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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第4章 立ち向かう

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120ー実験終了しようぜ

「クリスティー先生、もう良いんじゃないですか?」

「ロディ様、そうですか?」

「はい、もう充分ですよ」

「しかし、まだシールドが消えておりませんッ」


 ロディ兄とクリスティー先生が話し合っていた。


「しかし、領主隊から苦情が……」

「おや、そうですか?」

「はい、ずっと柱のところで見ているだけですから」

「それが実験なのでっす」


 領主隊がもう良いだろうと言い出したシールドの実験だ。

 普通、シールドを維持しようと思ったら1日に1度は魔力を流さないといけない。そうしないとシールドが消えてしまうんだ。

 だが、今回はテストなので最初にシールドを張っただけで、魔力を流したりはしていない。

 それがなんと、2日目に入っている。本当に俺も思うさ。もう良いだろうよ。


「なんとぉッ! まだやっていたのかぁッ!?」


 と、父がびっくりした位だ。片手にシュークリームを持って食べている。口の横に生クリームがついてるぞ。平和だね。

 クリスティー先生、本当にもう良いよ。


「撤収しよう……」


 ロディ兄が呆れている。

 領主隊もごめんよ。交代で2日もただただボーッとシールドを見ていただけだ。


「ココ、これだけ時間があれば逃げて来られるだろう」

「兄さま、そうですよね……」


 ちょっと、俺も引いちゃうよ。まさか、2日もするなんてさ。


「ふふふ、クリスティー先生は実験が好きだから」


 と、母は優雅にお茶を飲んでいた。


「ふむ、もう充分だッ!」


 父よ、シュークリーム何個目だ?


「俺も食うぞッ!」

「おうッ! キリシマ、食べろ食べろ! 美味いぞぅ!」

「アンアン!」

「おぉ!? なんだ? ノワも食べるか!?」


 え、ワンちゃんにシュークリームあげたら駄目だぞぅ。


「お嬢、ワンちゃんじゃないッス」

「そうだった」


 シュークリームを丸ごと1個もらってかぶり付いている、ブラックフェンリルのノワちゃん。尻尾をフリフリしながら、食べている。

 領主隊が2日もシールドを見てくれているのに、呑気すぎる。


「これ、うめーなッ!」


 霧島の口の周りに、生クリームがついている。


「アン!!」


 ああ、ノワもお鼻に生クリームがついてるよ。

 俺も食べよう。領主隊には申し訳ないけども。


「だけどまさか、2日も消えないなんて思わなかったよ」

「兄さま、本当ですね」


 シュークリーム美味いなぁ。中のクリームがカスタードと生クリームと2層になってるのがまた良い。


「ココ、他人事だね」

「え? 兄さま、シュークリーム美味しいですよ」

「ふふふ、ココちゃんったら」


 平和だね〜。あ、シュークリームを作業場のみんなにも持って行ってあげよう。


「ね、シーゲル」

「はい、ココ様」

「作業場にもシュークリーム持って行きたいの」

「畏まりました。ご用意しましょう」


 メイドのお姉さんが走って行った。

 よく教育できているよ。感心するわ。

 で、俺は咲とシュークリームを持ったメイドのお姉さんと一緒に作業場に来ている。


「お嬢様! おやつですか?」


 目敏く見つけたのは、ナタリーさんだ。


「そうよ、シュークリームよ。休憩にしましょう。みんな食べて。サキ、ロウさん達にも持って行ってちょうだい」

「はいですぅ」


 と、返事はしているが実際に持って行くのはメイドのお姉さんだ。

 咲はみんなにお茶を入れてくれている。


「シュークリームなんてめったに食べられないから嬉しいですぅ!」


 そう言いながらもう食べているのがマニューさんだ。


「本当ね。ここに働きに来なかったら食べられなかったわ」


 と、ルリアさん。


「ああ、甘くて美味しい」


 頬張っているのが、ミリーさんだ。


「そう? 珍しいかしら?」

「お嬢さま、そりゃそうですよ。甘いものより食事の方が大切ですから」


 そっか。そんなにみんな食べるのも苦しかったりするのか?


「お嬢様、違いますよ。スィーツは作るのにも手間が掛かるでしょう? だからですよ。みんなちゃんと毎日普通に食べていますよ」


 そうか。なら、良かった。

 広くなった作業場で、休憩室だってあるのに皆椅子を持ってきて俺の近くに座っている。咲も当たり前の様にお茶を出してくれている。

 こうして、遠慮なく接してもらえる様になったのは嬉しい事だ。

 最初はやはり『お嬢様』て線引きがあった。もちろん、今もそれは明確にある。

 だけどな、今は仲間意識もあるんだ。あると思いたい。

 俺の『辺境伯のお嬢様』て立場を意識し過ぎて何をするのも気を遣って。なんて事はない。


「お嬢様、食べないんですかぁ?」

 

 ほら、俺が食べなくても食べている。そして、少し気にしてくれる。


「あたしはもう食べたのよ。美味しいからみんなにと思ってもらってきたの」

「ありがとうございます!」

「美味しいです〜!」


 これくらいの距離感でいいよな。お嬢様だからって恐縮しなくていい。

 必要以上に身分の差を感じなくていい。

 本当は貴族なんて無くてもいいんだ。そんな身分差のない世界に俺は生きていたからそう思う。

 だがこの世界は違う。それを俺1人の力で変えられるものでもない。

 だからという訳ではないが、父が治めるこの領地では一緒に笑って一緒に美味しいと言える。この程度でいいと俺は思うんだ。

 そしてこの日、ソフィが目を覚ました。


「私は何て事をッ! 殿下、申し訳ありません! どうか私を罰してくださいッ!」


 と、打ちひしがれていた。ソフィは今までの事を全部覚えていたんだ。


「思い出してくれるか? 何がきっかけだったのか」

「はいッ! もちろんです。覚えている事は全てお話しします!」


あぁ、シュークリームが食べたくなってしまうぅ。

読んでいただき有難うございます!

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