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双棍のトラベラー  作者: コルミ
後処理のあれこれ
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情報の篩い分け

 そんな彼らに見守られ(?)、アイーシャは3つ目…4つ目と浄化していく。


「ピュリフィケーション!」


 そして他の山の浄化中に完成した5つ目の魔石の山の浄化に取り掛かるアイーシャ。

 その光景を少し遠くから眺める人影が2つ。


「……相変わらずめちゃくちゃやってんなぁ」

「でもああいう光景を見ると逆に安心感がありますよね。あぁ、アイーシャさんだ…って」


 カルドラとサニアである。

 先ほど2人同時に目覚め、テントの番をしていた兵士にアイーシャの居場所を教えて貰い移動してきたのだ。

 そして浄化が終わるタイミングで魔石の山の近くに到着した。


「……はい! 浄化完了です! 他にはありませんか!? まだまだいけますよ~!」

「いくな! 周りの方々の心に回復する時間をやれ!」


 やる気満々のアイーシャに突っ込みを入れるカルドラ。

 エルミアと兵士の瞳はすでに光を失っていた。精神的に少し休ませてあげないといけない。


「あ! カルさんおはようございま――サニアさん!!!」


 カルドラの隣にいたサニアを発見するや否や彼女に抱き着くアイーシャ。その目には涙が浮かぶ。


「無事でよかったです…。死んじゃったかと思ったんですからね…」

「心配させてしまってすみませんでした。この通り元気ですよ」

「サニアさぁぁぁん…」


 ぎゅうぅっと抱きしめるアイーシャ。先ほど寝ているサニアを気遣って我慢した分、今存分に彼女の存在を噛みしめる。

 サニアはそんなアイーシャをやさしく抱き返し、頭を撫でる。

 サニアもアイーシャを残して先に気を失ってしまったため、その後アイーシャはどうなったのか心配していた。先ほどのいつも通り(?)のアイーシャを見て本当に安心したのだ。

 2人は少しの間、共に生き残れた喜びを噛みしめ合うのだった。


 そんな2人の心温まる光景を眺めることで、先ほどの異常な光景(浄化)で負った精神ダメージが緩和され、エルミアと兵士の瞳に光が戻った。

 そして兵士がカルドラに話掛ける。


「君も無事に目覚めたようで何よりだ。身体は大丈夫かい? 肉体的には君が一番ダメージを負っていたが…」

「介抱してくれてありがとうございました。ダメージは問題ありません。急所を外すように捌いたので全てかすり傷です」

「かすり傷…ねぇ…」


 ちらっとカルドラのぼろぼろの服装を見る兵士。

 彼の言う通り、確かに急所には攻撃を貰っていないようだった。しかし所々服は千切れ出血痕も残っている。"かすり傷"と言うには少々出血が多い気がする。

 まぁ怪我自体は他の兵士が回復魔法で治療してあるので、かすり傷うんぬんはあまり突っ込まない方がいいだろうと考える兵士。


「うん…まぁ…、大丈夫なら良かったよ。体調に問題がないならこれからダンジョンの話を聞きたいんだが良いか? そこの神官のお嬢さんからも話は聞いたが、君視点での話も聞きたいんだ。特に"ドラゴンの魔物"との戦闘については詳しく聞かせて貰いたい」

「なるほど…。わかりました、お話しま――」

「待ってください」


 カルドラが同意しようとするとエルミアが口を挟んだ。


「カルドラ様とサニア様は目覚めてから食事を取りましたか?」

「……いえ。そう言えば腹減ったな…」


 目覚めてからすぐにここに来たので何かを食べるという考えすらなかった。

 思い返せばダンジョンに入ってから何も食べていないことに気がつく。


「アイーシャ様に聞きましたがダンジョンに入ってから何も口にしてないんですよね? そろそろ丸1日です。お二人は何か食べてください。兵士様、話を聞くのはその後でよろしいですね?」

「……そうだな。少し焦っていたようだ。失礼した」


 兵士に釘を刺すエルミア。

 その言葉に兵士が申し訳なさそうな表情で謝罪した。


「いえ、気にしないでください。おれも気がついてませんでしたから。……そういえば何故ここにギルドの受付さんが?」


 ここにいるはずのない人物の存在に疑問が湧くカルドラ。


「ギルドマスターからダンジョン攻略者の話を直接聞いてくるように言われ――」

「エルミアさんは私たちが心配で来てくれたんですよ!」


 事務的に説明しようとしたエルミアを遮るようにアイーシャが割り込んだ。


「あら、そうなんですね。えーと、エルミアさんというお名前なんですね。心配してくれてありがとうございます」


 アイーシャの言葉を聞きサニアも受付さんの名前を把握、そしてお礼を言う。

 エルミアは顔を赤くして俯いてしまった。


 その後カルドラとサニアは軽く食事を取り始める。

 そこでアイーシャが小声で「(サニアさん。一応今、ブリザードのことは伏せてあります。どうするかの判断は任せます)」と報告。

 それに対しサニアは「(ありがとございました。助かります)」と返答。やはり一般に知られるのはまずい魔法だったのかとアイーシャは冷や汗をかいた。


 そしてエルミアとの自己紹介も改めて済ませ、兵士も交えダンジョンの報告を始める。

 大まかにはアイーシャの報告と同じ内容だが、より詳細な情報が出たのはダンジョンコア周りの考察と、ドラゴンの魔物との戦闘の話だ。

 まずサニアがダンジョンコアが龍脈の末端の魔力を使って魔物を大量生産していたのではないかという考察を話す。普通のダンジョンは魔物を生み出し続け魔力を消耗すると一時休眠状態に入る。しかしこのダンジョンは龍脈と繋がっていたため無尽蔵に魔物を生み出せていたのだろうとのことだ。


 そしてカルドラのドラゴンの魔物との戦闘の話に移る。明らかに"思考"していて自身の凶暴性を制御していたこと。周りの魔物を容赦なく排除したこと。おそらく身体強化を使っていたこと。戦闘を楽しんでいただろうこと。思いつく限り多くの情報を話した。

 最後はサニアに交代し、"ドラゴンブレス"の話をする。もしまともに食らえば骨も残さず消滅するであろうこと。アイーシャとサニアが生き残れたのは2人とも常人より魔力量が多いことに加え、アイーシャの防御魔法が常識外れの強度を有しているからだということ。自分たちの魔力量の詳細は伏せたままドラゴンブレスの脅威を伝えた。


 もう1つ、魔族関係の話もあったのだが、それを説明するには鉱山のドラゴンの話もしなければならない。彼の存在を公にすれば間違いなく町は大混乱になる。そのためそれはギルドと兵士のトップ"だけ"に話した方が良いと判断し、この場では魔族関係の話は伏せることにした。

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