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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第3章 領地の防御

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88/250

88ー高級品

「えッ!? 何あれ!?」

「魔物だ! 木に擬態してるんだ! トレントだ!」


 霧島に言われ、周りの木を見る。なんだ? 葉が不自然な位青々としている。その一帯がやけに目につく。そして、その不自然な木々に目を凝らす。


「ココ、分かるか?」

「ええ、不自然だわ」

「そこ目掛けてウインドカッターしてみ?」

「分かった。ウインドカッター!」


 風の刃が、不自然に見える木々目掛けて飛ぶ。同行していた魔術師団もウインドカッターを飛ばす。領主隊も他の不自然な木々に目掛けて矢を射る。

 すると、その瞬間に変化が起こった。幹が撓み、枝を振り乱し葉を散らせながら動き始めた。

 幹の柄だと思っていたものに、不気味な顔が浮かび上がっていく。つり上がった目の奥に鈍い光が灯り、こちらを睨みつけている。口と思われる部分は大きく裂け、人を飲み込もうとしている。

 いつの間にかそのおぞましい木々に囲まれていた。盗賊団は散らばって逃げようと走る。だが、クネクネと動く枝に絡め取られ宙吊りにされている。


「ぅげッ!! こわっ! 初めて見た!」

「あいつら蜂蜜やメープルシロップを落とすんだ!」

「えッ!? ラッキーじゃない!」

「ココ、だから燃やしたら駄目だぞ!」

「お嬢! 近寄ったらいかん! 不用意に近寄ると枝に絡め取られるぞ!」

「分かった! ウインドカッター!」


 風の刃が複数飛ぶが傷もついていない。恐ろしく堅いんだ。ウインドカッターじゃ埒が明かない。

 次から次へと叩きつけてくる鞭の様な枝や根の攻撃を領主隊は軽々と躱しながら斬りつけている。普段から魔物と対峙しているから、慣れているんだ。

 だが、盗賊団はそうはいかない。次々と枝に捕らえられ裂けた大きな口へと吸いこまれていく。人を食っているのか!?

 霧島が魔法を飛ばし、枝を切る。


「ココ、ボーッとしてんじゃねーぞ! 威力が足りねー!」

「分かった! サキ、リュウ、いくぞッ!」

「はいぃ!」

「おうッス!」


 この種類の魔物には火属性魔法が有効だ。だが、森の中では避けたい。森を焼いてしまってはダメだ。

 風属性魔法なら咲や隆も使える。3人でタイミングを合わせ、風属性魔法の上級魔法で攻撃だ。


「いくぞッ! せぇーのッ!」

「「「ウインドインパルス!!!」」」


 風の衝撃波が飛んだ。普通は吹き飛ぶんだが、根を張っているのか吹き飛ばず、そのままトレントはブルブルと震え出し気絶状態になり動かなくなった。


「おしッ! お嬢! よくやったぜッ!」


 と、シゲ爺が先頭切って走って行く。動かなくなったらこっちのもんだ。隊員達もそれに続き、皆でトレントに斬り付ける。

 すると、聞くに堪えない叫び声をあげながらシナシナと木全体が枯れていき動かなくなった。

 トレントの枝に、捕らわれていた男達も振り落とされ気絶している。隊員達が素早く捕縛していく。

 そして、トレントが絶命した後には……


「やだッ! 本当に落ちてる!」

「だから言ったじゃねーか!」

「ねえ、サキ。拾っていきましょう!」

「はいぃ!」


 そうさ、霧島が言っていた通り、蜂蜜やメープルシロップが彼方此方に落ちていたんだ。

 やったよ! この世界はまだ蜂蜜やメープルシロップて高級品なんだよ。


「お嬢さまぁ、戻ったらパンケーキが食べたいですぅ」

「いいわね! メープルシロップをたっぷりとかけて食べましょう」

「はいぃ!」


 しかし魔物からのドロップ品なのに、ちゃんとガラス容器に入っているのは何ともご都合主義だな。まるでガチャポンのカプセルみたいだ。


「なあなあ、ココ。それ美味いのか?」


 霧島が、ふわりふわりと浮きながら聞いてきた。


「え? キリシマ、何の事?」

「だからさぁ、パンケーキだよ」

「美味しいわよ。バターを塗って、メープルシロップをたっぷりとかけて食べるの」

「おぉ! 俺も食べたいぞ!」

「ふふふ。戻ったら焼いてもらいましょう」

「おう!」


 なんだ? 他にも落ちているぞ。


「メープルシロップを落とすのが、メープルトレント。蜂蜜を落とすのが、ハニートレント。キノコを落とすのが、マッシュトレントだ。そのキノコは回復薬になるんだ。しかも上位回復薬になるぞ」

「え!? 凄いじゃん!」


 全部拾おう。拾って帰ろう!

 隊員達は盗賊団を縛りあげている。俺達はしっかりと蜂蜜とメープルシロップ、回復薬になるキノコを拾う。さあ、帰ろうか。


「お嬢、このトレント材も高級品なんだぞ!」


 と言いながら、両手いっぱいにトレントの枝を抱えて引き摺っている。


「シゲ爺、そうなの?」

「ああ、こいつは捨てるところがないんだ。滅多にお目に掛かれないから、なかなか手に入らねーんだ。堅くて強いんだぞ。ワシの杖もトレント材だ」

「へぇ〜、そうなの?」


 それでガンガン魔物を殴っても平気なんだ。


「ココ。俺が全部持って帰ってやるぜ!」


 そう言って、キリシマが倒れたトレントに手を翳した。

 すると、あら不思議。シュンッと消えちゃったよ。ああそうか、これはアレだ。亜空間収納だ。忘れてたよ。普段使わないからさぁ。


「俺はさぁ、これでもドラゴンだぜ。ココ達より魔力量は多いんだ」


 それは小さくなる前だろうよ? 今は小さいトカゲさんだ。


読んでいただき有難うございます!

《お知らせ》です。

リリの書影が公開になりました!

ここに画像を貼れると良いのですが……

活動報告で公開してます!

よろしくお願いします1

ココちゃんも、評価とブクマをお願いします!

励みに頑張るのですよ!


挿絵(By みてみん)

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