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☆11/17発売☆おてんば末っ子令嬢、実は前世若頭だった!? 〜皆で領地を守ります!〜  作者: 撫羽
第3章 領地の防御

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106/250

106ー絵本

「お嬢様、パターンができたらメイド服を持って行ってあげてください。後は私達で大丈夫ですよ」

「そう? ミリーさん、じゃあ任せるわ」

「ええ、お任せください」


 おや、咲がピュ―ッとツインテールを揺らしながら走っていったぞ。きっと人手を連れて戻ってくるはずだ。


「じゃあ、もらっていくわ」

「お嬢様、それであのえんぴつなんですけど」

「うん、ミリーさん。えんぴつがどうしたの?」

「欲しいと言っている人が何人もいるんですよ。売らないんですか?」

「ああ、忘れてたわ。ごめんなさい。ロディ兄さまに聞いておくわね」

「はい! お願いします! みんなお嬢様が作って下さった文字の表を写して覚えているんですよ」

「そうなの?」

「はい。識字率っていうんですか? 一気に上がりますよ」

「それは嬉しいわね~」

「こんなに簡単ならもっと早く覚えれば良かったってみんな話してますよ」

「そう。表にすれば分かり易いものね」

「はい!」


 嬉しい事を聞いたな。今はまだミリーさん達の周りだけだろうけど、これが領地全体に広がったら嬉しいな。


「あの文字の表とえんぴつとセットで売るといいんじゃないですかぁ?」

「え、ナタリーさんセットで?」

「はい。みんな両方欲しがっていますから」

「そうなんだ。良い事を教えてくれたわ」


 それなら、領地だけじゃなくて国全土も考えられるぞ。

 咲がメイドさんを数人連れて戻ってきてくれたので、俺は咲と一緒にロディ兄の執務室へと来ている。

 新しいメイド服を持ったメイドさん達はキャッキャウフフと嬉しそうだ。早速みんなに配ってあげて欲しい。


「ココ、丁度良かった」

「ロディ兄さま、何ですか?」

「ココが描いた絵なんだけどね」

「絵ですか?」


 なんだっけ?


「お嬢さまぁ、あれですよぅ。子供が文字を覚えるためのぉ」

「そうそう、サキが言うそれだよ」

「ああ、はい。それがどうしました?」

「クリスティー先生がね、うちで生活している孤児の子達に見せたらしいんだ」


 クリスティー先生、早速あれを使ったんだ。

 少し前に俺が作った子供用の文字一覧表と絵本だ。それが、きっかけでえんぴつとガラスペンができたんだ。


「子供達がとても興味を持ったらしいよ。特に、あの絵本と言ったかな?」

「はい」

「あれを教会の孤児院にも送りたいんだ」

「はい、良いですね」

「だろう? だからさ、描いてほしいんだ」


 え、そうか。俺しか描けないか。そうか?


「ロディ兄さま、絵心のある人はいませんか?」

「さあ、どうだろう?」

「簡単な絵なので、少し描ける人ならできると思うのです」

「そうか、じゃあそっちも考えておくよ」

「はい、兄さま。国内で流通できませんか?」

「絵本をかい?」

「絵本だけでなくて、文字の一覧表もです。大人用も。あ、それと、えんぴつもです」

「それは、どうしてそう思ったんだい?」

「作業場に来てくれている人達が、近所の人達もあの文字一覧表とえんぴつを欲しがっていると言っていたのです」

「そうなのかい?」

「はい。もし、これが流通できれば国内の識字率が上がりますよ」

「そうだね。少しリサーチしてみるよ」

「兄さま、お願いします」

「そうそう、ガラスペンだけどね。もうバカ売れだよ」

「え、もう売っているんですか?」

「そうなんだ。これは直ぐに領地で売れたんだ。そしたらいつの間にか国内に広がってね」

「貴族が関係しているからですか?」

「そうだね。見た目だけでも目を引くから、贈り物にも丁度いいんだろうね」


 そうか。庶民の意見だけだと流通させるのも難しいのかも。

 ガラス工房は今大忙しらしい。良いね。領地の産業が活発になるのは良い事だ。


「ココ。有用なものはちゃんと広げないとね」

「じゃあ兄さま、お願いします」

「分かったよ。取り敢えず、この領都民には文字の一覧表を配るように手配するよ。えんぴつはどこかで作ってもらって販売しよう」

「はい」

「ココはとっても良いものを作ったね」

「兄さま、有難うございます!」


 へへへ、ロディ兄に褒められちゃったよ。


「ロディッ!!」


 大きな声で呼びながら父が入ってきた。


「父上、どうしました?」

「ロディ、私も欲しいぞッ!」


 また、何か欲しいらしい。何が欲しいのかを言おうな。


「父上、何をですか?」

「あれだ! ペンだ!」

「今ちょうどその話をしていたのですよ。ココが作ったガラスペンですね」

「ココが作っただとぉッ!?」

「父さま、違いますよ。作ってもらったんです」

「ココが考えたのかッ!?」

「はい」

「少し目を離しただけなのに! 子供はすぐに成長するものだなッ!」


 いやいや、またそんな大げさなものじゃないだろう?


「あれは良いッ! とっても書きやすいぞッ! ココ、良い物を作ったッ!」

「父さま、有難うございます」


 本当、声が大きい。じーちゃんも大きいけど、父はそれ以上に威圧感がある。

 いや、部屋に入るなり俺を膝に座らせて、ずっと頭を撫でながら話しているからか?


「私も欲しいぞッ!!」

「父上、分かりました。私の予備の物でよければ使いますか?」

「おうぅッ! ロディ有難うッ!」


 父はロディにガラスペンをもらって得心したのか、席を立った。


読んでいただき有難うございます!

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