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6ー8歳

 隆は俺付きだった組員だ。享年24歳。

 こっちの世界でも、俺付きの従者だ。リュウエル・アサンミーヤ、現在16歳。派手なキラッキラな金髪を短くしていて、茶色の瞳。一見、人の良さそうな雰囲気をしている。

 だが隆は、前世の姉貴達に仕込まれて、剣術、体術、投擲、索敵なんでも御座れだ。サバゲーの世界では、伝説の持ち主だとか。俺はよく知らない。

 こっちでもその能力は変わらないらしい。きっと、身体の何処かに投げナイフでも隠し持っている筈だ。


 その隆の姉が、サキエル・アサンミーヤ、18歳だ。ピンクゴールドのフワフワな髪をあざとくツインテールなんかにしていてメイド用の白いヘッドドレスを付けている。しかも、あの口調にポヤ〜ッとした可愛い系だ。あざとすぎる。

 だが、隆よりこの姉の方が強い。なんせ、前世の姉達と同等に戦えるのは咲だけだったからな。俺を抱きかかえて小屋から脱出した時のあの身のこなしを考えると、今世も同等じゃないだろうかと俺は睨んでいる。


 父と一緒に来ていたのが、ルーク・スカイラン隊長。うちの領主隊の隊長だ。父の背中を守る屈強な隊長だ。狙った様な名前だが、決して狙った訳ではない……?

 うちの領地の領主隊はそんじょそこらの兵達とは違う。鍛え方も、実践経験も比べ物にならない位違うんだ。なんせ、辺境の地だ。国境がある。魔物も出る。バカブータダみたいに敵対してくる奴もいる。

 そんな危険極まりない領地を代々治めている領主に仕える隊だ。当然、実力の伴わない奴は入隊できない。国の中でも、鍛え上げられた最強の領主隊なんだ。


 俺だけ、弱っちくね? まだ8歳だしさ。簡単に誘拐なんてされてるしさぁ。大丈夫かよ、俺。頑張んなきゃだ。

 でも俺は、今世は平和にのんびりしたい。目標は天寿を全うする事だ!


「で、若様。何であたしが咲だと分かったんですかぁ?」

「え……なんでだろ?」

「えぇー、そこは分からない感じですかぁ?」

「多分だけどさ、車の中で咲が俺に覆いかぶさっていただろう? あの時、小屋で同じ様な態勢だっただろ? だからだと思うよ」

「ああ、な〜るぅ」


 やっぱ、ポヤポヤしている。それだけで納得できんの? ホントに?


「咲、お前は8歳で記憶が戻ったって言ってたよな?」

「はい。そうですよぅ」

「じゃあ、隆は?」

「隆も同じ8歳で戻りましたよぅ」

「じゃあ、咲が1番先に記憶が戻ったって事か」

「そうなりますねぇ」

「なんで8歳なんだろ?」

「あれじゃないですかぁ?」

「なんだよ?」

「末広がり的なぁ」


 ……意味不明じゃん。全然、分かってないじゃん。小さな花がポンポン飛んでるよ。

 人差し指を頬の横で立てて、ヒョコッと首を傾げている。あざといポーズするんじゃないよ。


「分かってますよぅ。ふふふ」


 全然、分かってないじゃん!


「分かってますってぇ。あのですねぇ、この世界では8歳の時に教会で鑑定式を受けるんですよぅ」

「なんだ、その鑑定式って?」

「其々が、どの属性魔法に適性があるのかを、教えてもらうのが鑑定式なんですぅ。その時に思い出しましたぁ」

「そうなの?」

「はい。隆もそうでしたぁ。だから、若様も多分その時だろうからもう直ぐだなぁ、なんて思っていたんですぅ」

「なるほどね。でも、今俺は女だよ? それでもか?」

「はい。あの時一緒の車に乗っていて分かってないのは若様だけでしたしぃ」

「ああ、そっか。多分、あの時3人一緒に死んだんだろうなぁ……親父と姉貴達は大丈夫だったのかな……」

「大丈夫ですよぅ。みんな強いですからぁ」

「そうだよな……俺達は死んでしまったんだから、心配してもどうしようもないんだけどさ。でも、何で俺だけ女なんだよ。超ショックだ。凹むわぁ」

「ふふふ。本当ですねぇ」


 ゼッテーに思ってないだろ……面白がってんだろ。


「いいえぇ。あたし達姉弟がお仕えするのは若様だけですからぁ」


 くぅー! 嬉しい事を言ってくれるじゃないか!


「で、隆は?」

「いますよぅ、ドアの向こうにぃ」


 なんだと? 何してんだ?


「奥様のお仕置きですよぅ。ドアの前で正座してますぅ。お嬢さまのそばを離れたからぁ」

「いや、仕方ないだろうよ」

「でも、そこから仕組まれていたんですよぅ。見破れなかったあたし達のミスですぅ」

「そんな事ないさ。隆も入ってくる様に言ってくれ」

「分かりましたぁ」


 咲がドアを開けて出て行く。暫くすると隆を連れて入ってきた。


「お嬢ッ! すんません! 俺のミスッス! すんませんッした!」


 そう言って、隆がガバッと頭を下げた。

 首から、『只今、お仕置き中』て書いた大きな札をぶら下げている。それもお仕置きらしい。

 母よ、それはないぜ。容赦ないな。



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