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35ー不審者 3

「侵入者は4名か!?」

「はい、父上。1人取り逃しました」

「そうか。旗を折ったのも此奴等だな」

「ええ。そうでしょう」

「我が家の旗をッ! サキ、ココのそばを離れるな! また襲撃があるやも知れん!」

「はいですぅ。旦那様ぁ」


 打ち上げは夜中まで続いた。皆がやっと解散し、父や兄達も部屋へと戻り前庭が静かになった。俺は咲と一緒に部屋で寝ようとしていた。


「やっとみんな解散したわね」

「みたいですねぇ」

「なんか嫌な感じ……」

「はいぃ。ビシバシ感じますねぇ」

「リュウは、どうしてる?」

「1階にいますぅ。リュウも気付いてるみたいでぇ。バルト様も気付いておられますぅ」


 静かにはなったが、嫌な気配がビンビンする夜だった。そんな嫌な予感は往々にして的中するもんだ。


 深夜の深い闇に紛れて邸の周りに潜む影が幾つもあった。そして、屋根からは縄を使って器用に静かに降りてくる人影が幾つか……。


「サキ……」

「はい、お嬢さまぁ」


 俺と咲は、手に短剣を持ち静かに部屋を出た。咲は両手に短剣を持ち腰には鞭を刺している。

 部屋を出ると、既にロディ兄が移動していた。


「ココ、危険だから部屋にいなさい」

「兄さま、何言ってるんですか? うちが舐められているのに黙っていられません」

「仕方ないなぁ。あまり前に出るんじゃないよ」

「はい、兄さま」


 話しながら、頭を撫でられる。こんな緊迫した時なのに。さて、どの窓から入ってくるかだ。


「サキ、どう思う?」

「この気配だと3名だと思うんですぅ。だから、こっちの3つじゃないですかぁ?」


 さすが、気配を読むのにも長けている。咲は黒ずくめの男達が侵入した殿下の部屋があった方の窓を指した。

 殿下の部屋はとっくに反対側へと変更済だ。1度侵入されたのにいつまでも変えない筈がない。


「お嬢さまぁ、来ますよぅ」


 咲がそう言うと、予測していた窓がガシャーンと派手に割れ同時に黒ずくめの男達3人が飛び込んで来た。


「サキ!」

「はいぃ!」

「ココ!」

「兄さま! こっちは平気です! 下へ! リュウがいます!」

「分かった!」


 ロディシスが下へと降りて行く。俺と咲で侵入者3人を相手取る。と、思ったらすれ違い様に速攻で咲が1人を倒していた。信じらんない。鬼強いじゃん。相手だってあの身のこなし、絶対に訓練された刺客だよ? それを一太刀かよ。


「お嬢さまぁ、惚けてる場合じゃぁないですぅ!」

「おう!」


 俺も侵入者1人を短剣で相手する。子供の俺より、ずっとタッパのある大の男がムキになって切り掛かってくる。


「甘いぜ!」


 ――カキーン!


 俺は剣を弾き飛ばし、男の首元に下から剣を突き付ける。


「弱すぎるぜ!」

「お嬢さまぁ、猿轡しないとぉ!」

「あ、忘れてた」


 俺はスカートを翻し顎を蹴り上げ昏倒させると猿轡を噛ませた。


「お嬢さまぁ、はしたないですぅ。若がちょぴり顔を出してますよぅ」


 何言ってるんだ。馬鹿言ってんじゃないよ。


「サキも終わった?」

「はい、楽勝でしたねぇ」

「お嬢様!」

「あ、ランスだ」

「ロディ様が寄越して下さったんでしょうねぇ」

「ご無事でしたか!?」

「当たり前よ。ランス、下はどうなの?」

「大した事ありませんでした」

「そう。良かったわ」

「そいつら、もらいますよ」

「ええ、お願いね」


 俺と咲が邸の中で迎え撃っている時に、ロディシスとランス、そしてバルトシスにエクター、リュウは1階の邸入り口付近で侵入者と対時していた。

 暗闇の何処からか忍び寄る影が5つ。確かに闇に紛れてはいたが、相手が悪かった。リュウ達にはハッキリと居場所や動きも分かっていた。どんな時でも最善の動きが出来る様にと訓練されているからな。闇夜位では、隠れた事にはならない。

 そうとも知らない影5人は一斉に動き出した。丁度こっちも5人だ。1対1なら楽勝だ。

 ランスが言う様に、大した事なかったのだろう。あっという間に制圧していた。声や剣を交える音さえしなかった。

 

「ねえ、ランス。剣の音がしなかったわよ?」

「ええ。抜いてませんから」

「あ……そう」

「じゃ、貰っていきます」


 ランスが大の男3人を担いで行った。どんな力なんだよ。目を疑っちゃったよ。


「訳が分かんない」

「お嬢さまぁ、何がですかぁ?」

「だって、剣を抜いてないってどうなの?」

「ああ、剣を抜く程の奴等じゃなかったんでしょうねぇ」

「舐めてるわね」

「舐めすぎですよねぇ。もうちょっと手応えないとぉ」


 ま、無事に被害がなかったんだから良かったさ。あー、窓が割れちまったな。


「ココ嬢!」


 お、今頃王子殿下のお出ましだぜ。ついでに騒ぎを聞きつけて、メイドさん達が箒を手に駆けつけて来た。掃除するつもりだな。逞しいもんだ。よく見るとメイドさん達まで腰に短剣を挿している。参戦するつもりだったのか? まさかな。


「さっきの音は!?」

「ああ、窓が割れちゃいました。大丈夫ですよ」


 はい、大丈夫だぜ。もうメイドさんが掃除してくれてるからな。ん? そういう問題でもないか?



昨日タイトルを変更しました。しっくりこなくて、何度も変更して申し訳ありません。

宜しければ、評価とブクマをお願いします!

改稿に追われながら、投稿頑張ります〜!

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