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第76話 デーヴァさんの人柄


「体調は大丈夫そうですか、デーヴァさん?」


「ええ。ソーマさんのおかげでこうして目を覚ますことができました。動き回るにはまだまだリハビリが必要そうですがね」


 昨日は宿に戻ったら疲れ切っていたのか、食事も取らずにそのままベッドへとダイブした。


 ティアさん達も遅くなった俺達をだいぶ心配してくれていたようだ。一応いろいろと調べ物をして遅くなるとは伝えていたが、王城へ行ったまま帰るのが遅くなるというのは確かに心配してしまうよな。


 今日は一緒に王城まで同行したいと言われたのだが、さすがに大勢を引き連れて王城に上がることはできないため、ティアさん達には申し訳ないが、昨日と同様に同行者はエルミー達だけだ。


 そして男巫であるデーヴァさんの体調は多少良くなったようで、今ではベッドの上で半身を起こして話すことはできるようだ。さすがにずっとベッドで寝たきりだったため、歩き回るためにはまだリハビリが必要らしい。


「この度はソーマさんのおかげで命拾いをしたようです。なんでも私と同じ男巫であると同時に医療にも精通しているそうですね。この街では誰も治すことができなかったローマーク病を治していただき、本当に感謝しております」


 ちなみにデーヴァさんには俺が聖男であると言うことは話していない。今俺が聖男であることを知っているのは国王様とコレットさん、そしてエルミー達だけである。


 デーヴァさんには話してもいいかもしれないが、俺が聖男であることや、異世界から来たこと、この世界の言葉や文字が分かることは、できる限り秘密にしておいたほうが良いということになった。宰相であるコレットさんにだけは話したいと国王様に言われたので、それを了承した。


 デーヴァさんやここにいるデーヴァさんの担当医師には俺しか作ることができない特別な薬を使って治療したと伝えてある。


「いえ、病が治って本当によかったです。国王様からデーヴァさんは多くの人を救ってきた立派な方だと聞いておりますよ。そんな方を助けることができて、俺も嬉しい限りです」


「いえいえ、私はそんな大層な者ではありませんよ。神より与えられたこのジョブを、必要な人々に使っているだけですから。別に私が立派というわけではなく、私が授かったジョブがたまたま人々の役に立てるジョブだっただけですよ」


 ……神がいるのかはわからないが、そんな考え方をしている治療士は少数であることはわかる。例の悪徳治療士もデーヴァさんの爪の垢を煎じて飲めばいいのに。


「それでもそのジョブの力を人々のために使ってきたのはデーヴァさんご自身です。国王様から聞きましたが、お金のない患者さん達にはこっそり無償で治療をしていたと聞きましたよ」


「……本当は日々生きていけるだけの食事さえいただければ良いのですが、他の治療士がいる手前、すべて無償でと言えないところが難しいところです」


 確かに同業者の治療士のことも考えなければいけないもんな。俺の場合は周りに例の悪徳治療士だけだったから、考える必要なんてなかったけど。


 それにしてもデーヴァさんは国王さまの言う通り、本当に立派な人らしい。この世界には盗賊や闇ギルド、例の治療士のように悪いやつらも多いが、ポーション屋のユージャさんやデーヴァさんみたいに立派な人も大勢いるのは救いだな。


「ソーマさん、本当にありがとうございました。これでまた私の役目を全うできます。何かソーマさんにお礼をさせていただければと思うのですが……」


「他の人を治療する前にまずはご自身をしっかりと治してくださいね。お礼については国王様にいろいろと便宜を図ってもらうようになっていますから。あっ、そうだ。デーヴァさんにはひとつお願いがあって、あるポーションの検証を手伝ってほしいんですよ」


「ほう、ポーションですか?」


 デーヴァさんにも例のポーションの説明をした。いろいろとあったが、元々は男巫であるデーヴァさんにもこのポーションの検証を手伝ってほしいという話だったんだ。




「ほう、ポーションと回復魔法にそんな反応が!? もしもポーションの回復量を回復魔法によって強化できるのなら、それはとても素晴らしい発見ですね!」


「ちょっ、デーヴァさん!? まだ体調が完治したわけじゃないんですから、安静にしていないと!」


「おっと、これは失礼しました。つい年甲斐もなく、興奮してしまいましたね。ですが、これは素晴らしいです。このポーションがあれば、我々のように回復魔法を使える者でなくとも治療をすることができます! それにこのポーションを量産することができれば、冒険者のような危険な仕事での犠牲者が減ることは間違いないでしょう!」


 うん、最初にお金儲けとかでなくこういう反応が返ってくると安心するよね。


「もちろん協力させていただきます! いえ、ぜひとも協力させてください!」


「ありがとうございます。でもまずは身体をちゃんと治してからにしてくださいね」


 どうやらデーヴァさんの協力も得られることになりそうだ。デーヴァさんの人柄も確認できたし、ポーションの検証はコレットさんやデーヴァさんに任せて王都でもできそうだな。デーヴァさんとは今後とも長い付き合いになりそうである。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


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