では十連ガチャを実施します
「あれ? これも召喚カードかな」
ログインボーナスで降ってきたアイテムの中には、またしても見慣れないカードが落ちていた。今度は人が歩いているような絵柄だけど。
『自動周回カードになります』
「自動周回?」
自動周回という単語が突然出てきて、またしても俺の頭は?マークでいっぱい。
『自動周回カードとは、以前クリアしたダンジョンの階層を、一定時間自らの分身が周回することにより、経験値や報酬を獲得できるカードです』
「分身……って!?」
『これは分身としか表現できませんが。周回中に景虎様の身に危険が及ぶことはありませんので、ご安心ください』
ご安心を……って言われてもなぁ。よく分からない話しすぎて、ちょっとついていけない自分がいる。
「まあ、とりあえずそれはいいとして、後のはなんだろ?」
『ヒール薬三個と煙玉、麻痺治癒薬にラウンドシールドです』
「煙玉って、もしかして使うと煙出るってこと?」
『はい。敵の目眩しとして有効です』
「なんでもあるんだなー」
たった一日でこんなにアイテム貰っちゃって良いんだろうか。
『次の探索では、昨日よりもより深い階層まで到達できるでしょう』
「この装備ならいけそうだな。じゃあまた行ってみるか。ってか、ガチャチケットもあるのか」
召喚カードが引けるガチャチケットも手に入ったので、とりあえず使ってみる。
『今回配布されたのは十連チケットになります』
「え? 十回ガチャできるの? やってみたい」
『はい。では十連ガチャを実施します』
ずっと単発ガチャが続くと思ってたのでビックリ。
ミリアが呟いた後、またしても宇宙空間が六畳の部屋に広がり、俺は呆気に取られてそれを見守っていた。
「あれ?」
ところが、気になる現象が一つ。
今回は宇宙空間にチラチラと金色の光が漂っているのだ。これは一体?
そう考えている矢先、次々とガチャが回っていく。ゴブリンとかヒールバードとか、以前手に入っているモンスターカードもあったが、知らない顔もちらほら。
そういえばだけど、昨日のミッション達成で三枚召喚カードを手に入れていたが、同じものが被っちゃっていた。
ミッション達成の時、ゴブリン(棍棒)を一枚、ヒールバードを一枚、それからブラウニーってモンスターを一枚ゲットしていたが、どれも今回のガチャに登場してる。
「うおおおおお!?」
ちょっぴり興奮しつつガチャを眺めていた俺は、最後だけかなり派手な金色の雷が落ちたことに驚いてしまう。
『ガチャが終了しました。獲得カードの一覧です』
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Rレア:ゴブリン(棍棒)
Rレア:ゴブリン(弓)
Rレア:巨大スパイダー
Rレア:ヒールバード
Rレア:ブラウニー
Rレア:ゴブリン(剣)
Rレア:ヒールバード
Rレア:ヒールバード
Rレア:空飛ぶクラゲ
Sレア:ピクシー
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天井に大きなウインドウが出現し、カードの絵とモンスター名が表示されてる。
なんか一体だけレア度が違う奴がいるっぽい。
「だいぶカードが増えてきた! このSレアっていうのは、他のカードよりけっこう強い感じ?」
『はい。Rレアと比較して、Sレアは一枚も二枚も上の性能を有しています。カードの詳細はこちらです』
AIミリアはまた別のウインドウを天井近くに表示させた。その画面を見て、俺はちょっとばかりワクワクしてくる。
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ピクシー
カードランク:Sレア
限界突破:なし
カード利用効果:
敵全体をサンダーで攻撃する
同時にカード利用者と味方の体力と魔力を回復する
カード所持効果:
戦闘時、カード所持者の全ステータスが2%上がる
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おおお。確かにRレアよりいろいろと豪華な感じがする。
攻撃と同時に回復もしてくれるわけか。というか、またまた初見のものがあるんだけど。
「限界突破って何?」
『限界突破とは、同じ召喚カードを合体させることで、カードの効果を強化することができるものです』
「ここからさらに強くなれるのか。このカードはダブってないけど、ゴブリンとかヒールバードはダブってたっけ」
『では、現在複数所持しているカードを、まとめて限界突破させてみますか?』
「あ、うん。じゃあ頼む」
『承知しました。では、限界突破を実施します』
その後、ミリアはすぐに限界突破とやらを始めた。
ひたすらにカードが天井付近に浮かび上がり、そして重なったかと思うと多種多少な輝きが部屋に飛び散る。
これはこれで派手な演出だなーと、俺は呆気に取られつつ見守っている。
一連の作業が終わった時、ゴーグルからミリアの淡々とした声が聞こえた。
『一括限界突破が完了しました。結果はこちらです』
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Rレア:ゴブリン(棍棒)☆2
Rレア:ヒールバード☆4
Rレア:ブラウニー☆1
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「やばい、面白い」
『限界突破は四段階まで可能です。ヒールバードは上限に到達しました』
なんか見ているだけで楽しくなってきた。すると、ちょっとだけミリアの声も弾んだ気がした。まあAIに感情はないので気のせいだろうけど。
「なんかカードに星マークが増えてる! これでかなり使い勝手が変わったのかな?」
『はい。ダンジョンでご利用いただければ、すぐに効果を実感できます』
「……じゃあ、明日また行ってみるか」
なんかゲームしてるみたいになってきた。こうなってくると試したくなるんだよね。
ちょっぴりワクワクしてきた俺は、そんな時間も金銭的余裕もないんだけど、次の日またもダンジョンに向かってしまった。




