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46ー侍従として

 俺の鑑定式の日が近付いてきた。そこで、王子をどうするかだ。

 父とバルト兄は王都へ行っていて留守だ。母とロディ兄は俺の付き添い。邸に誰もいなくなる。そこに王子を置いていくのは心許ない。まだ霧島だけに任せるのは不安だ。


「そうなのよね~」


 と、相変わらず呑気な母だ。


「母上、殿下にも一緒に来てもらうしかないですね」


 と、ロディ兄。確かに、1人邸にいるよりは一緒の方がまだマシだ。


「でもねぇ、殿下がうちに来られている事は秘密なのよ」


 なんだと?


「母上、今更ではないですか?」


 その通りだ。


「でもねぇ、公の場に堂々とはダメよ」


 なるほど。じゃあ、王子に見えなきゃいいんだな。見えなきゃ。


「ココ、そうだよね」

「ロディ兄さま、そうですよね」

「ふふふ」


 母も最初からそのつもりなんじゃないか?


「じゃあ、そうしましょうか」


 ほら、やっぱり。最初からそのつもりだったんだ。あっさりと了承してる。


「丁度良い機会です。少し領内を案内しますか? ずっと邸の敷地内でしたから気も紛れるでしょうし」

「兄さま、ぶどう畑に行きたいです」

「ココちゃん、いいわね」

「ちょうど旬ですしねぇ」

「ぶどうジュースがとっても美味しい時期ですよね」

「ココはあのぶどうジュースが好きだったね」

「はい、兄さま。大好きです!」

「ふふふ、じゃあそうしましょうか? 殿下にお伺いしてみるわね」


 なんだか、とっても呑気な話になってしまった。一応、王子は狙われているんだよ。母とロディ兄は忘れてないよな。ぶどう畑の言い出しっぺは俺だけどさ。

 この季節限定で、とっても美味しいぶどうジュースがあるんだ。ぶどう畑に併設されているワイナリーで特別に作られる限定品だ。俺は毎年楽しみにしている。


「え、外にですか? 良いのですか? 迷惑かけませんか?」


 と、言いながら王子は嬉しそうだ。外に出たいと思えるだけの余裕も出てきたんだ。ここに来た当初だと、そんな事も考えられなかっただろう。


「あ、でもソフィは大丈夫?」

「殿下、お気遣いなく。私はもう元気ですよ」

「そう? じゃあ、僕もココ嬢のお付きとして同行させてもらおうかな」


 いやいや、何も俺のお付きになる必要はない。普通に、偶々来ていた客人で良いだろう。ちょっと王子が楽しそうなのは何故だ?


「いや、ココ。従者に変装して頂く方が良いだろう」

「兄さま、そうですか?」

「ああ。やはり王子殿下のオーラがね」


 王子だけに……現実、いくら迫害されていたとしても、やはりどこか凡人とは違うんだ。ロディ兄の言っていた王子としてのオーラがある。まだ痩せているが、健康になったから余計にな。

 それを隠す為に、従者の服装でごまかそうという訳だ。隆も派手な金髪をしている。2人並んで丁度良いんじゃないか?


「お嬢、安易すぎるッスね。考え方が」


 隆、お前に言われたくないぞ。


「どうしても隠せない王子のオーラがあるんス」


 そうか? なんとかなるだろうよ。隆と並んでたら紛れるだろ?


「安易すぎッス」

「でも、リュウ。殿下お1人を邸に残しておけないわ」


 いくら周りが強いとしてもだ。


「まあ、そうなんスけど」

「仕方ないですぅ」


 だよな、仕方ねーよな。うん、決まりだ。

 いよいよ当日だ。隆と同じ侍従の制服を着た王子のご登場だ。


「まあ、綺麗な侍従ですこと」


 やはり、呑気な母だ。


「やっぱオーラが隠せてないッスね」

「リュウ、許容範囲だろう?」

「ロディ様、そうッスか?」

「ああ、リュウだって負けない位目立つよ。違う意味でだけど」

「え、俺ッスか?」


 そうそう。隆だって侍従にしてはかなり目立つぞ。16歳には見えないその身のこなしだろ、その鍛え上げた体型だってそうだ。特にその派手なパツキンの髪がな。


「マジッスか!? 盲点でした!」


 全然盲点じゃないぞ。


「ですよねぇ」


 咲、弟だろう。咲も大概だけどな。なんせ、ピンクゴールドの髪だ。しかも、あざといツインテールだ。


「信じらんない色ですよねぇ。うふふ」


 うふふ、じゃないよ。気に入ってるんじゃん。

 ま、仕方ない。俺達は馬車で教会へ向かった。何故か王子も同じ馬車だ。隆は御者と一緒に御者台へ乗っている。


「そう言えば、帰りにぶどう畑へ寄るんだよね」

「そうですよ。ぶどうが旬なんです。ぶどうジュースもとっても美味しいんです」

「そうなんだ。ココ嬢は好きなんだね」

「はい。毎年楽しみです」


 と、言うか俺思うんだけど。


「お嬢さまぁ、何ですかぁ?」

「鑑定式って、今更感が半端ないわ」

「ですよねぇ~」

「そうだね。ココ嬢はもう魔法が使えるんだから」

「はい。今更、適性や属性と言われても、て感じです」

「ココ嬢は、使えない属性ってあるの?」

「……ないですね」

「もう全属性で良くないですかぁ?」

「記念だと思って参加するわよ」

「そうですねぇ」


 フレッシュ感が全くないな。本当に今更だ。

 そんな俺達を乗せた馬車が教会に到着した。


本日は5位でした!

本当に、皆様ありがとうございます!

頑張りまっす!

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