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第81話 王女様の暴走


「ふう〜なんとか全部の孤児院を回れたね」


 なんとか半日で王都にある全ての孤児院を回りきれた。王都は広いだけあって、アニックの街よりも孤児院の数は多かったな。


 ひとつだけ院長が怪しい孤児院もあったので、そこには食料だけ渡して、金貨は渡さなかった。後ほど騎士団長に報告して、しっかりと捜査をしてしてもらい、それでも問題ないと判断した場合に今回の分も渡してもらう手筈となっている。


 俺達は明日アニックの街に戻ってしまうが、連絡もするし、定期的に王都に来ようとも思っている。また王都に来た時は顔を出させてもらうとしよう。


「子供達はみんな喜んでおりましたね。私は普段孤児院の子供達がどのように暮らしていたか知りませんでした。みんな痩せておりましたし、あまり綺麗な服を着られないのですね……」


「それはしょうがないですよ。俺もたまたま孤児院の女の子と知り合ったから、孤児院に寄付を始めたわけですから」


 カミラさんの言うように、孤児院の子供達の生活なんて知らないのが普通だ。それに俺は異世界から来たから、孤児院でどんな生活をしているのかに興味を持っただけなのだ。


 ちなみに一日街を歩いてきたが、今日襲撃はなかった。ここまであからさまに護衛をしている人を襲撃するようなチンピラなどもいなかった。まあその分、ものすごく目立ってしまっていたからな……


 今回こそは俺を守ろうと張り切っていたカミラさんの出番は今回もなかったのだが、襲撃なんてないことが一番である。




「それではカロリーヌさん。今日はいろいろとありがとうございました。いろいろと連れ回してしまってすみません」


 無事に王城までカロリーヌさんを送っていった。俺達はそのあと宿へと戻る。


「とんでもございません! 今日はみなさんと一緒に王都を回ることができて本当に楽しかったです。普段ひとりでは決して行くことがない場所でしたので、本当に勉強になりました!」


「それなら良かったです。でも服のほうも少し汚れてしまいましたね……国王様に何か言われたら、俺がいろいろ連れ回してしまったせいだと伝えてください」


 一応買い物が終わったあとに、このあとは孤児院に寄るだけだから、案内はここまでで大丈夫とカロリーヌさんには伝えた。しかし、彼女は孤児院にも同行したいということだったので、そのまま同行してもらった。

 

 孤児院の建物や部屋はだいぶ汚れていたからな。それに子供達もあまり清潔な格好ではなかったし、みんなの服や鎧がだいぶ汚れてしまった。俺達はともかく、カロリーヌさんや騎士団の人には申し訳ない。


「いえ、服など洗えば良いだけですから」


 王族の王女様と聞いていたが、孤児院の子供達とも触れ合っていたし、カロリーヌさんはとても性格の良い女性のようだ。


「それよりもソーマ様、私は感動しました!」


「はい?」


「ソーマ様のお話を聞いた時はそんな聖人のようなお方が存在するなんて、とてもではありませんが信じられませんでした! しかし、ソーマ様はお話通りの……いえ、それ以上に素晴らしいお方でした!」


「は、はい」


 いきなりどうしたんだ? なぜかいきなりカロリーヌさんのテンションがとんでもないことになっているんだが!?


「この街に存在した卑劣な闇ギルドから、誰も死なせることなく子供達を救い出し、デーヴァ様を救ってくださいました! そしてその報酬は半分しか受け取らず、残りの半分はすべて王都の孤児院へと寄付されておりました。デーヴァ様も優しく、とても素晴らしい御仁でしたが、ソーマ様はそれ以上です!」


「い、いえ。そんなことはありません。どれも運が良かっただけですし、俺の力だけではなくてみんなの力があったからこそですよ」


「そうやってご謙遜されるところも素敵です! 貴族の男性はどなたも自分を着飾ることに精一杯で、デーヴァ様やソーマ様のように、他人を思いやる気持ちがあまりないのです!」


「いえ、俺もそこまで他人のために尽くしているというわけでは……」


「それだけではありません! アニックの街では他の街よりも高い治療費で困っている人々のために、とても安い治療費で治療費を行っていると聞きました。それに孤児院では寄付だけにとどまらず、新しいパンの焼き方を孤児院に惜しげもなく教えるなんて、普通の人にはできません!」


 頼むから話を聞いて!


 駄目だ、興奮しすぎて話が耳に入っていないみたいだ……しかし、アニックの街でのことをよく知っているな。もしかしたら国王様から話を聞いたのか?


 それにさっきも言ったけれど、本当にこれは俺ひとりの力ではない。俺がこうして今ここにいるのはみんなに命を救われたり、みんなが力を貸してくれたからだ。


「とりあえず落ち着いてください。デーヴァさんの言葉を借りますけれど、俺が偉いのではなく、このジョブがすごいだけですから」


「……短い間でしたが、ソーマ様のお人柄はよく分かりました。そして、今の男性のような性格の私では釣り合わないということもはっきりと分かりました」


 いや、俺としてはその元の世界のような女性らしい仕草はとても魅力的だから変えなくてもいいんだが……とか言える雰囲気ではないな。


「ええ、私は決めました! 私は必ずソーマ様に釣り合う女性となります! 絶対にソーマ様に相応しい妻となってみせますわ!」


「………………んん?」


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


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