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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第4章 立ち向かう

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122/250

122ー守りたい

 普段はするはずのない特別なサインだった。『手の空いている兵は直ちに武器を持って集合せよ!』という緊急収集の合図の笛だった。

 俺は産まれてからこの合図の笛を聞いた事がない。それくらい特別な物なんだ。

 一瞬、なんの合図なのか頭が付いていかなかった程だ。

 いつもの様に俺と咲だけなら飛び出していただろう。だが、その日に限って王子がいた。

 王子を守らなければ! その思いが、はやる気持ちを抑えていた。


「お嬢! 無事ッスか!?」


 隆が駆け込んで来た。霧島とノワが一緒だ。


「リュウ! 一体何が起こっているの!?」

「分かりません! しかし、外に出ないでください!」

「分からないのに出てはダメなの!?」

「ココ、待機だッ! 今きっとじーちゃん達が確認しているはずだ!」

「それで、あの笛なのね?」

「お嬢!」

「リュウ! だってあの合図わかるでしょう!」

「分かるッスよ。俺、初めて聞いたッス」

「ならここにいても仕方ないわ」

「お嬢、だから余計にダメッス!」

「ココ! 落ち着け! フィルを守らなきゃなんねーだろうが!」


 くっそ、霧島の言う通りだ。俺が1番そばにいるんだ。王子が最優先だ。守らないといけない!


「この気配は魔物か?」

「キリシマ、分かるの?」

「ああ、気配がな。人ではないぞ」

「アウウゥ、アンアン!!」

「そうなの? ノワも分かるの!?」

『分かる! 魔物がたくさんやってくる!』

「キリシマ」

「おう、あの防御壁を魔物が壊せるはずないだろうよ」

「人為的なものよね」

「となればココ、余計にここから動くなよ」

「なんでよ、出るわよ!」

「だめだッ! 守るんだよ!」

「くッ……!」


 悔しいなあ、焦ったい! けど、霧島の言うことは正しい。それは分かる。

 でもこの面子だけで、狙いを定めてくるだろう奴等から守るのかよ。


「まだどこにいるのかは知られていないだろう」

「そうね、まさかこんな作業場にいるなんて思わないわね」

「ああ。それにだ。この作業場は1番新しい。ドワーフの親方が建ててくれた作業場だ。頑丈だぜ」

「……リュウ、下のじーさん達はどうしてる?」

「1階の入り口を閉じて2階にいますよ。じーさん達も臨戦態勢ッス」

「えっ?」

「あのじーさん達も、手に武器持ってるッス」

「そうなの? 使えんのか?」

「当たり前ッス。この邸で戦えないのは、子供達とこの部屋の女子だけッスから」


 し、し、知らなかったぞ! あの普段実験好きのルイソ爺さんも戦えるのか!?

 ルイソ爺さんは、結構のほほんとしてるぞ。


「強いッスよ」


 と、隆は親指を立てながらウインクした。

 この邸の人間はどうなってんだ!? 誰も彼もが強いって普通じゃないだろう!?


「お嬢、そういう土地柄なんッス」

「辺境伯領ですからぁ」


 いやいや、それだけでは通じないだろうよ。


「お嬢様、この領地の誰もが1度は経験しているんですよ。魔物に大事な人や家を奪われて悔しい思いをした事があるんです。だからですよ。みんな自分を鍛えるんです。私達は何も出来なくて不甲斐ないです」


 そう、ミリーさんが言った。そうか。みんな経験しているんだ。

 理不尽に突然大切な人の命を奪われる。そうでなくても、突然住む家が無くなる。そんな思いをしているからこそ、日々鍛練をするんだ。

 俺だってそうだ。守れなくて悔しい思いをしたくなかったら鍛練するんだ。と言われて育ってきた。

 無くした経験はないけども、大事な人や物を守れないのは嫌だ。悔しい。


「ミリーさん、不甲斐ないなんて思わないで。少なくとも、みんなが作ってくれた下着で守られている事もあるんだから」

「お嬢様……有難うございます!」

「でも、こんな事が起きるなんて……もっと急いで領主隊の隊服を作っておくんでした」

「本当よ、悔やまれるわ」


 みんな気持ちは一緒だ。


「大丈夫よ。魔石はみんなに行き渡っているわ」


 できなかった事よりも、既にやった事を誇りに思おう。

 魔石を付与して全員に渡してある。それでなくても領主隊は強い。屈強な男達の集まりだ。そう簡単にはやられないさ。

 そんな事を考えていると、また笛の音が聞こえてきた。


 ――ピーーー!!


 始まりの合図だ。攻撃が始まったんだ!


「リュウ、母さま達はどこにいるの?」

「奥様はクリスティー先生と保護している子供達と一緒ッス」

「そう、クリスティー先生が一緒なら大丈夫ね」

「はいッス」


 うちの邸の裏の位置関係だが、俺が今いる作業場、そして、母とクリスティー先生がいる屋舎だ。ここは保護した子供達がいる部屋と、庭師や主に邸の外で働いてくれている人達の宿舎になっている。そこの1階に子供達と一緒にいるらしい。

 この屋舎が1番邸に近い。そして、斜め向かい側にこの作業場。

 その奥には鶏舎と牛舎がある。飼っているのは鶏でも牛でもないけども。それによく似た魔物だ。

 その奥に、領主隊の宿舎と待機場、そして、鍛練場だ。

 なんとかして、母とクリスティー先生に合流したい。


「リュウ、向かいの屋舎へ移動したいわ」

「お嬢、合流したいッスね」

「そうよ」


 隆が、窓から外の様子を伺った。


読んで頂き有難うございます!

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それを励みに毎日投稿頑張りまっす!

毎日、読んで下さっている方々、本当にありがとうございます!


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