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ダンジョン配信者の中で、なぜか俺だけサブスク(?)に入ってるんだが  作者: コータ


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アイと、そして今回引き入れたノエル有栖川が!

 袋小路道宗は焦っている。薄暗い社長室で、彼は一人頭を抱えていた。


 ここ数日、所属ライバー達の動向があまりにも芳しくない。


 また、配信以外でも問題行動を起こすメンバーが現れ、場合によっては広告の違約金が発生するかもしれない、というものまで抱えていた。


「まずい。これは相当にまずいぞ」


 彼はとにかくこれまで気に入った社員を優遇し、主観で気に入らない者は躊躇なくクビを切ってきた。そのツケが徐々に回ってきている。


 SNS上では、彼にクビにされたと言う呟きが徐々に拡散されていた。その事実をまだ道宗は知らないが、何か周囲から不穏な空気を感じ取ってはいた。


 さらにはかつて、彼が女子社員やアルバイトに常習的にセクハラをしていたという噂まで飛び交っている。事実であった。


 そのようなことがあり、チーム袋小路も、道宗もネット上で大きなバッシングを浴び始めている。


 しかも、以前計画していたチーム袋小路スペシャルライブですら、一向に話が進まない。このままでいけば大赤字は必至。そう考える各所が急に渋り出したからだ。


 また、そのために計画していたアイ達を【闇竜の魔窟】に挑戦させることについても、変更が必要ではないかと考えている。


 なぜかといえば、もしかしたら次回のダンフェスにおいて、ダンジョン組合の指定探索地が闇竜の魔窟になるのでは、と言う噂が飛び交っているからだ。


 ダンフェスでは、組合が指定するダンジョンに潜らなくてはならない。場所についてはギリギリまで伏せているのだが、一定情報が漏れることもある。嘘か誠か、次回が闇竜の魔窟であると言う話は出ている。


 こうなると企画が被ってしまい、新鮮味もなくなる。アイ達にも連続で同じダンジョンに潜らせるということになりかねない。全てが悩みの種となった。


 何よりこのままでは、右肩下がりなどという説明では到底言い切れないほどの減収になる可能性がある。


 そうなった場合に会長や株主にどう説明するべきか。


「い……いや! 俺にはまだ希望がある。うちのナンバーワンがまだいる。アイと、そして今回引き入れたノエル有栖川が! そうだ。二人なら——」


 道宗はハッとした。そういえば二人の探索配信は、もうすぐ開始ではなかったか。


 ノートパソコンを開き、Utubeへとログインした彼は、アイの配信をリアルタイムで見届けることになった。


 ◇


 都内某所に存在する、寂れたビルの入り口に彼女達はいた。


 一人は今回の配信の中心人物であり、リーダーでもあるアイ。彼女に続いてUtube登録者数が多いノエル有栖川。


 その他に助っ人として二名探索者がおり、一名荷物持ちが加わっていた。


 いずれもベテランとまでは言わないが、探索歴はそこそこというメンバーである。


 アイはくたびれたビルの入り口で、スマホをいじりながら時間を潰している。


「アイさん、本番十秒前です!」


 と、荷物持ちの男が元気に声をかける。


「はーい」


 アイはどことなく気怠げだった。早起きしたせいか機嫌が悪くなっているようだ。


 ノエル有栖川はというと、平静を装ってはいるが緊張が隠せない。


 以前大人気ライバーである葵を見捨てて逃げた、という行為に対してのバッシングは、今もなお彼のチャンネルで続いている。だからここで挽回したいのだ。


「三……二……一……」

「はぁーい! みんなおっはよー! アイでーす。今日はねえ、まあ定番のダンジョンっちゃ定番なんだけどぉ、そこにすっごい人と潜ろうと思ってます」


:アイちゃんおはよー!

:おっはよ

:今日もかわいいねアイちゃん

:ここは定番だな。だがそれがいい

:久々の探索配信だ

:楽しみ!

:すっごい人?

:一体どんな人だろ

:まさか……!

:おはようアイ!

:今日もアイちゃんが見れて幸せ

:おは

:ハロー

:事務所の件について一言お願いします!

:始まったー!

:おはようございます

:キター

:今日もすげえ盛り上がっとる


 チャンネル登録者数百万を超えるライブには、多くのコメントが早々に届けられる。


 アイはこの時、若干ではあるがコメント欄に違和感を覚える。


(なんで事務所のことをあたしに聞くんだよ。知るかっての)


 だがすぐに切り替えると、彼女は有栖川に手招きをした。


「誰か気になるっしょー? じ……つ……はー……今超大人気のイケメンライバー! ノエル有栖川君でぇーす! カモン有栖川」

「うぃーす! 突然のコラボ失礼! お誘いされてさっそく参加することにしました。今日もバリバリ潜っていくからよろしく!」


 ノエル有栖川といえば、異様なまでに高い女子人気を誇っている男。そんな男が参加する以上、これはもう登録者は爆増、同接はかつての限界を超えて、新たな次元に踏み出せるに違いない。


 そう確信していたアイだったが、コメント欄には想定外のコメントが溢れていく。


:おお

:すげー

:……え

:有栖川きた!

:これはちょっと

:イケメンだなぁ

:こいつ見たくない

:アイちゃん逃げて!

:コラボ相手見殺しにしようとしたやつじゃん

:えええええ

:は?

:楽しみー

:ちょっとこれは……

:いやいやいやいやいや

:たしかにサプライズではあった

:うーん

:アイちゃんさすが!

:事務所が同じになったとは聞いてたけど、早速かー

:大丈夫?

:やめたほうがいいって

:これは新記録作っちゃうね

:うわー

:がんばれー

:まずいってマジで


(んだよこの反応。あたしの配信の足引っ張ってんじゃん)


 コメント欄の反応を目にしたアイは、一瞬だが有栖川を睨みつけた。だがすぐに笑顔を取り戻し、何事もなかったかのように進めようとする。


「はぁーい! じゃあ今日も潜っていくよ。なんたってダンフェスの前哨戦みたいなもんだし。今日はこのダンジョンくらいは、軽ーく新記録狙っちゃうんだからね!」

「オッケー! アイ、俺に任せておけよ。ここには何度も潜ってるし、何かあったらしっかり守るから」


 今日のアイは何か変だ。そう視聴者達は画面の向こうで首を傾げる。


 また一方では、少し前に葵を見捨てておきながら、しっかり守るなどと発言したノエル有栖川に苛立ちを覚えていた。


 不穏な気配が漂うなか、アイ達は早速ダンジョンへと足を踏み入れていくのだった。

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