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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第5章 王都へ

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150/250

150ー踊り子?

 無事に街に入った俺達は宿へ……ではなく、街の中心にある広場へ来ていた。何でかって?

 張り切っているんだよ、メイドさん達が。おっと、咲と隆もだ。

 人の多い広場で何やら芸をするらしい。

 俺はさぁ、確かに変装とは言ったけど実際に芸をする必要はないと思うぞ。変に目立ってしまうじゃん。

 

「ココ嬢、何が始まるんだろうね」


 王子までちょっと楽しそうに見ている。

 

「ココ、どうした?」

「ロディ兄さま、芸までする必要がありますか?」

「アハハハ、そうだね」

「逆に目立ちませんか?」

「まあ良いんじゃないかな。良い気分転換になるだろう」


 えぇ〜、気分転換どころの話じゃないぞ。凄い多くの街の人達が集まってきたぞ。

 と、そこに1番最初に出て来たのが奴等だ。咲と隆の姉弟だ。思わず目を疑ったぜ。

 隆は手にギターの様な物を持っている。え? 隆って楽器を使えたのか?

 俺がそれだけで驚いていると、咲だよ。派手な格好のヘソ出しルックだ。ついでに、腕と膝から下が透けている。

 そしてショールの様な薄い生地の物をヒラヒラさせながら歌い出した。隆と2人でデュエットをして、しかもハモっている。

 それ何の歌だよ。俺は聞いた事もないぞ。

 

「驚いたよ。ココ嬢は知っていたの?」

「いえ、まったく知りませんでした」


 王子以上に俺の方が驚いているさ。

 前世でも、あの2人が一緒に歌っているのを見た事がなかった。隆だって、楽器が使えるなんて全然知らなかった。

 もしかして、ミリーさん達は知っていたからあの衣装をチョイスしたんじゃないのか? きっとそうだよ。俺だけ知らなかったのか?

 目をまん丸にして、ポカンと口を開けて驚いていたら元気に可愛くメイドさん達の登場だ。

 曲もアップテンポになり、集まった人達からも声援が起こり手拍子も始まり盛り上がる。

 咲と隆の歌に合わせて華麗にキュートに舞うメイドさん達。羽根のついたお揃いで色違いの可愛い帽子を被っている。ピーターパンみたいだ。


「アハハハ。ココ、ずっと口が開いているよ」

「ロディ兄さまは知っていたんですか?」

「何をかな?」

「サキと隆です」

「ああ、あの2人は邸では有名だよ。知らなかったのかい?」

「全然知りませんでした」

「ココは早い時間に寝てしまうからだね」


 えぇー、夜は大人の時間って事なのか?

 俺、超不満だ。俺だけ仲間はずれみたいじゃん。


「だってココは起きていられないだろう?」

「そうですけど……」


 メイドさん達が帽子を脱ぎ、見ている人達の前をゆっくりと舞いながら移動する。

 すると、その帽子にコインが入れられた。稼いじゃっている。いいのか? 他人の領地でさぁ。


「皆の良いお小遣いになるよ」

 

 そんな問題か? 今回の旅で、早くも俺は驚いてばかりだ。うちの領地の人間は一体どうなっているんだ。

 

「お嬢……若さまぁ、どうでしたぁ?」


 キラキラした笑顔で咲が戻ってきた。今俺は少年に変装しているからな。お嬢と呼んではダメだぞぅ。


「びっくりしたわ。サキもリュウもな」

「そうッスか?」

「リュウが楽器を使えるなんて知らなかったし」

「俺、器用なんスよ」


 いや、そんな事は言ってない。答えがズレてるぞ。でも、確かに器用だ。2人のデュオは上手だったよ。知らない歌だけどな。


「次は若も一緒にやるッスか?」

「何をだよ」

「いや、歌と踊りッス」

「やらねーよ」

「えぇ〜、若はぁ歌が上手だったじゃないですかぁ」

「今の歌を知らねーだろ」

「かまいませんよぅ。アニソンでもどうですぅ?」


 前世でも歌った事がないだろうが。本当にこの2人は。

 でも、楽しかったぞ。


「リュウ、とっても上手だった。サキも綺麗だったぞ」

「ありがとうございますぅ」

「若ぁッ!」


 また、隆が抱きついてくる。暑苦しからやめろと、俺は隆の背中を叩く。


「アハハハ、相変わらず仲が良いね」

「でん……じゃなくてフィルさま。暑苦しいだけです」

「そうかい? アハハハ」


 今回、王子も身バレしてはいけない。だから、少し裕福な商人の様な格好をしている。そして、『殿下』とも呼んではいけない。『フィルさま』だ。


「安易ッスよね」

「なにが?」

「フィルさまッス。高貴なオーラが隠しきれてないッス」

「リュウ、そう?」

「そうッス。安易すぎッス」

「でも、リュウの吟遊詩人よりはマシだろう?」

「どこがッスか?」

「その派手な金髪とか」

「まじッスか!? 盲点ッス」


 どこが盲点なんだよ。パッと見で分かるだろう。そのキンキラキンの髪がさ。この件、何度目だよ。

 それはそうと、令嬢だという事を気にしなくて良いのは楽だ。別に普段、無理をしていた訳じゃない。令嬢らしくしている俺も俺だ。だが、こうして男の子の恰好をして令嬢っぽい言葉使いをしないだけで楽だと感じる。だが、両方俺だ。そう思う。


「お嬢さまぁ、本当は令嬢だと忘れてはいけませんよぅ」

「分かってるって」

「楽っしょ?」

「まあな〜」


 隆は、もう少し言葉をちゃんと話そうな。単語だけってどうなんだ? まあ、伝わるが。


「フィルさま、そろそろ宿へ行きましょう」

「ああ、分かった」


 アルベルトも騎士の恰好をしていない。商人に雇われている冒険者といったところか。ガタイが良いからな。商人の変装は諦めた。


「リュウもいい身体してんのにな」

「何スか?」

「筋肉だよ」

「俺はまだ細いッスから」

「そうね。アルベルトとかは無理ね」

「スね」


 おいおい。とうとう2文字だよ。

 前世の頃を思い出す。隆と2人で遊んだり、逃げたり。

 どうして逃げていたかは、想像にお任せするとしよう。


読んで頂きありがとうございます!

本当に、毎日忘れずに読みにきて下さる方々、ありがとうございます。

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