103ーじーちゃん達のオーダー
「ねえ、サキ。今日の予定は?」
「今日はぁ、午後からはなにも入ってませんよぅ」
「そう、じゃあ作業場に行こう。それとシゲ爺は……」
と、いたいた。じーちゃんズと仲良く喋ってるよ。杖を肩に担いでいる。それって杖の意味あるのか?
本当、俺の周りって平均年齢が高くないか?
「シゲ爺」
「おうッ! お嬢、どうしたッ!?」
また、いちいち声が大きいな。
「シゲ爺、この前何か欲しいって言ってたじゃない?」
「おうッ! そうなんだ! ワシもお嬢達みたいな服が欲しいぞッ!」
「え、戦闘服ってこと?」
「ああッ! けどワシはそう戦闘服って感じじゃなくていいんだ。普段から着るからなッ!」
「じゃあ、必要ないじゃない」
「なに言ってんだ、お嬢! あれ、防汚効果があるだろう!?」
お、よく知ってるなぁ。
「どうして分かったの?」
「そりゃあ、分かるぜ。森の中に入って戦闘までしてんのに全然汚れてなかったじゃねーかッ!」
よく見てるよ、シゲ爺。
「汚れないのが欲しいの?」
「それもだが、あれだ。リュウが着てたのがいいぞッ!」
「えッ!? シゲ爺、リュウが着てたのだとちょっと若過ぎない?」
「なんだお嬢! ヒデーなッ!! ワッハッハッハ!」
だって、もうじーちゃんじゃん。
「ちょっと考えようか、サキ」
「はいですぅ」
「普段着ていても浮かないようなデザインにしてみるわ」
「おうッ! 頼むぜッ!!」
「ココ! ワシのはどーしたッ!?」
「ユリシスお祖父さま、作りますよ。どんなのが良いんですか?」
「ワシもリュウみたいなのが良いぞッ!」
隆、人気者だな。女子にじゃなくて、じーちゃん達にだけど。
「お嬢、違うッス。俺じゃなくて服ッス」
「リュウ、いたの?」
俺の直ぐ後ろから声がした。
「さっき来たんス。作業場に行くッスか?」
「ええ、行くわ」
「了ッス」
ん~、じーちゃん達はじーちゃん達の兵と揃いのが良いんじゃね? 領主隊とちょっと違う感じでさ。
「ね、サキ。デザイン考えましょう」
「はいですぅ~!」
お、やる気だね?
「好きなんですぅ」
うん、知ってる。しかも、どっかのアニメで見た様なやつだろう? パクリだよ。
「ふふふぅ」
ああ、もう決まっているらしい。
「ココ、俺も欲しいな」
「はい、ディオシスお祖父さま。分かってますよ」
「うん、ココは良い子だね」
ディオシスじーちゃんは、落ち着いていて俺は好き。
「ココは良い子だぞぅー!」
まあ、もちろんユリシスじーちゃんも好きだよ。
「後で、こんな感じと絵に描いたものを持っていきます。それを見てみてください」
「おうッ! 分かったぞ!」
さて、じーちゃんズとシゲ爺のデザインだ。あと、領主隊の隊服だな。サキ、できるのか?
「任せてくださいぃ! もう、アイデアが溢れてますぅ」
意味分かんねーが。まあ、いいか。作業場に行こう。
で、俺達は作業場に来たんだが。俺は驚いて声を上げた。
「もうッ! 凄いッ!!」
「へへへ。お嬢様、もっと褒めて下さっても良いですよ~!」
なんてふざけているのは1番年下のナタリーさんだ。
本当、褒めても罰は当たらないぞ。メイド服が何着も出来ていたんだ。
適度に張りと艶のある黒のメイド服とふんわりした白のエプロン。
黒のスカートの裾から見える裏地の白いフリルがまた可愛い。白のヘッドドレスまである。控えめに使ったリボンがポイントになっていて可愛いぞ。
「お嬢様がパターンを決めておいてくださったから進めちゃいました」
と、リーダー役のミリーさんだ。
「糸ももう慣れましたよ。しっかりきっちりと織ってます」
マニューさん、ありがとう。
「ミシンもみんなできる様になりましたからね。どんどん縫いますよ」
ルリアさんもありがとうね。
「新しい2人も慣れましたからね。これからどんどん進めますよ」
「ミリーさん、ありがとう。メイド服を進めておいてくれるかしら? あとお祖父さま達も欲しがっているのよ。滞在している間に作れれば良いんだけど、生地を渡して外部に発注するかもね」
「ああ、そうですね。また移動されるのでしょう?」
「そうなのよ。でも、リュウが着ていたのが欲しいとか言い出しちゃって」
「え、あれはリュウさん若いから似合うけどぉ」
おやおや、ルリアさん。はっきり言っちゃったね。
「あ、すみません」
「いいのいいの。あたしも同じ事をお祖父さま達に言ったから」
「じゃあ、またパターンからですか?」
「そうなの、ナタリーさん。咲にデザインを考えてもらってからだけどね。あと、シゲ爺のも作らなきゃ」
「え、まさか……」
「そうなのよ。リュウのが欲しいとか言い出しちゃって」
「えぇ~!!」
「そうよね~」
と、ひとしきりみんなで笑った。
そんな事を話しながら、サキはデザインを描いていく。
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