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47ー鑑定式 1

皆様、応援ありがとうございます!

本日のランキング5位でした!

本当にありがとうございます!

 教会の入り口で、司祭が出迎えてくれた。


「ようこそお越し下さいました」

「司祭様、本日はよろしくお願い致します」

「今日は父の名代で参りました」

「これはロディシス様。領主様のご都合が悪かったのでしょうか?」

「実は王都へ出かけております」

「そうでしたか。どうぞ、奥までお入りください」


 司祭に案内されて、俺達は教会の奥へと入って行く。

 辺境の地にある教会だが、なかなかしっかりとした教会なんだ。司祭だけでなく司教だって常駐している。裏には併設された孤児院だってある。

 中央通路を進んで行くと、広い聖堂がある。一番奥が主聖堂だ。俺と同じ8歳の子供達と付き添いの親達が既に集まっている。俺達は一番前に案内された。


「順にお呼び致しますのでお待ちください」


 案内してくれた司祭が一礼して奥に消えて行った。

 俺が転生した国、ヴェルムナンド王国では基本王国に住む8歳児は全員この鑑定式を受ける事になっている。鑑定式で自分に適性のある属性魔法を見てもらい、それから魔法の練習をするんだ。

 だが、現実はそうもいかない。王都では孤児がいる。孤児は教会に併設の孤児院で保護されている筈だ。

 しかし、現実は保護されていない孤児もいる。所謂、ストリートチルドレンだ。路上に住む孤児達。その子達は教会が認識していないが為に鑑定式を受けることができない。

 孤児でなくても、家が貧しい子達。態々鑑定式に出るよりも、家の仕事を手伝えと言う親もいる。

 うちの領地では100%の子供達が鑑定式を受ける。何故なら、孤児は領主邸で保護するか、教会に併設されている孤児院に入っている。また、鑑定式に出席する事が難しいほど生活に困っている者がいない。

 これは、代々の領主と領民達の努力の賜物だ。俺の両親だけでない。何代も前から領主と教会が一丸となって進めてきたからだ。

 両親を魔物に殺された子だっている。病で亡くした子だっている。それをいち早く発見して保護し領民皆で気にかけてきた。

 ここまで徹底できたのも領民達の協力と生活の安定があったからだ。

 辺境の地、魔物の危険がある地。だが、恵まれた地でもあるんだ。

 温暖な気候で作物が育ちやすい。薬草も栽培している。その上、王国唯一の港もある。

 国境に接した領地だからこそ、商人も入って来やすい。貿易も盛んなんだ。

 先日の様に、大量に魔物を討伐した時は領民達にも還元される。魔物の解体に領民達も携わる。解体したら部位ごとに分ける。

 食べられる部位は領民に分けられる。売れる部位は売り領地の収益になる。そんな収益は領民の為に使われる。

 街の衛生環境、治安、道の整備等。それに、孤児院への寄付。魔物の被害者への慰霊金。そんな事を徹底してやってきたからこそ、領民達は領主を信頼している。


「王都では考えられない事だ」

「街の規模が違いますわ」

「そうだけど……」

「子は宝ですのよ。王国の未来を担う子がいないとどうなります」

「その通りです」

「親がいなくても誰かが愛情を掛けているとその子の礎になりますわ。もし、道を逸れたとしても、戻る場所がないといけません。大人がそれを用意してあげないと。その為には先ず大人に余裕がないといけません。何かの犠牲の上に本当の幸せはないと思いますの」

「難しい事ですね」

「はい。一朝一夕にはできません」

「代々の辺境伯が努力してきた事なのですね」

「そうなのですよ」

「俺と姉貴も両親の顔を覚えていません」

「そうなのかい?」

「はいぃ。私たちが幼い頃に亡くなりましたからぁ。それから、旦那様と奥様のお世話になってますぅ」


 今世での咲と隆も親には恵まれなかったんだ。前世も、辛い思いをしていただろうに。

 咲と隆の両親は、咲が5歳、隆が3歳の時に起きたスタンピードで亡くなったんだ。

 スタンピード。何年かに1度、魔物が溢れて群れをなし暴走する事がある。それを、スタンピードと呼んでいる。原因は解明されていない。

 ダンジョンから増えた魔物が溢れだすのだとか、森の奥に突然変異か何かで飛び抜けた強さの魔物が現れた時に、その魔物から逃げようとして暴走するとも言われている。

 だが、一概にはそうも言えない。それらは、1つの要因ではあるが必ずしもそれとは言えないんだ。

 だから、領主隊はスタンピードが起こらない様、普段から見回り魔物を間引いている。

 冒険者と呼ばれる者達が森やダンジョンへ討伐に入る。それでも、スタンピードは予兆なく起こる。

 そのスタンピードで両親を亡くした咲と隆は俺の両親に保護された。それから教育を施され、何年か後に生まれた俺に付いてくれている。

 咲は子供の頃から、赤ん坊の俺を抱っこしおんぶし世話をしてくれたんだ。俺にしてみれば、乳母の様なものだ。

 前世の記憶を思い出し、関係性は少し違ってきたが。それでも、1番近い存在である事には変わりない。


『ボクは55歳の転生皇子さま!』

発売日が決定しました!6月1日です!

タイトルが変更になります。それに伴い、こちらに投稿している分もタイトルを変更してます。

新しいタイトルは……

『ボクは光の国の転生皇子さま! ~ボクを溺愛すりゅ仲間たちと精霊の加護でトラブル解決でしゅ~』

宜しくお願いします!

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