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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第3章 領地の防御

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85/250

85ー良い機会

「おう! 皆ここにいたのか!?」


 と、ユリシスじーちゃんの大きな声と共に爺ちゃん達が入って来た。ユリシスじーちゃんにディオシスじーちゃん、それに何故かずっと滞在しているシゲ爺だ。ユリシスじーちゃんの肩には霧島が乗っている。


「ディオお祖父様、どうでした?」

「まだ足取りがつかめん」

「どこに潜んでいるのか」

「もしかしたら、森に入っているのかも知れませんぞ」


 そう言っているのは、シゲ爺だ。


「シゲ爺、森に?」

「そうだ、ロディ様。こんだけ領地内を捜索してもいないとすれば、森しかねーだろう?」

「え? だって森には……」

「そうだな、ココ。森には魔物がいるなッ!」

「ユリシスお祖父さま、だから森に潜伏するなんて自殺行為ですよ?」

「そうとも言えねーんだ」


 シゲ爺がそう言う。どうしてだ? 森なんて危険じゃないか?


「奴等な、相当訓練されてんだ」

「まあ、嫌だわ」


 空気が張り詰めそうになっていたのに、母の呑気な一言で和らいだ。これは、天然なのか? それとも、態とか?


「ココ、天然だね」


 ロディ兄がまた俺の心を読んだぞ。そして頭を撫でられる。俺ってそんなに顔に出てる?


「お嬢さまぁ、今更ですぅ」


 そうかよ。分かったよ。


「で、その盗賊団だがな」


 ディオシスじーちゃんが話を続ける。

 霧島、話聞いてないな。クッキーに夢中じゃん。両手でクッキーを持ってガシガシと夢中で齧っている。


「ぐッ、ココ! 喉が詰まった! グフッ」

「はいはい、ほらお茶飲みなさい」

「すまねーな! て、アッツッ!」


 霧島、落ち着こうぜ。俺は霧島の、ゴツゴツとした小さな背中を摩る。

 その、盗賊団をずっと追ってきたディオシスじーちゃんの見解だ。

 どうやら、盗賊団にしては統率がとれていて腕も立つらしい。しっかりと訓練されているらしいんだ。盗賊団で訓練されているなんて、そんな事あるのか?


「隣国で数年前に内乱があっただろう。その時に、あぶれた元兵士じゃないかと予測している」


 国境が接している隣国は大国だ。たしか数年前に起きた内乱も、皇帝一族の誰かが反乱を起こしたと勉強した覚えがある。

 だからと言って、元は国民を守る立場だった兵士がか?


「その内乱でかなり疲弊したのだろう。国内はまだ治安が悪いらしい」


 なんだよ、それ。だからって、兵士があぶれるのか? 逆に必要になる様な気がするんだけど。

 だが、それなら今回の事は王子とは無関係って事でいいんだよな?


「ココ、さすがに今回は無関係だろうね」


 また心を読まれた。頭を撫でるのも、セットでついてくる。いいけどさ。でも王子に関係なくて良かったよ。そう度々狙われるのはあまりにも酷い。


「では、お祖父様。森に?」

「ああ、俺達で行こうと思う」

「ワシも行くぞ!」


 え? シゲ爺、何言ってんだ!?


「もちろん俺も行くぜ!」


 霧島、もうクッキーは食べたのか?


「じゃあ、あたしも行きます!」

「ココちゃん」

「ココ、じゃあじゃないよ?」

「だってあたしも行きたいです!」

「ココちゃん、セリスアラーネアを捕獲しに行くのとは違うのよ?」

「母さま、分かってます!」

「ココ、さすがに連れては行けないな」

「ディオシスお祖父さま、どうしてですか?」

「どうしても何も……ココ、危険だ」


 別にさ、興味本位で着いて行くと言ってるんじゃないんだ。そりゃ、俺はこの世界ではまだ8歳だ。つい最近前世の記憶が戻ったばかりだし。

 だけど、こっちの世界の家族や領地だって守りたいんだ。その気持ちは本当なんだ。

 今後、もっとピンチな場面に見舞われるかも知れない。そんな時、実戦をまともに経験していないのは家族の中で俺だけだ。そりゃあ、小競り合い程度はあるけど圧倒的に経験が少ない。

 実戦の経験が、あるのと無いのとでは天地の差が出る。いざという時に、ものを言うのはやはり経験なんだ。

 なら、今回の盗賊団の事は丁度良いと言ってはいけないだろうが、俺はそう思うんだ。


「なるほどなッ!」


 どうやら、ユリシスじーちゃんが納得してくれたらしい。


「兄上?」

「ココ、ワシが連れて行ってやろうなッ!」

「ユリシスお祖父さま!」

「お義父様、本気ですか?」

「ああ! 良い機会だッ! な、ココ!」

「はいッ、お祖父さま!」

「なるほど、そう思っているのか。ココ」

「はい、兄さま」

「もう、仕方ない子ねぇ」

「母さま、あたしも父さまの子です」

「ふふふ、そうね」

「サキ、リュウ、頼めるかな?」

「はいぃ、ロディ様。もちろんですぅ」

「そうッス。お嬢なら行くと言い出すと思ってました!」


 咲、隆、悪いな。今世でまでさ。


「お嬢、何言ってんスか」

「そうですよぅ」


 ハハハ、ありがとう。


「ちょ、ちょっと待って。まさか、本当にココ嬢も行くの!?」

「はい、殿下」

「そんな……どうして? 危険なのに」

「殿下、ココなりに考えがあるのですよ」

「ココちゃんは言い出したら聞かないから」

「そんな……」

「殿下、あたしも辺境伯の子なんです」

「ココ嬢……」

「俺も一緒に行って守ってやるぜ! ココ!」

「頼りにしてるわ、キリシマ」

「おうよッ!」


 ハハハ、頼んねーけどな。ありがとうな。けど、盗賊団や魔物には負けないさ。


「あら、でもココちゃんの戦闘服がないわ」


 また、呑気な母だ。


「ココちゃんの戦闘服を例の生地で作りなさいな」

「母さま、そうですか?」

「ええ、丁度いいわ」


 あ……俺、実験にされてる?


「まあ、嫌だわ。ココちゃんにそんな事する訳ないじゃない」


 と、言いながら母はにっこりと笑った。ああ、怖い。あの生地にどれだけ防御力があるのか実験しようとしているよ。いやいや、そんな事はないと信じたい。


読んでいただき有難うございます!

書籍化作業が終わって……なんだか気が抜けてしまいました。

やっぱり、リリも大好きなキャラなんですね~

よろしければ、評価とブクマをお願いしまっす!

とっても励みになるのでっす!

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