80ーディオシスじーちゃん登場
「ワッハッハッハ!! 俺様サイキョー!!」
「え……あの声ってキリシマじゃない?」
「そうですねぇ」
また、あのちびっ子ドラゴンは。
「お嬢さまぁ、先に朝食ですぅ」
「分かったわ」
しかし、何なんだ。ユリシスじーちゃんとシゲ爺、それに霧島まで。何をしているんだ?
朝食をとる為に、廊下を歩く。と、王子とロディ兄と一緒になった。
「おはようございます」
「ココ、おはよう」
「おはよう、ココ嬢」
「殿下、キリシマは朝からずっとですか?」
「ああ、あれね」
「もう、また殿下のお側を離れて」
「ふふふ、ココ嬢大丈夫だよ」
「キリシマとお祖父様達は気が合っているからね」
「兄さま、もしかしてシゲ爺もですか?」
「ああ、あのキャラはそうだろう」
意味が分からない。しかし、朝っぱらから元気だね。じーちゃん達は。
「あら、お揃いね」
相変わらず、呑気な母だ。もう食べ始めている。
「母さま、おはようございます。早いですね」
「だってね、ココちゃん。朝早くからもう、うるさくって」
あ、母もうるさいって言ったぞ。
「ディオシス叔父様が来られているのよ」
「え? 母上、ディオシスお祖父様ですか?」
「そうなのよ、ロディ。早朝に着かれたのよ」
母がディオシス叔父様と呼んでいるのは、ユリシスじーちゃんの弟だ。俺達からみると叔祖父にあたるらしいのだが、俺達は皆ディオお祖父様と呼んでいる。
兄のユリシスじーちゃんよりは落ち着いているが、このじーちゃんも領内を飛び回ってくれている元気なじーちゃんだ。
ディオじーちゃんは大剣を使い、父とバルト兄の剣の師匠だ。
しかし、じーちゃんが2人共来てしまった。何かあったのかな?
俺、結構このじーちゃん好きよ。というか、じーちゃん兄弟は2人共好きだ。まあ、家族に嫌いな奴なんていないんだけど。みんな俺を可愛がってくれるしね。大切な今世の家族だ。
「母さま、ディオお祖父さまですか!」
思わず、椅子から立とうとしてしまった。
「ココちゃん、先に食べてしまいなさい。叔父様は逃げないわ」
「はい、母さま」
「ココはお祖父様達が好きだからね。少し、妬けちゃうよ」
おいおい、ロディ兄は何を言ってるんだ?
「ロディ、お祖父様なのかい?」
「ええ、殿下。ユリシスお祖父様の弟でディオシス・インペラートと言います。僕達はディオお祖父様と呼んでいるんですよ」
「へえ。お祖父様が2人もいるんだね」
「はい、そうなんです! どっちのお祖父さまも優しいですよ」
「ふふふ。ココ嬢は可愛がられているんだね」
「はいッ」
早く食べて会いに行こうっと。
「ココちゃん、急いで食べてはダメよ」
「はい、母さま」
叱られちゃったよ。気が急いちゃうんだよね。
俺はさっさと朝食をすませ、じーちゃん達のいる前庭に向かった。
「お嬢、ディオ様が来られてるッス」
「ええ、母さまに聞いたわ」
「お久しぶりですねぇ」
「本当よね」
「何かあったんッスかね?」
「ね、そう思うよね」
そうさ、うちのじーちゃん兄弟は、何かあった時の助っ人コンビだからな。
裏庭に出るとじーちゃん2人対キリシマが広い鍛練場で模擬戦をしていた。いや、よく見るとシゲ爺まで参加している。身軽に杖を振り回している。あの杖は武器だったのか? 本当、朝から何やってんだよ。元気だな。
「ディオお祖父さま!」
俺は大きな声で呼びながら、走って行く。
「おお! ココ! 少し見ないうちに大きくなったな! 身長伸びたか!?」
「お祖父さま! お久しぶりです!」
「ああ、本当に久しぶりだ。ちゃんと挨拶ができる様になったんだな!」
「やだ、ディオお祖父さま。前からできます!」
「アハハハ、そうかそうか」
ディオじーちゃんは俺を抱き上げ頭を撫でる。
な、ユリシスじーちゃんより少し落ち着いているだろ?
「しかし、驚いた。まさか、ドラゴンがいるなんてな!」
「ああ、キリシマですか? 殿下を守ってくれている筈なんですけど」
と、俺は霧島をジトッと見る。
「ココ! だって王子は寝てたんだしさ、いいじゃん!」
「キリシマ、本当分かってるの?」
「分かってるって! 任せろ!」
本当、胡散臭い。
「ワッハッハッハ! 天下のドラゴンもココには弱いかッ!?」
「お嬢は相変わらずお転婆じゃねーか!」
「えぇー! ユリシスお祖父さまもシゲ爺まで酷い!」
「アハハハ。ココは世界一可愛いぞ」
「ディオお祖父さま、ありがとうございます!」
さて、朝食の後は我が家恒例の鍛練の時間だよ。しかも、今日はじーちゃんが2人揃っている。ヤバイよ。
「さぁッ! ココ、鍛練だ!」
ああ、ディオじーちゃんも鍛練は張り切っちゃうんだ。え? シゲ爺も鍛練するのか? 普通に並んでいるし。馴染んでるし。
「ワッハッハッハ! お嬢! 何言ってんだ!? 参加するに決まってるじゃねーか!」
信じらんねー! この世界のじーちゃんはどうして皆こんなに元気なんだ!?
「ワシが鍛練するからには脱落は許さんぞぉーッ!! 精神一到!!」
――おおー!!
――はぁ〜い!!
ああ、とんでもなく張り切っちゃってるよ。
「ココアリアーッ!! 集中!!」
げげげ! また叱られちゃった!
「万能一心!!」
――おおー!!
――はぁ〜い!!
「鍛練を疎かにするなーッ!」
――おおー!!
――はぁ〜い!!
メイドのお姉さん達、平気な顔をしてるよ。さすが戦うメイドさん達だ。俺なんて、もうフラフラだぜ?
「お嬢さまぁ、飲んでくださいぃ」
「ハァ……ハァ……ありがとう」
ああ、今日は1日大変そうだ。
またまた新しいおじーちゃんが登場でっす。
じーちゃんばっかでっす。(^^;
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レビューなんて書いて頂けたら涙が出るほど嬉しいでっす。
読んでいただき有難うございます!




