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☆書籍化決定☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第1章 転生後

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22ー芋掘り大会 Round 2

「もうぅ、シスコンなんだからぁ」


 咲。呟きが大きいんだよ! こんな時はいいんだよ! あれだろ? どうせ、俺が『黒の方がカッコいい』て、言ったからだろ? 予定通りじゃないか。ふっふっふ。


「うわぁ、お嬢さまぁ。悪い顔してますよぅ」


 咲、それは酷いよ! でも、人手やミシンも必要だろう。もう俺達だけでは追っつかない。だから、ロディ兄にあれ位意識してもらって丁度良い位なんだよ。

 さて、生地はこれ位にしてと。


「兄さま、さつまいもの収穫はまだですか?」

「ああ、そろそろだろう」

「楽しみです!」

「ココは好きだねぇ」

「はい、兄さま!」

「ココが発案したさつまいもチップスは好きだよ。ジャガイモを揚げたのも良いんだけど、冷えたエールを飲みながら食べると、止まらなくなるよ。あの甘じょっぱいのがいいね」

 

 うちのさつまいもチップスは、薄くスライスしたものを揚げてから軽く塩を振るんだ。だから、甘じょっぱい。

 エールとは、この世界のビールだ。みんな生温いビールを飲むのが普通だったらしいんだが、俺が『絶対に冷やす方が美味しいです!』と、言ったらしい。それから、うちの領地ではキンキンに冷やして飲む様になったそうだ。何歳の時に言ったんだ? まったく覚えていない。どうせ俺はまだエールを飲ませてもらえない。

 俺は蜜がカリッとした、大学芋を作ってもらおう。贅沢なオヤツだ。


 と、言う事で今日はさつまいもの収穫大会だ。うちは、何でも大会にしてしまうのが好きなのか? またメイドさん達も張り切って参加している。収穫の後の、試食会が目当てだろう。


「ココ嬢、今日もよろしくね」

「はい、殿下」


 また、俺が王子担当だ。もう、何も言わなくても横にいる。王子が……にこやかに。

 笑顔がよく出る様になった。顔色も良くなった。うちに来た当初とは大違いだ。うん、良かった良かった。


「どうするの?」

「殿下、手袋して下さい」

「うん。今日は持ってるんだ」

「はい。先ず、スコップでさつまいもの周りの土を柔らかくして、周りから少しずつ土を掘り起こしていくのがコツです。 スコップをいきなり土に深く突き刺してしまうと、さつまいもを傷つけてしまいます。 さつまいもを傷つけると、傷みやすくなるので気をつけて下さい」

「分かった。今日も1番の人には景品が出るの?」

「そうですよ。殿下、1番を目指して下さい」

「ハハハ、頑張るよ」

「はい! あたしも負けません!」


 咲には負けねー!


「またまたぁ、お嬢さまぁ。勝った事ないじゃないですかぁ」

「今年こそは!」

「受けて立ちますよぅ!」

「アハハハ、本当に仲が良いんだね」

「お嬢さまが、お産まれになった頃からお世話してますからぁ」

「え? サキ、そうなの?」

「そうですよぅ」


 マジかよ。覚えてなかったよ。

 この世界では、義務教育なんてないからなぁ。咲や隆はうちで教育してるけど。今も、俺と一緒にカテキョから教わっている。

 他所の家だと、お付きの者も一緒になんてそんな事はしないらしい。主人家と使用人との差は大きく、しっかりはっきりあるのが普通だ。

 うちだって、それはある。だけど、全然大らかなんだ。一緒に勉強するし、一緒に鍛練もする。一緒に芋掘り大会だってやっちゃうよ。

 危険が多い領地だからこそだ。結束や阿吽の呼吸が大切な時もある。信頼感が大切なんだ。その為だ。まぁぶっちゃけ、うちの方針なんだろう。

 また父が張り切って木箱の上に乗っている。


「準備はいいかーッ!?」

 ――おおー!!

 ――はぁ〜い!!


 黄色い声をあげるメイドさん達。くぅぅ。メイドさんは可愛いねー! 花があっていいよー!


「お嬢さまぁ、変態さんですかぁ?」


 何だよ、何て言い草だ! 俺は健全な男子なんだよ! いや、今は女子だった。いかんいかん。つい、忘れてしまうわ。

 木箱に乗った父が、高く挙げた腕を勢いよく振り下ろす。


「始めー!!」

 ――おおぉー!!

 ――キャァー!!


 またまた、キャァー! だぜ。メイドさん達は1番目指していたりしないよな? 完璧に冷やかしだよな?


「お嬢さまぁ、そんな事はありませんよぅ。みんな結構マジですぅ」


 そうなのか? けど、どう見ても真剣じゃないよ? みんな、超笑顔じゃん。


「だってぇ、楽しまなきゃですぅ」


 なぁ〜る。そりゃそうだ。


「うおおぉぉー! ふぃにぃーっしゅ!」


 あぁ? 誰だ? 変な雄叫びあげてんのは?


「うわッ! マジかよぉ!? 俺2番だ!」


 え? もしかして、隆が負けちゃったのか?


「ルーク隊長が1番みたいですぅ」


 やっぱ、体育会系だね。そりゃそうだ。


「あれは、領主隊の隊長かな?」

「殿下、そうです。ルーク隊長です」

「僕がこっちへ来る時によくしてくれたよ。凄いなぁ。1番なんだ」

「フィニッシュですぅ!」

「あ! クソー!」

「キャハハハ! お嬢さまぁ、クソーは駄目ですぅ」


 はいはい。悪かったよ。つい出ちゃうんだよ。


「やった! 掘れた!」

「お嬢さまぁ、まだまだですねぇ」

「来年こそはッ!」

「受けて立ちますぅ!」

「殿下、頑張って下さい!」

「ああ! もう少しだ!」


 王子もかなり元気になった。ジャガイモ掘りの時は、全然力が入ってなかったからな。今はしっかり掘れている。ジャガイモの時よりずっと早くなった。それでも、8歳の俺に負けてるようじゃ、まだまだだ。


ココちゃんはちゃんとご令嬢らしくなるのですよ……多分。勝ち気な令嬢みたいです。

そんなココちゃんを応援して下さる方は、評価とブクマよろしくお願いします!

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