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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第6章 王都

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182/250

182ー第1王女

「まさか、マールミーア殿下がおられるとは思いもしませんでした。イザークス殿下、内密に重要なお話があると先にお伝えしましたが」

「分かっている。しかし……」

「あら、何ですの? 私は邪魔なのですか?」


 何言ってんだ。約束していない奴が急に来るのが間違っているんじゃないか。こいつは、解呪2回だな。性格までは治せないだろうけど。

 俺は目を合わさないように注意しながら第1王女を見た。だって関わりたくないからさ。


「ロディシス様はいつの間にか卒業されて、もうお目に掛かれないのかと寂しく思っておりましたのよ」


 マジで性格の浄化もしたいぞ。嫌な感じだ。微笑みながら流し目でロディ兄を見ている。

 言っておくが俺は決してブラコンではない。ロディ兄が別に誰を気に入ろうが、それは自由だ。だけど、この王女の話し方と仕草、それに格好だよ。

 ロディ兄にアピールしてんだろうけど、逆効果だ。歳に似合わない真っ赤な口紅に濃いメイク。とんがった長い爪。昼間なのに胸元が大きくあいたヒラヒラなドレスに極め付けがキツイ香水だ。

 元々、少し派手目なのだろう。キャラメルブロンドの長い髪を大きく縦カールさせていて大きな髪飾りをつけている。オレンジガーネットの瞳がまるで獲物を狙う蛇の様だ。

 まさかとは思うけど、このまま学園に行ったら浮くぞ。そして周りは引くぞ。何よりも全く似合っていない。


「ココ、学園は制服だけどね。それ以外はまんまなんだ」


 ロディ兄が嫌そうな顔でボソッと呟いた。マジか。何かに憑かれてでもいるのか? もう1度鑑定しておこう。


「イザークス殿下、お話がございます。人払いをお願いできますか?」

「分かった」


 第1王子が、周りに合図をすると控えていた侍女達や護衛も距離をとって離れた。


「ミーア、これから大事な話がある」

「そうなのですね」


 と、動かず優雅にお茶を飲んでいる。これは動くつもりないぞ。

 解呪を軽く1発だけいっとくか? と、思ってロディ兄を見る。

 小さく首を横に振られてしまった。大丈夫だよ。こいつは1回解呪した位、どうって事ないぞ。ちょっとふらつかせる位で丁度良いんじゃないか?


「ココ……」

「兄さま、大丈夫です」

「本当に?」

「はい。軽〜く1発だけにしておきますから」

「意味が分からないけど、じゃあ軽くね」

「はい」


 小さな声で、聞こえない様に話す俺達が気に入らないのだろう。第1王女殿下は目を細め睨む様な目つきで言った。


「あら、仲がよろしいのね」

「可愛い妹ですから。初めてで緊張しておりますので」


 ロディシスが話している間に、俺はテーブルの下で指をピンと弾いた。

 デコピンする時の弾く手、あの逆さまバージョンだ。それで、軽く1発解呪だ。

 すると、少しビクッと身体を震わせた王女。


「あら? 少しフラつきますわね」

「ミーア、部屋に戻って休みなさい」

「残念ですけど、そうさせて頂きますわ。ロディシス様、まだ王都におられるのでしょう?」


 と、話しながらも身体がフラフラと傾いていく。

 見兼ねた第1王子が人を呼び、王女は両脇から支えられる様にして退席していった。


「ココ、やり過ぎじゃないか?」

「ロディ兄さま、本当に軽く1発だけです。あの程度なら直ぐに元に戻ります」

「何の話だ?」

「殿下、実は内密にお願いしたいのですが……」


 グスタフじーちゃんが、キョトンとしている第1王子に俺のスキルの説明をした。


「なんとッ!?」

「それに辺境の領地にはエルフがおります。直々に色々と指導を受けております」

「エルフか!?」

「はい。このココアリアはエンシェントドラゴンやブラックフェンリルの加護も授かっております。ココアリアの見立ては確かなものです」

「ドラゴンにフェンリルだとッ!?」

「この数年、陛下がお出ましになられない理由をご存知ですかな?」

「父上はずっと病に伏せておられると聞いているが?」

「では、第3王子殿下はどこにおられます?」

「フィルドラクスか。あれは……別宮にいるのではないのか?」

「不自然だとは思われませんでしたか?」

「母上の侍女が話していたのだ。まさか、私に虚偽の話をする筈がないだろう」

「そうでしょうか? 殿下、1度試しにココアリアの解呪を受けてみられませんか?」


 あ、はっきり言っちゃったよ。それは、受け入れられないのじゃないか?

 普通は自分が呪われているだとか、精神干渉を受けているなんて思いもしないから。


「どの話も直ぐには信じ難いものだ」

「では、私が嘘を申していると?」

「いや、そんな訳ではない。セーデルマン侯爵の事は信頼している」

「では……」

「しかし、エルフは未だしもドラゴンにフェンリルとは……信じられん」

「呼びましょうか?」

「ココ」

「兄さま、ずっとキリシマは聞いているのですよ。キリシマなら呼んだら直ぐに飛んできますよ」

「でも、あれはドラゴンに見えないだろう?」

「ココアリア嬢、本当に呼べるのか? 呼べるのなら是非1度見てみたい!」


 王子、食いついたね。なら、こっちのもんだ。


「但し、殿下。親ドラゴンにお仕置きされて小さくされています。見た目はドラゴンに見えません。それでも信じて頂けますか?」

「ああ。呼べるのなら信じよう!」


 言ったな。言質はとったぞ。霧島、聞いてんだろう?


『おうよ』


 なら、ドドンと派手に登場してくれ。


『俺様の出番か! 任せな!』


 と、霧島が返事をした瞬間にポポンッと何もない空間にキリシマが登場した。

 だからさぁ、もっと威厳のある登場の仕方とかないのかよ。ポポンッて何だよ。ちゃっちーぞ。


読んで頂きありがとうございます。

誤字報告もありがとうございます。

宜しければ、評価やブクマをして頂けると嬉しいです。

宜しくお願いします!

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