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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第6章 王都

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180/250

180ー謁見の間

「用意はできたのかい?」


 と、グスタフじーちゃんと一緒に父やユリシスじーちゃんにディオシスじーちゃん、そして王子が降りて来た。


「ココォ! なんて可愛らしいんだぁー!」

「ココォ! 可愛いぞッ!」

「アハハハ」


 はいはい、ありがとう。この2人は語彙力があまりないらしい。ディオシスじーちゃん、爆笑してんじゃないよ。


「ココ嬢、見違えたよ。とっても令嬢らしく見えるよ」

「殿下、それは褒めていませんね?」

「アハハハ、そんな事はないさ」


 本当に、好き勝手な事を言ってるよ。


「いいか、ココ。絶対にそばを離れるんじゃないよ」

「はい、ロディ兄さま」

「そうよ、ココちゃん。お城は広いから迷子になっちゃうわ」


 え、そういう問題なのか?


「エリフェミア、そんな問題じゃないね」

「え? あなた、そうですか? ココちゃんなら、迷子になっちゃうと思ったのですけど」

「ぷぷぷ」


 隆、笑うんじゃないよ。

 

「じゃあ、そろそろ行こうか」

「はい、あなた」

「お祖父様、今日は宜しくお願いします」

「なんの、ロディも見違えたぞ」

「アハハハ。着慣れませんよ」

「ロディ、ココ。堂々としておればよいッ」

「ユリシスお祖父さま、行ってまいります」

「おうッ」


 ちょっと出かけるのも一騒動だ。

 城に行くのだから、そうなるのか。しっかり敵情視察してきてやるぜ。


「ココ、大人しくしていなさい」

「えぇ~、ロディ兄さま」

「駄目だよ」

「はぁい」


 なんだよ、ただ大人しく挨拶するだけなんて勿体ないじゃん。せっかく行くんだ。多少は何かを掴まないとな。


「ココ、今日はロディとお前が登城する事に意味があるんだ。余計な事はしなくてよい」

「お祖父さま、分かりました」


 そうか、意味があるのか。俺達が行って、一体誰が出てくるのだろう? 王は出て来ないよな。なら、王妃か? それとも上の王子か? 嫌々、宰相だけって事も考えられるよな。


「昨日ちゃんと使いを出してあるのよ。だから王族が、誰も出て来られないなんて有り得ないわ」

「お祖母さま、そうなのですか?」

「そうよ。そんな事をしたら、辺境伯を蔑ろにしている事になるのですもの」

「そうだ。国の大事な領地を治める辺境伯の身内が態々来ているんだ。王族のどなたかが出てこられるだろう」


 馬車の中でそんな話を聞いた。母方の実家の紋章が入った馬車だ。分かる人は分かるらしく、遠くからでも頭を下げている人達がいる。

 辺境の領地とは全然違うんだ。領地だと、気軽に声を掛けてくる。

 俺だったらココアリアとじゃなく、ココ様と声を掛けてくる。そんな身近なのも良いんだけど、こうして見ていると母方の祖父母は父達とは違った威厳がある。


「ココ、これが貴族だよ。よく見ておきなさい」

「はい、ロディ兄さま」


 馬車は貴族街を抜け、城へと向かう。王都自体が頑丈な防御壁で囲まれているが、そのまた中央にある城も城壁に囲まれている。

 星形の城砦で囲まれた中に城があり、星形の凹んだ部分には三角形のラヴリンがある。

 内側には兵達が移動する為の斜路があり、平時は王城を守る兵達の簡易的な駐屯所も兼ねている。

 そんな城壁にある1つの門で馬車は止まる。そこで、御者が誰が乗っているか等を話すんだ。そこから、城壁の中にはいる。

 カーブした坂を上り、城へと近づいていく。手前の馬車止めで馬車を降りる。

 作り込まれた広い庭には色とりどりの花が咲き乱れ、木々も丁寧に手を加えられているのがよく分かる。木の形が皆揃っているんだ。何なら高さまでそう変わらない。森にある木々とは別物だよ。

 城で働いているのだろうメイド服を着たお姉さん……おね……え? あの子、うちのメイドさんじゃね?

 と、思ってみていると、周りに分からない様にペコリとしてくれた。やっぱそうじゃん。凄いな、もうあんなに周りに溶け込んでいるぞ。流石だよ。

 俺なんて、浮きまくりだ。場違いも良いとこだ。まるでピエロじゃん。


「ココちゃん、胸を張りなさい」


 ばーちゃんに注意されちゃった。ちょっと気後れしちゃってたから。

 俺達は城の中へと入って行く。すると、1人の男性が待っていた。


「セーデルマン侯爵様、お待ちしておりました。ご案内致します」

「ああ、ありがとう」


 従者か何かなのだろう。じーちゃんも知っている顔らしい。

 その後を俺達は付いて行く。通されたのが、謁見の間だった。まさか、謁見の間に通されるとは思いもしなかった俺は、気後れなんてもんじゃないよ。ちょっと手が震えてしまった。

 真ん中に真紅の絨毯が敷かれ、両脇には王族を守る近衛兵が整列している。近衛兵が出張っているという事は、祖父達が話していた様に王族の誰かが出てくるのだろう。

 その中央に敷かれた絨毯の上を進み、数段ある階段の前で止まる。その数段高くなっている場所に王族が出てくるんだ。

 中央に、豪華な椅子が置いてある。


「陛下の座られる椅子ではないな」


 と、小さな声で祖父が言う。見ただけで分かるのかよ。流石、宰相を務めた事がある人は違う。

 俺の父だときっとそんな所に気が付かないだろうなぁ。


「ココ、令嬢らしい顔にしなさい」

 

 ロディ兄、意味の分からない事を言うんじゃないよ。


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