アイーシャの魔法とカルドラの特殊技能
「まずさっきの質問の返答ですが、プロテクションは外部からの干渉を、物理、魔力問わずに完全に遮断する防御魔法です。形もある程度操作できます。さっきはドーム状に展開しましたが、板状に展開することも可能です」
「へぇ、すごいな」
先ほどの魔物の攻撃を前に余裕そうだったのは、この"完全遮断"という自信があるからだったらしい。
「ただし、一度展開するとその場所からは一切動かせません。展開中も常時魔力を消費しているので、長期戦になったら不利かもしれません。あ、外からは防壁内部には入れませんけど、中から外へは普通に通れるので気を付けてくださいね」
「了解した」
弱点から細かい注意までしっかり共有してくれた。
(頭は良いんだよなアイーシャは。行動がイカれてるだけで…)
心の中で褒めながら失礼なことを考えるカルドラ。
「プロテクションについてはこんな感じですね…。その他に戦闘に関係しそうなのは…、回復関係の魔法はだいたい網羅してます。毒、麻痺などにも対応可能です。その時は頼ってください」
「さすが神官。頼りにさせて貰います」
「ふふ、おまかせあれ♪ あーでも、私攻撃は全然ダメなので…、そっち方面は頼らせてくださいね! 私からは以上です!」
アイーシャから十分すぎるほどの情報が共有された。ざっくりまとめると、防御と回復に特化した後方支援職、というところだろう。
「ありがとなアイーシャ。じゃ今度はおれの番。おれは棍棒とショートソードを使い分ける双剣使いだ」
「あーそれ聞きたかったんです! その背中の武器、てっきり鞘に入った剣なのかと思ってたらそのまま殴りかかっていくんですもん! びっくりしましたよ!」
そう。カルドラが携えている武器は一見すると円柱の鞘に入ったショートソード。だが実は刃部分がすべて鋼の棒という歴とした棍棒なのだ。
「これの方がおれの特殊体質を生かせるんだ。でもちゃんと剣も持ってるぞ? ほら」
そう言って"ポケット"という収納魔法から2本のショートソードを取り出して見せる。
ポケットはこの世界のほとんどの人が使える汎用生活魔法だ。100リットルほどの物を収納することができる。
「ほへぇ~。武器4本持ちとは豪華ですね!」
「普段は棍棒で対応してるんだ。手入れとか…いろいろ楽だからな。じゃ話の続きするぞ? 戦闘スタイルは特殊体質と身体強化を組み合わせた高速回避型。あと魔法じゃなくて特殊技能だけど、自分の"感覚を加速"させることができる」
カルドラが更なる情報を出し始めた。
「"感覚を加速"???」
「そ。おれも親父に言われて初めて気が付いたんだけど。なんかおれ、集中すると景色を"ゆっくり認識"できるみたいなんだ。だから結構ぎりぎりでも落ち着いて回避できたりする。まぁかっこいい言い方をすると"見切り"ってやつだな」
「そうなんですね…。あの…、お願いですから無茶はしないでくださいね? 貴方の特殊体質の件といい、カルさんはそういう"気"がありますので…」
アイーシャが心配そうに確認する。
(なるべくこういう顔はさせないようにしないとな…。まぁあと一つの情報は絶対共有しないといけないから、その後からになるけど…)




