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第78話 第二王女


 透き通る宝石のような青い瞳に整った顔立ち。長くて美しい金髪は後ろで束ねられている。歳は俺と同じくらいに見えるとても綺麗な女性だ。


「初めまして、ソーマと申します」


「ソ、ソーマ様のお噂はお聞きしております! アニックの街で貧しい方々や、どんな方々でも治療をしてくれる天使のようなお方だそうですね!」


「い、いえ……それほどでもありませんよ」


 なんだか目をキラキラとさせながら、カロリーヌさんは俺を見てくる。こんな綺麗な女性から、尊敬のまなざしで見られるのは少し嬉しいかもしれない。


「み、みなさんも有名なAランク冒険者と聞いております。どうぞよろしくお願いします」


「ああ、こちらこそよろしく頼む」


 しかしなぜカロリーヌさんがここに? あと第二王女ということは、他の王女や王子もいるのだろうか?


「せっかくの機会であるから、カロリーヌにも同席してもらったのだ。余にはまだ夫と娘がもうひとりと息子がひとりおるが、あまり大勢を連れてきても、みなが混乱するであろうからな。


 一番ソーマ殿と歳の近いカロリーヌを連れてきたのだ。それにカロリーヌはソーマ殿のお噂を聞いて、ぜひ会いたいと申しておったのでな」


 タイミングよく、俺の思ったことに国王様が答えてくれた。


「とはいえ、カロリーヌは他の女性と違って、女性としては少し大人し目ではあるな」


「お、お母様!」


「………………」


 こちらの世界の女性は基本的に雄々しい人が多く、女の子もリーチェみたいなおてんばな女の子が多い。反対に男性は元の世界の女性のようにおしとやかな性格の人が多い。……まあ男女の力が反対のこの世界ではそうなってしまってもしょうがないのか。


 カロリーヌさんはおしとやかな雰囲気で、初めて話す俺やエルミー達との会話もおそるおそるといった感じだ。


 確かにこちらの世界に来てから、あまりカロリーヌさんのようなタイプの女性には出会ったことがなくて新鮮に感じる。それに元の世界ではカロリーヌさんのような女性が多かったし、むしろ俺にはこちらのほうが可愛らしい女性に見えたりもする。


「さあ、それでは夕食を楽しんでくれたまえ」


 国王様の号令で夕食会が始まり、料理が給仕の人達の手で運ばれてきた。どうやらコース料理のように、少しずつ料理が出てくるらしい。




「とても美味しいですね!」


 王都に来てから泊まっている宿の料理もとても美味しいが、ここでの料理もそれ以上に美味しい。


「気に入ってもらえてなによりであるな。もちろん普段はこれほど豪華な料理を出しているわけではないぞ。今日はソーマ殿達がいらしておるので、多少は礼もしたいからな。この度ソーマ殿には本当に世話になった」


「ありがとうございます。こちらこそいろいろとお世話になりました。明日は王都でいろいろと買い物をしてから、明後日には王都を出ようと思っています」


「むむ……もっと王都でゆっくりと過ごしてくれても構わないのだがな」


「えっ!? ソーマ様はもうご出発されてしまわれるのですか!」


「ええ。もうだいぶ王都でお世話になりました。それにアニックの街のみんなには、すぐに戻ると伝えて王都までやってきましたから、あまり長く王都にいると心配すると思いますので」


 アニックの街のみんなには王都に数日しか滞在しない予定だと伝えていた。道中は闇ギルドの連中に襲われたことだし、みんな心配しているに違いない。


「そうであるか。無理に引き止めることはせぬが、またいつでも王都に遊びに来てほしいものである」


「ええ、定期的に王都へお邪魔させていただきますよ。それに連絡や報告はすぐにできますから」


 ポーションの検証結果についてや王都の状況など、国王様からは定期的に連絡をもらう予定だ。連絡だけであれば、専門の人達に頼めばたった数日で王都まで連絡が可能らしい。


「そうなのですか。ソーマ様とはもっとお話したく存じました……」


 可愛らしいことを言ってくれるカロリーヌさん。やっぱりこういう反応は新鮮だなあ。


「ふむ……ソーマ殿。もしよろしければ、明日買い物をする際はカロリーヌを同行させていただいてもよろしいですかな?」


「えっ、カロリーヌさんをですか!?」


「もちろんカロリーヌの護衛はこちらで付けるし、ソーマ殿のお邪魔はさせん。それに簡単な案内であればカロリーヌでも可能であるしな」


「ええっと……こちらは構いませんが、王族が普通に街を出歩いて大丈夫なのですか?」


「ああ。カロリーヌは普段から表舞台には立たぬから、ほとんど顔は知られておらぬ。護衛も付けるし大丈夫であろう」


「ソ、ソーマ様、どうぞよろしくお願いします!」


「はい。こちらこそよろしくお願いします」


 うん、こんなに可愛い女性が同行してくれるなら大歓迎だ。


「うむ、カロリーヌも年頃の娘である。もしもソーマ殿と婚姻でも結んでくれれば、王家にとって有益なことであるからな」


「お、お母様!?」


「「「………………」」」


 こちらの世界ではちょうど俺達くらいの年齢が、結婚をする適齢期らしい。


 エルミー達もそんな目で見ないで! 手なんて出さないからね! カロリーヌさんはとても綺麗な女性だが、なにせ第二王女の王族だ。王族と結婚とか、面倒なことになる気しかしない。


 それにしても、フロラの能力で嘘がつけないことがわかっているとはいえ、国王様はいろいろとぶっちゃけてくるよな……


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


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