50ーぶどう狩
大きな一房から1粒を捥ぎ取り口に入れる。確かに甘みが強い。だが、程良い酸味も口の中で広がる。じゅわッと果汁が溢れてくる。
「シゲ爺! 美味しいー!」
「ワッハッハ! そうだろう! そうだろうよ、お嬢!」
「ココ、もう食べたのか?」
「ロディ兄さま、食べてみて下さい。とっても甘いです!」
「ココは食べる方専門だね」
「兄さま、違います。それはサキです!」
隣りにいるサキを見るとガッツリ食べている。大きな一房の半分がもう既になくなっている。
「サキ……」
「エヘッ! 美味しいですぅ!」
エヘッ! じゃねーよ!
「超美味いッス!」
隆、お前もかよ! この姉弟はいつの間に食べていたんだ? いいけどさ。アハハハ!
皆で暫くぶどう狩をしていたが、そろそろ腹が減った。母はと言うと、しっかり日陰でお付きのメイドさんとのんびり俺達を見ている。手にはぶどうジュースが入ったコップを持って。
「あ! 母さま! ズルイです!」
それを見つけた俺は、母の元へと走って行く。ああ、平和だ。天気も良い。こんな日も良い。童心に帰るよ。て、8歳の子供だけどな。
「ココちゃん、危ないわよ。足元が悪いんだから」
「母さま、大丈夫です。慣れてます」
「まあ、お転婆さんね。ふふふ」
「母さま、ぶどうジュースはどうですか?」
「とっても美味しいわよ。お母様は緑の方が好きね。甘味がスッキリしているわ」
「緑ですか? 2種類あるのですか?」
「今年は2種類作ったのですって」
「凄い!」
「ふふふ。ココちゃん、座りなさい」
はいは〜い。俺は、母の隣に座ってぶどうジュースをもらう。先ずはいつもの濃い紫色したぶどうジュースだ。
「あぁ〜、美味しい!」
「ね、美味しいわね」
搾りたての100%ぶどうジュースだ。しかも手絞りだ。なんて贅沢なんだ。ぶどうの味がしっかりしていて甘くて濃い。俺は、もう1つの緑色したぶどうジュースを飲む。
「わ、爽やか!」
「ふふふ、でしょう?」
母はこんな場所でも上品だね。これは、前世で言うとマスカットの種類か? ガツンとぶどうではなく、爽やかな甘さがある。これも、とってもフルーティーで超美味い。
「奥様ぁ、そろそろお昼にしましょうかぁ」
「そうね、用意してくれるかしら」
「はいぃ」
咲と、付いてきたメイドさんとでバスケットから次々と並べられていく。
「サキ、サンドイッチ?」
「はいぃ。中身が凝ってますよぅ。今朝、料理長が張り切って作ってましたぁ」
それは楽しみだ。じゃ、俺は兄と殿下を呼びに行こう。
「ココ、転けないでね」
「はい、母さま!」
転けはしないが、スカートを翻して転がる様に走って行く。まだ幼女だけど、どうやらこの身体は身体能力が高いらしい。俺の思う通りに動いてくれる。いい感じだ。元気で健康が1番だよ。なんせ、今世は天寿を全うするのが目標だ。
「殿下、ソフィ、お昼ですよ」
「ココ嬢、ありがとう」
「はい、ココ様」
「兄さま、ランス、お昼です」
「分かったよ」
「はい、お嬢様」
ロディ兄も殿下も籠にいっぱいのぶどうを摘んでいた。ぶどうって重ねたらダメなんだそうだよ。俺は知らなかったけどね。摘んだぶどうは持って帰るんだ。また、料理長が張り切って何かにしてくれるだろう。
で、ロディに手を繋がれて母の元へと戻る。
「ココは外に出るとテンションが上がるからね」
え、そうか? そうだったか? まあ、邸に籠るよりは外に出る方が好きだな。うちは裏も広いから問題ないけどさ。
「ココもすぐに大きくなるんだろうね」
「兄さま、何ですか?」
「直ぐに大きくなって、令嬢らしくなってお嫁に行くのかと思うとね」
「兄さま、まだまだ先ですよ。姉さまの方が先です」
「エリアリアはお嫁にはいかないと言っているから」
「じゃあ、あたしもいきません」
「そうか? じゃあずっと兄様といよう」
「兄さま、それは嫌です」
「えー、ココ。どうしてだい?」
「だって、兄さまは婚姻するでしょう? あたしより、奥さんと仲良く一緒にいて下さい」
「オマセさんだね。いつの間にか、そんな事を言うようになったんだ」
「兄さま、普通の事です」
「いや、最近までオムツをしていたココが」
「兄さま!」
ロディ兄、酷いな。俺はまだ8歳だけどさ。女の子にそれは失礼だぞ。
「アハハハ。ごめんごめん」
そう言いながら、俺の頭を撫でる。ロディ兄は本当にシスコンだ。
「ココもエリアリアも可愛い僕の妹だ」
ありがとうよ。前世、姉2人だったから兄って存在が新鮮だ。そんな俺にもシスコンだと分かる位の筋金入りのシスコンのロディ兄だ。
せっかくのイケメンが台無しだ。おしいわ。
読んで頂きありがとうございます!
日間ランキングトップ10からは落ちてしまいましたが、頑張ります!
リリも少し行き詰まっていて、またハルちゃんに逃げてます。(泣)
頑張って投稿しますよ!
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