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第41話 王都へ出発


「……昔から少し苦手なやつなんだが、実力はあるやつだ。2人の男性もかなりの実力者だから、確かに男性であるソーマへの護衛を考えるなら適任といえば適任だな」


 どうやらエルミーはこの人達のことを知っているらしい。


「ちっ……いつも男とチャラチャラしていやがるんだよな」


「あまり好きになれないタイプ……」


 エルミー達と小声で話す。どうやら元の世界でいうと、いつも女の子を連れて歩いているイケメンの男みたいなもんか。確かにとても綺麗な女性で紳士的な感じもするから、こちらの世界の男性にはモテるのかもしれない。


 ……綺麗な女性なんだけれど、ちょっとあのノリは俺には合わないかなあ。あの男性への褒め言葉はこちらの世界の男性なら嬉しいのかもしれないけど、俺にはむしろ逆効果だ。


「本当ならワシも一緒についていきたいところでしたが、長い期間冒険者ギルドを離れるのは難しいのです。それではソーマ様、道中お気をつけてください!」


「ええ、ターリアさんが忙しいのはわかっておりますから。それにターリアさんがこの街にいてくれるから、俺も安心してこの街を離れられます。それでは行ってきます!」


「はい、お気をつけて!」



 

「馬車での移動は久しぶりになるな」


 馬車の中でエルミーがふと呟く。今は街を離れて馬車で王都を目指している。用意された馬車は2台で、1台目には俺とエルミー達と御者さん、2台目にはティアさんと男性2人のパーティと御者さんの合計9人で王都への旅路を進んでいる。


「最近はソーマの護衛でずっと街にいたからな」


「もう一月以上だもんね。……なんかずっと護衛してもらいっぱなしで申し訳ない」


「そういうつもりで言ったんじゃねえからな! むしろ最近はいつもの依頼よりも人助けをしているって実感があって充実しているんだ!」


「そうだな、フェリスの言う通り、ソーマを護衛する依頼に選ばれたのはとても名誉なことだ。それになにより、ソーマと行動を共にしていると、新しいことばかりの経験が多くて毎日がとても楽しいぞ!」


「みんな……」


 俺に気を遣っているのかもしれないけれど、少し嬉しいな。本当は俺自身が自分の身を守れれば良いんだけれど、攻撃手段が何ひとつないのが辛いところである。


「それにソーマが毎日作ってくれるご飯がとても美味しい」


「そうだな!」


「ああ!」


「うん……それは光栄だよ」


 先程よりも力強く答えてくれる3人。そう、少なくとも食生活に関しては、俺がお世話になってから向上した気がする。俺がくる前までは3人とも自炊はまったくしない感じだったからな。


 この世界だと娯楽になるものがほとんどないため、日々の魔法の練習以外にすることがあまりなく、ついつい凝った料理を作ってしまうのだ。元の世界の味が恋しくて、いろいろと工夫をして、元の世界の味を再現したりした。それがエルミー達に結構好評だったりする。


 今回の王都までの道中の食事も俺が作る予定となっている。野営時の見張りについては、一度も野営を経験していない俺が加わると逆に邪魔になってしまうので、やらない予定だ。見張りをやらなくていい分、そちらの方で頑張るとしよう。






「予定通りの場所に到着したようだな。今日はここで野営をする」


 朝に街を出てから、馬車でひたすら王都までの道を進んできた。何度か馬のために休憩を挟みつつ、長い道のりを進んできたが、魔物が現れたり盗賊に襲われたりすることなく、無事に1日目の予定していた野営ポイントに到着した。


「んあ〜あ、身体中がバキバキだぜ!」


「……ん、お尻が痛い」


「馬車に乗っているだけでも、結構疲れるものなんだね」


 この世界の馬車は簡易なサスペンション機能しかなかったため、元の世界の車や電車などの乗り物と比べてはるかに揺れる。イスにはクッションがあるのだが、それでもかなりの振動が身体に伝わってくるため、身体の節々が痛いし、だいぶ疲労が溜まっている。


「ふふ、ソーマは馬車に乗った経験がほとんどないと言っていたな。慣れれば多少は耐えられるものだぞ。さあ、日が暮れる前に野営の準備をするとしよう」


 日が暮れてから馬車で道を進むのは非常に危険であるため、朝早くから出て日が暮れる前の早い時間帯に野営ポイントまで辿り着くのが基本となる。


 今まで進んできた王都への道から少し離れた場所に川があり、今日の夜はこの川の近くで野営をする。


「とりあえず今日は何事もなく予定の場所まで到着したようですね。それでは女性陣は野営の準備をするとしましょう。これだけ見通しが良ければ、魔物や盗賊が出てきたとしてもすぐにわかるでしょう」


 前を進んでいたティアさん達の馬車も止まり、向こうの馬車に乗っていたみんなも出てきたようだ。ティアさんの言う通り、川の隣にあるこの場所は木や森などの大きな遮蔽物がまったくないので、たとえ魔物や盗賊に襲撃を受けたとしてもすぐにわかりそうだ。


 馬車の御者の女性2人を含めた女性陣が野営用のテントを建てたり、火を起こしたりとテキパキ準備を進めていく。


 そして俺とティアさんのパーティの男性2人は晩ご飯を準備することとなっている。……相変わらず役割が逆で違和感があるけどな。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


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