 カルドラの奇行にアイーシャが心配になり声を掛ける。するとその時…。


(………………………。……………)

「「「っ!????」」」


 どこからともなく思念が飛んで来た。しかもなぜか意味が理解できる。(よく来たな人の子よ。歓迎するぞ)と言っているようだ。

 ものすごくもやもやする感覚だ。しかしそんな感覚はすぐにどうでもよくなった。


「「「!!!!!!」」」


 さっきまで"何もない"と思っていた空間に巨大なドラゴンが寝そべっていたのだ。その衝撃にカルドラ以外の3人の思考が完全にストップする。

 そしてそんな3人を余所にカルドラはドラゴンと会話を始める。


「なんとかダンジョンは破壊できたよ。マナ?の停滞は解消したか?」

(うむ。魔力(マナ)の停滞は解消されたぞ。すばらしい仕事の速さよ。はっはっはっ!)


 ドラゴンの表情は少しにぃっと笑っているように見える。しかし思念では大笑いしている。ギャップがすごい。


「そりゃ良かった。がんばった甲斐があるよ。そうだ。麓の町の人を連れてきたんだけど大丈夫だったか? 魔族云々の話をするのにあんたの存在を確認してもらわなきゃならなかったんだけどさ」

(あぁ構わぬよ。隠れているのは無駄にわらわら集まられるのがうっとおしいからだからな。少数なら別に隠れることも無い)

「そうか。良かった」


 ドラゴンの返答に一安心のカルドラ。一昨日にたっぷり語り合ってドラゴンの性格を把握していたので大丈夫だとは思っていたが、万が一もあるので心配はしていたのだ。気にしてなくて良かったと安堵する。 


(その3人が町の子か?)

「あ、2人はおれと旅をしてる仲間だよ。町の人はこの人」

「あ! 私はアイーシャといいます!」

「さ、サニアです」

「え、あ、エルミアです!」

(うむ。そうかそうか)


 ドラゴンの質問から唐突に自己紹介が始まる。ドラゴンは満足そうに笑っている。

 しかしここでカルドラはあることに気づいた。


「……今更だけど、おれはカルドラっていいます…」

「ちょっ! カルさん自己紹介してなかったんですか!? 不敬にも程がありますよ!」


 そう。カルドラは自己紹介をしないまま"環境の守護神様"と雑談を楽しんでいたのだ。

 神官のアイーシャから見たらとんでもない不敬行為だった。


(はっはっはっはっ! よいよい! 龍族はあまり名を名乗らぬゆえ我も名乗っておらんかったしな! ついでだ、我も名乗っておこう。我が名はヴァルクス=グラン=オル・カストディアという。まぁ別に覚えなくともよいぞ。はっはっはっ!)


 豪快に笑うドラゴン。楽しそうである。やはりこのドラゴン、見た目と違いとても愉快な性格をしている。

 この性格だからこそカルドラも一昨日存分に語り合うことができたのだ。

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