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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第6章 王都

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216/250

216ー通路までピッカピッカ

「まて、ココ」

「え? キリシマ?」

「お前、用心しろって言っただろうよ。鑑定眼使ってねーのか?」

「あ、忘れてたわ」

「頼むぜ。見てみろよ」

「ええ」


 ちょっと大聖堂の大きさと趣きに圧倒されてた。俺は慌てて鑑定眼で見る。ああ、そうなのか。


「マジ……?」

「大マジだ」


 大聖堂の正面入り口に大きな魔法陣があったんだ。ピッカピッカ光っていたよ。

 しかも、今まで見た物の様に上下とかではない。入口を覆う様に大きな魔法陣が展開されている。こんな大きさの魔法陣は初めて見たぞ。魔法陣の中を歩いて入って行く感じだ。

 大聖堂に入る人は漏れなく精神干渉ってか。趣味が悪すぎだぞ。


「ココ、どうした」

「お祖父様、大きな魔法陣が正面の入口にあります。こんな大きな魔法陣を見た事がありません」

「なんだって」

「キリシマ、どうすんの?」

「ここのはデカイからな。俺がやるぜ」

「まて、キリシマ。その魔法陣は例の精神干渉していくる魔法陣なのか?」

「おうよ。この大きさだとほんの数回通っただけで干渉を受けてしまうぞ」

「それなら大変な事になるぞ」

「お祖父様、そうですね」

「王都の不特定多数の人々が通っている事になる。一体いつからあるんだ?」

「お祖父さま、そんなの解呪しきれませんよ?」


 とんでもなくデカイ話になってきたぞ。どうすんだよ。


「ココ、とにかく目の前の物をなんとかしよう。これ以上増やさない為にもな」

「はい、ロディ兄さま」

「キリシマ、そこから解呪できるのかい?」

「おう、楽勝だぜ」

「じゃあ、頼む」

「おうよ」


 そう言って、キリシマはバッグの中からゴツゴツとした短い指を出し、ヒュッと振った。ただそれだけだ。

 それだけなのに、パキンと音を立てて魔法陣が消えて無くなった。

 こいつ、本当にどこまで出来る様になったんだ? 凄くないか?


「へへん。ちょろいもんさ」


 マジ、何も言えねー。ちょいムカつく……いや、羨ましい。


「ココ、いつものツッコミはどうしたよ!?」

「だって、キリシマ。どこまで能力を解放してもらったのよ。普通に凄いじゃない」

「何言ってんだ。俺はドラゴンだぞ。しかもエンシェントドラゴンなんだ。これでも本当の力の数分の一だぜ」


 ああ、ドラゴンに喧嘩を売るのだけは止めておこう。


「ココ、お前何言ってんだ?」

「いや、ドラゴンって勝てないなぁってね」

「アハハハ。ココはドラゴンに喧嘩を売るつもりなのかい?」

「お祖父さま、それは絶対に止めておこうと思っていたところです」

「ココ」


 え? ロディ兄とランスに呆れられちゃってる? なんでだよ?


「とにかく、中に入りましょうか」


 ランスが先に入って行く。それも勇気あるな。この流れを見ていて自分が1番先に入ろうなんて良い度胸してるぜ。


「ココ、お前そう思うなら見る事ができるココが先に入れよ」

「キリシマ、時々良い事を言うわね」

「なんで時々なんだよ! いつもだろうよ!」


 はいはい。じゃあ、俺が先導するぜ。


「ランス、危険だからあたしが先導するわ」

「ココ様、しかしココ様も危険です」

「大丈夫よ。鑑定眼で見ながら進むわ」


 今、霧島が解呪したばかりの正面の入口を入ると、近くにいた司祭様が話しかけてきた。


「お祈りでしょうか?」


 こいつも鑑定眼で見る。当然、こいつもだ。そう深くはないが解呪が必要だ。


「兄さま、いいですか?」

「ああ、こっそりだよ」

「はい」


 俺は下で手をデコピンの逆バージョンにしてピンッと弾く。と、司祭がブルルッと震えた。


「あれ?」

「どうされました? 気分でも悪いのですか?」

「いえ、大丈夫です。お祈りに来られたのでしょうか?」

「はい。実は辺境伯領から参りました。私は前辺境伯の弟です。王都に参ったので大聖堂にご挨拶をと思い参りました」

「辺境伯様のお身内の方ですか!?」

「これは次男で、こっちは次女です」

「それはそれは、よくお越しになりました。どうぞ正面の奥にお進みください」


 そう言って、司祭様は何処かへ行った。

 入口から正面の中央身廊が最奥の祭壇にまで続いていいる。これはゴシック建築というのだろうか? 俺は建築の事はよく分からない。

 彫刻などは多くないが、両側にある上部のアーチ型したガラスがステンドグラスになっている。ヨーロッパ等にありそうな教会だ。金掛かってるね~。この世界で大きなガラスは貴重なんだよ。しかもカラフルな色付きだ。

 いや、それよりもその最奥に続いている真ん中の中央身廊だけでなく、側廊にまで途中に魔法陣が浮いている。

 祭壇に向かおうとしたら、必ず何れかの魔法陣の輪の中央を歩いていく事になる。

 こんなの反則だ。どこをどう通っても魔法陣があるじゃん。ピッカピッカに光って浮いてるじゃん。


「きっとお偉いさんが出てくるぞ」

「お祖父さま、それよりここにいる人達全員なんです。それに各通路にも魔法陣が浮いてます。どうしましょう?」

「通路もなのか?」

「はい。どこを通っても魔法陣を通る事になります」

「そこまでなのか……解呪は無理なのかい?」

「分かりません。この人数で、こんなに広い場所を解呪した事がありませんから」

「ココなら余裕だぜ」

「キリシマ、そう?」

「おう。ココの魔力量ならこの程度楽勝だ。でも、俺がやるぜ。ロディ、やっちまってもいいか?」

「ああ、キリシマ。頼む」

「よし」


 そして、霧島はまた手を出す。今度は大きく円を描いた。それだけだ。

 なんだよ、こいつ。凄すぎるだろう。



読んで頂きありがとうございます。

誤字報告もありがとうございます。


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