24ー試着会
「兄さま、これあと何台作ってもらえますか?」
「親方、どうかな?」
ロディシスが、ドワーフのおじさんに聞いた。親方らしい。普段はこんなの作ってないんだろうな。
「これで良いならすぐに次作るぞ」
「本当ですか! 取り敢えずあと最低2台は欲しいです。兄さま」
「分かった分かった。親方、頼めるかな?」
「おう、任せな!」
「ありがとう!」
「アハハハ! お嬢、任せな! こんな変わったの作るのはおもしれーからな!」
「ねえ、親方。織り機とかも作れるの?」
「作った事はねーが、俺に作れない物はないぞ!」
「本当に!?」
俺は、親方に織り機を見せる。
「これね、古いの。もっと、早くて色んな厚みの物が織れるといいんだけど。糸紡ぎ機もなの。原始的なのよ」
「原始的って、お嬢。こんなもんだろうよ」
「糸を紡ぐのって自動でできない?」
「ふむ……できない事もないがな。どっちが急ぐんだ?」
「ミシンね」
「み、み?」
「ミシンよ、ミシン。親方が作ってくれた縫う道具よ。ミシンって言うの」
「ほう。じゃあ、そっち作ってからだな」
「うん、それでいいわ」
いいねー、いいじゃん。これで、超スムーズに進むぜ。ミシンがあるのと無いのとだと縫う速さが全然違うからな。
「ココ、じゃあ雇った人達にも仕事を教えてくれるかい」
「はい、兄さま」
男性2人には、セリスアラーネアの世話と糸の色分けを管理してもらう事と、繭から糸にするまでを担当してもらおう。女性には、糸を紡ぐ人、布を織る人、型紙に合わせて布地を切る人、縫う人。全部一通りを試してもらって、向き不向きと本人の希望を考慮して決める。
「ココ、じゃあ僕は黒で頼むよ」
「はい、兄さま。分かってますよ」
「楽しみにしてるよ」
「兄さま、それより先に殿下の分を作らなくてもいいのですか?」
「そうだったね。状態異常無効だったか。リュウ、今それは何を作っているんだ?」
「これは旦那様のです」
「それ、そこそこで良いから先に殿下の分を作ろう」
「ロディ様、王子殿下のは黒じゃなくて良いんスか?」
「黒は僕だよ」
「え……」
「リュウ、何かな?」
「いえ……」
「取り敢えず、今あるのが白だろ? それでいい。殿下の分を優先してくれるかな」
「……分かりました」
「でも、兄さま。先に母さまの分を作ります」
「ああ、それでいいよ。じゃあ、リュウ頼んだよ」
「はい」
ロディシスは黒に拘ってないか? 俺のせいか?
「お嬢さまがぁ、余計な事を言うからですよぅ」
はいはい。けどさ、俺は黒が良いんだよ。
そして、俺達は手分けして入ってきた人達に教えてまわった。教えながらだったから、多少もたつきはしたが無事に皆に教え、母の下着も上下が完成した。早速、母に試着してもらおうと母の部屋に来ている。
「ちょっと、ココ。これはどうしたらいいの!?」
「サキ、お願い」
「はいぃ」
咲が、衝立の向こうにいる母を手伝いに入った。
「奥さまぁ、こう着けて……こう……ここからグッとですねぇ」
「えぇ!? そこからなの?」
「はいぃ。お肉をこうグッと……」
「まあ!」
「いいですねぇ。お尻もこう……」
「あらあら、まあまあ!」
何なんだよ。実況中継じゃないんだからさ。どうだ? いい感じだと思うよ? 咲と一緒に拘って作ったんだ。力作だよ。
母が普段用のドレスを着て衝立の向こうから出て来た。お、いいじゃん。スッキリしてるな。メリハリがある。
「ココちゃん! 凄くいいわ! それに楽なのよ! これなら、コルセットはいらないわね」
それは、母が細いからだよ。40歳なのに、ナイスバディだ。
「見て見て、このお胸! なんて事でしょう!」
ふわっはっはっ! どーだよ、いいだろう? まあ、ブラも拘ったけど、パンティもだよ。飽く迄も細やかに可愛らしく。その代わり、ガードルはしっかりお腹をカバーする長さにした。しかも、ちょっと凝ったんだ。母が好きそうな刺繍入りだ。将来的には淡いピンクとかで作りたいね。黒もいいなぁ。いや、先にゴムが欲しいなぁ。パンツが紐って、面倒なんだよなぁ。
「お嬢さまぁ、変なお顔になってますぅ」
悪かったね! 突っ込まないで! スルーして!
「うん、完璧だわ!」
「奥様ぁ、普段用も作っているんですぅ」
「そうなの!?」
「はい、母さま。普段用はそれほど締め付けないんですよ。お肉を支える様に作っています。垂れちゃうのは嫌ですから」
「それは大事だわ」
この世界、貴族は普段もドレスだ。と、言っても夜会に着ていく様なドレスではない。もっと、シンプルでアッサリしている。コルセットもつけない。だからこそ、この下着は重要だろう。
取り敢えず、母の分が完成したので、それからは王子の下着に取り掛かった。
どんどんお話のストックが減っていく(-。-;
ああ、恐ろしい〜!頑張って書きたいと思います!モチベーションが大切!
評価とブクマを宜しくお願いします〜!




