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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第5章 王都へ

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152/250

152ー街の陰

 次の日、約束通り俺は霧島を肩から掛けるバッグに入れて街へと出掛けた。もちろん、咲と隆も一緒だ。そして、引率はディオシスじーちゃんだ。

 この旅でディオシスじーちゃんは俺担当なのか? いつもはロディ兄がべったりなのに、今回はディオシスじーちゃんが常に側にいてくれる。


「ロディは他にする事があるんだよ」

「お祖父さま、何ですか?」

「何だろうね~」

 

 あ、ズリーな。教えてくれないんだ。

 まあ、いいか。俺達は街の商店が並んでいる方へと向かう。屋台も沢山出ている。活気があって良い街じゃね?

 前の街は盗賊団によって物が不足していた。その為に活気がなかった。ゴーストタウンまではいかないが、元気のない街というのは雰囲気が重い。正に暗雲が立ち込めている感じだ。

 この街の領主は父とは思想が違うと、ディオシスじーちゃんが話していた。だが、仲が悪い訳ではないとも。

 でも、街を見る限りでは活気があって良いと思うんだ。


「確かに活気はある。それだけ多くの民が生活をしているんだ。民の努力もあるだろう。その民を貴族の為になどと考えるのはおかしくないかい? 領主の、貴族の為に民がいるのではないんだ」


 確かにそれはそう思う。ん? なら、どんな領主でもこの街は大丈夫という事か?


「ココ、それは違う。今の領主以上に、民から税金を取るような領主だと民は離れていくだろう」


 今がギリギリのラインという事なのか? 俺は領民ファーストをモットーにしている父しか知らない。だから想像がつかないんだ。

 父以外に領地を持つ貴族といえば、母方の祖父母だ。だけど、祖父母とも赤ちゃんの頃に会ったきりだ。俺は顔どころか会ったことさえ覚えていない。

 でも、母が選んだ父を支えてくれている人達だという事は知っている。

 兄や姉が王都の学園に通っている時に世話になっている事もだ。

 俺も王都の学園に通うようになったら世話になるのだろうな。学園には行きたくないけどさ。


「フフフ、エリアリアも行きたくないとゴネていたよ」

「だってお祖父さま、本当に行きたくありません」

「色んな人と接する事も大切だと言わなかったかな?」


 聞いたけどさ。行かないと駄目なのは分かっているけど、嫌なもんは嫌だ。仕方ないと思っているさ。学校には行かなきゃな。この世界で、教育を受けられるだけでも有難いってもんなんだから。


「ココはお利口さんだ」


 ディオシスじーちゃんが俺の頭を撫でる。大きくてゴツゴツとした大きな手だ。

 ロディ兄とはまた違う。温かい優しい手だ。

 この手でユリシスじーちゃんと一緒に領地を守ってきたんだ。どれだけ危険な事があったのだろう。俺には想像もつかない。


「おや、ココもそんな事を考えるようになったか。つい最近まで赤子だったのにね」

「お祖父さま、それはあんまりです」

「ハハハハ」


 姉の気持ちが今は分かる。俺だって兄達と一緒に領地を守りたい。いや、守るんだ。

 もっともっと安心して生活できる領地にするんだ。諦めなくても良いように。悲しい事が少しでもなくなるように。


「ココ、お前いい奴だな」

「だからキリシマ。喋ったら駄目だって」

「分かってるって」


 俺のバッグから顔だけちょこんと出して街を見ている霧島。アハハ、可愛いぞ。

 霧島とも不思議な偶然だな。


『ココ、偶然じゃねーぞ。必然だ』

『何よ、念話なの?』

『ああ。俺が閉じ込められていた卵な、あれは一定の魔力量がないと浄化できないんだ。それをココはアッサリと浄化した。そんなの偶然な訳ねーだろ』


 そうだったのか。でもあの汚い卵を誰が浄化しようと思うかね。苔まみれで臭っていたんだぞ。だからクリーンを何度もしたんだ。


『ほんと、ヒデーなッ』


 ハハハハ。霧島がいてくれて助かった事もあるからな。

 これも縁だ。ノワもそうだ。まさかブラックフェンリルだとは思いもしなかった。それ以前に俺はブラックフェンリルを知らなかったしな。

 足元を行くノワがきょとんとしている。可愛いなぁ。こうして見ていると可愛い黒い子犬じゃん。

 

『ココ、ココ。あれ、肉じゃね!?』


 ああもう、霧島。台無しだよ。


「お祖父さま、あれはお肉ですか?」

「そうだね、食べるかい?」

「キリシマが欲しいそうです」

「キリシマか、アハハハ。買ってきてあげよう。ベンチで待っていなさい」


 ディオシスじーちゃんと隆が串に刺して焼いている肉を買いに行ってくれた。俺達は咲と一緒にベンチで休憩だ。


「お嬢……若さまぁ、果実水でよければ飲み物も買いますかぁ?」

「キリシマ、どうする?」

「俺はココが飲むなら少しもらうよ」

「アン!『おれも!』」

「じゃあ、サキ。キリシマとノワと分けるわ」

「はいですぅ」


 サキが果実水を買う為に走って行った。

 昨日、芸を披露した中央の広場だ。人が行きかっていて店には商品も十分に並んでいる。

 そんな街の片隅の路地に目がいった。

 ああ、そうか。本で読んだ事がある。前世日本人の俺は馴染がないが、稼業が稼業だったお陰で何度かそういう境遇の人達を見た事がある。

 所謂、路上生活者だ。だが、前世とは違い細い路地に寝そべっていて生きているのかさえも分からない。これはちょっと酷いぞ。

 だって、父の領地には路上生活者はいないからな。歴代の辺境伯の努力の成果だ。


読んで頂きありがとうございます。

毎日暑いです。熱中症にはお気をつけて下さい。

宜しければ、評価とブクマをお願いします!

目指せランクイン!と、頑張ります。

宜しくお願いします!

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