その1
①
これから先の歩む道のり
誰もが気づかぬ視線の先は
まだ見ぬ世界の始まりなのかもしれない
不安が身体にまとわりつく
それが白い吐息と混ざってしまい
困惑の境地がたちまち現れてしまう
ああ
先の見えぬということは
これほどにまで人の心を揺さぶってしまうのか
私は道で足がすくんでしまう
勇気を出して
さらなる一歩を出さないと
これから先は私が孤独になってしまう
溶けていく空がどこか悲しげであったんだ
②
世界に終わりがあるのなら
私はこの最後の終幕に人生を迎える事が出来て
本当に良かった
記念すべき時代に生まれて来れた
どの世代の人達も味わえない
妙味というものを感じる事ができる
私は幸せだ
世界の破滅は私と共にある
元々 未来に描いているものはなかった
夢を描こうとしても
世界の終わりはどうなるんだろうみたいな
そんな事ばかりを考えていたんだ
あと少し
もう少しで希望が叶いそう
③
春の季節を肌で感じる
陽気な空が包み込むように辺りに広がる
それはあまりにも清涼すぎて
心の中が洗われるようだ
これから先の生きる道筋は
あまりに鮮明に魅せられるが故に
躊躇していたら
大事な何かを見過ごしてしまいそう
大気の中の虚空には
人々の想い描けない何かがあるのかもしれない
手を伸ばせば届きそうな蒼い空は
私だけに与えられているなら
私はどうやって期待に応えばいいんだろうね
④
雨があまりにも強く降っていて
昨日の記憶が薄れていく
傘も差さずに外に出ていくけど
目的もない外出はどこか淡い記憶に沿うようだ
静かな境地が外の風景と相まって
不思議な落ち着きを感じているんだ
寒くないのは春だから
雨が建物からしたたる音を聞いて
季節の変わり目を感じてしまうのは
時の移り変わりまで思考が及んでしまう
このまま世界から消えていくなら
私という存在はどうなっていくんだろ
⑤
この季節の中でたゆとうように流れて生きるのは
無理のない範囲で行動するという事
やがて到来する未来に身を任せて
流れるように生きるのは自然と一体になる
季節の別れがあるのは嬉しい事
日本のあるのは特有の四季
時間の流れを常に感じる事ができる
寂しい時もあるけれど
時の進みを感じる事で
一期一会の瞬間を味わう事ができるのは
それはそれで幸せの一部なのかもしれない
⑥
海の音がいつまでも耳から離れないんだ
日常の仕事生活があまりに窮屈過ぎて
自然という名の海に全てを委ねてみた
少しの間しか海にはいれないけどさ
心がいくらか掃除されたような気がするんだ
世間の日常に戻りたくない
そんな想いが強過ぎたのか
いつしか内省的な人になってしまった
友との語らいは私に意味をなさない
孤独の語らいが全てを物語ってくれるんだ
⑦
ゆっくりと足を前に進めては
気になる事を払拭し始める
生きていくということは
時には楽しくないこともあるわけで
つまらない事もあるわけで
心穏やかにならない事もあるわけで
私は君に鋭い言葉を投げかけた事もある
その時に
世界があまりにも優しく見えたんだ
包み込むような優しさを感じられたのは
ひとえに
君のおかげであったのかもしれない。
⑧
やがて巡り来る最後の瞬間は
あまりに早く到来したような気がする
思い残したものは何もないと言い張りたいけど
やり残した事が山積みの現実は
後悔という言葉で埋め尽くされるのかもしれない
人生の終盤になると
今まで思ってもみなかった考えがやってくる
こない人もいるけど
少なくとも私には
きている事が確実であり
それがまた焦りに繋がっていくんだよ
金を追い求める人生とは
終盤の局面まで見えてくると
あまり重要な目的ではなかったななんて
思えてきてしまうんだ。
⑨
誰しもが見る景色など
私にとってはどうでも良くなってしまった
ありきたりのことが
あまりに当たり前過ぎたので
普通のことに飽き飽きしているんだ
新しい風が吹いていないと
私は自分で自分というものを支えられないのかも
普通に生きていて
何が楽しいというのか
なんてそこまで考えていてもさ
特に新しいやる事を見つけられてる訳じゃあないんだ
今まで平凡に生きてきたからさ
平凡な考えで頭の中が終始してしまうんだ
⑩
世界との繋がりに希望をみいだす
どこの視点から見るかによって
物事の見え方は大きく変わる
私は楽観的過ぎるが故に
世界はきっと素晴らしくなると思ってるけど
それがあまり世間に馴染みのない考えなのも知ってる
絶望したって仕方ないじゃん
思い通りにいかない事なんてたくさんあるし
上手くいかない事を嘆いていたって
何も前に進まないんだ
世界を見る切り口が大切なんだ
⑪
誰もが知っているこの世界は
実は幻想であるのかもしれない
世界に80億人の人々がいるというのは幻想で
私が頭で作りだした空想の産物なのかもしれない
地球には実は私しか人がいなくて
完全に孤独の世界が真実であるのなら
私の今まで認識していた世界が音を立てて壊れる
そして私も壊れると思う
そんな寂しい世界にこれからも生きていくなら
あまりにも心詰まるものがあるんだ
⑫
ため息まじりの空を見上げて
雪が深々と舞い落ちるのをや眺めてる
白の世界が辺り一面に広がっている
小さな悩みだとか
取るに足らない出来事は雪でかき消される
ため息なのか白い吐息なのか
段々と分からなくなってきた
少なくとも言えることは
今この地には私しかいないという事
私1人の舞台芸術であり
観客は大自然の奥行きのみだ