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第63話 記憶の改竄


「安心したまえ。君達には指一本触れさせないよ」


「「ティア様!」」


 ……ティアさんは相変わらずだな。だけど、こいつらなんかと比べるのは失礼なくらい格好いい!


「ああ、ソーマには指一本触れさせん!」


「おう、ソーマは俺達が守るぜ!」


「ソーマには手出しさせない!」


 エルミー達もめちゃくちゃ格好いい! よくファンタジーもので主人公に守られている女の子達はちょれえなと思っていたが、実際に逆の立場に立ってみると余裕で惚れてしまうぞ!


「格好つけてんじゃねえよ!」


「ぶっ殺してやる!」


「みなさん、来ます!」


 などとくだらないことを考えている場合じゃない!


 ローレイさんの声で我に返る。この人達の馬鹿力は本物だ。みんなに何かあった時に備えて、回復魔法と障壁魔法の準備をしておかなければ!


「任せろ!」


 大盾を持ったフェリスともうひとりの騎士団の人が前に出る。


「……ちっ、確かに力はかなり強えな!」


 襲ってきた女の大剣を大きな盾で受け止めるが、盾ごと後ろに弾き飛ばされる。


「だが力や速さだけだぜ!」


「了解だ!」


「がはっ!?」


 フェリスの後ろから飛び出したエルミーが闇ギルドの女のひとりを斬った。


「んなっ!?」


「ふむ、確かに力や速さは普通ではないのかもしれないな」


 マジか……あれだけ自信満々だった闇ギルドの女を一撃で倒したぞ……


「ば、馬鹿な!? 強化された動きになぜついてこれる!?」


「確かに力や速さは強化されているのだろうが、肝心のお前達自身が、まったくその力や速さを使いこなせていないな。


 闇ギルドなどにいるからには、まともに正面から戦うことなどないのだろう? 対人戦闘の経験がまったく足りていない。それに力や速さが強化されてから、まともに訓練する時間などもなかったのだろうな」


「「「………………」」」


 たぶんさっき強化されたばっかりだよね……どんなに優れた力や速さを持っていても、それを使いこなせるかは別の問題らしい。


「それに力や速さが強化されたところで魔法相手には大して変わらない。サンダーバレット!」


「いきます、アイシクルバレット!」


「「「ぎゃあああ!」」」


 フロラとルネスさんの魔法が闇ギルドの女達を襲う。魔法による室内での広範囲攻撃はエグいな……


 どんなに速さがあっても、この室内では避ける範囲には限度がある。それに大人数でいるなら尚更だ。


 味方を盾にした2人以外の全員が今の魔法だけで戦闘不能になったようだ。力や速さが強化されても耐久力は強化されていないらしい。


「さて、残りはたった2人のようだね。まだやるのかい?」


「「す、すみませんでした〜!!」」


 ……残りの2人は一瞬で降参した。ついさっきまでの威勢の良さはどこにいったのだろう。というか大人しくここから逃げていれば、もしかしたら逃げ切れていたのかもしれないのに……


 いや、もしかするとそれも黒ずくめの女の策略だったりするのだろうか。こいつらを囮に自分だけは逃げ出すつもりだったのかもしれない。


「よし、全員をすぐに拘束してすぐに残りの敵を追います! おいっ、残りのやつらはどこに行ったんだ!」


 倒れている敵を拘束しながら、降参した2人にローレイさんが詰め寄る。この倉庫のような部屋の奥には2つの扉があった。残りの敵はこの2つの扉のどちらかを通って逃げたのか。


「い、いや……残りのやつらなんていねえよ。俺達はここにいるやつらと上の階にいるやつらで全員だ」


「嘘をつけ! 少なくとも子供達やお前達を洗脳したり強化した黒ずくめの女がいるはずだ。そいつはどこにいる!」


 ローレイさんがものすごい剣幕で詰め寄る。


「な、なんの話だよ! 黒ずくめの女なんていねえよ! あれ、そういや俺達は誰にこの力をもらったんだっけな……」


「……あれ、そういえば誰だったんだっけな?」


「貴様等、見え透いた戯言を!」


 降参した2人の様子がおかしい。これは嘘をついているというよりも……


「……こいつらは嘘をついてはいない。たぶんそのこと自体の記憶をイジられている」


 嘘を見抜けるフロラがそう言うということは、本当に嘘ではなく、洗脳によってその黒ずくめの女自身のことを忘れさせているわけか。そんなことまでできるのかよ。


「ローレイさん、任せてください」


「ソーマ様、よろしくお願いします!」


「ハイディスパトラ!」


 状態異常回復魔法をひとりにかける。


「な、なにをしやがった!?」


「おい、黒ずくめの女はどこへ行った!」


「んあ? そうだあの野郎、俺達を捨て駒にしやがって! そっちだ、そっちの扉からひとりで逃げていきやがった!」


 闇ギルドの女のひとりを光が包み込み、一瞬意識を失ったかと思ったら、すぐに意識を取り戻して左側の扉を指差した。


 洗脳魔法は解けたらしい。子供達への洗脳とは異なり、洗脳されていた状態の記憶は残っているようだ。確かに子供達と違って、さっきまでこいつらの意識はあった。洗脳の方法が異なるのだろうか。


「……大丈夫、嘘はついていない」


 相変わらずフロラの嘘を見破る力はすごいな。どうやら自分達が捨て駒にされたことを思い出したようだ。


「よし、こいつらの尋問はあとにしてその女を追おう!」


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


― 新着の感想 ―
>そうだあの野郎、俺達を捨て駒にしやがって! ん? “野郎”ってことは、黒ずくめは“オトコ”? そうじゃなければ女郎とか? アマとか?
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