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第28話 発光するポーション


「……よし、今日はこんなところにしておくかな」


 とりあえずいつもの日課である魔法の訓練を終える。回復魔法が使えると分かった日から、夜寝る前に毎日自分の部屋で魔法の訓練をしていた。今のところ練習することで魔法が強くなっている感じはしないが、こういうのは積み重ねが大事だよな。


 心配の種であった国からの返事が、俺にとって問題ないようで本当に安心できた。どうやら国にとって治療士の存在は最大限尊重されるようだ。……これはこれで、俺も高待遇に甘えて増長しすぎないように気をつけるとしよう。


「さて、今日はこの辺でゆっくりと休むとするか……って、なんだこれ?」


 魔法の訓練を終えて布団に入ろうとしたところで、なにやら視界の中に光るものを捉えた。机の上にあるポーションの中のひとつが発光しているように見えた。


 なんで俺の机の上に多くのポーションがあるのかというと、今日ギルドマスターと国からの返事について話したあとに、ギルドマスターから受け取ったものだ。


 正確にいうとポーションを販売している店から俺へと送られてきたものになる。俺が治療士として回復魔法で治療を始めて、ポーションの使用で治らなかった怪我という条件はあるとはいえ、多少はポーション類の売り上げは落ちていると思う。


 それにもかかわらず、治療士である俺に試供品としてポーションを送ってくれる。つまりは一種のご機嫌取りか宣伝が目的なのだろう。うちの店は俺が治療するのを気にしていませんよ、うちの店のポーションを宣伝してくださいね、みたいな感じかな。


 内心どう思っているかは分からないが、表面上だけでも俺に敵対しないと言ってくれているだけでも助かる。直接俺に渡すことは冒険者ギルドが禁止しているので、冒険者ギルドが代理で受け取って、まとめて俺に渡してくれたのだ。もちろん毒などがないかもすでにチェック済みである。


「おかしいな、さっき見たときは光っていなかったと思うんだけど……」


 部屋に戻ってきて机の上にポーションを置いた時は特に光っていなかったはずだ。もらったポーションは6本、すべて濃い緑色をしていて半透明な瓶の容器に入っている。そのうちの一本だけが何故かうっすらと発光している。


「なんでだろ? 時間が経つと発光する仕組みとか? いや発光したところで何の意味もない。まさか時間経過で毒になるとか……いや発光したらむしろ怪しくなるだけか」


 光っている一本のポーションを持ち上げてみる。少し揺らしてみるが、特に今までのポーションと同じ普通の液体のように思える。


「まさかエリアヒールの影響か?」


 先程行っていた魔法の練習。基本的には障壁魔法の練習を中心に行っているが、エリアヒールの範囲を絞る練習として、この部屋内ギリギリの範囲でエリアヒールを使うという練習もしていた。試してみる価値はあるな。


「エリアヒール」


 今度はこのポーションを中心にエリアヒールを掛けてみる。


「やっぱり回復魔法か……」


 回復魔法を使うと、先程のポーションに纏っている光が少しだけ増した。回復魔法に反応したということは……試してみようか。


「痛っ……」


 持っている護身用のナイフで手の平を切ってみると、手の平の傷から血が流れてくる。回復魔法で治せると分かっていても、やっぱり自分自身を傷付けるのには躊躇してしまうな。普段の回復魔法の練習をする時には小さな針で傷付けるのが精一杯だ。


 しかし今回は結構大きめに傷をつけた。そして光っているポーションとは別のポーションをかけてみる。


「……痛っ。このポーションの効果はこれくらいか」


 ポーションは液体なので、当たり前だが傷口にかけると多少は痛い。そしてポーションの効果により少しだけ傷口が塞がってくる。


 この世界のポーションの効果はどれもこれくらいの効果だ。それと多少の止血効果もあるから、自然治癒よりも効果があることは間違いない。とはいえ、見てのようにそれほど即効性があるわけでもなく、効果も回復魔法に比べてだいぶ劣っている。


「次はこっちの光っているポーションか」


 続いて回復魔法を使ったことによって発光しているポーションをかけてみる。


「え……?」


 このポーションをかけてみたところ、一瞬で手の平の傷が治った。痛みもなくなっているし、傷痕もない。これは俺が回復魔法を使った時と同じような効果だ。


「まさか、回復魔法並みの回復力がある? 俺がポーションに回復魔法を使ったからか? いや、もしかしたら元からこれくらいの回復効果があったのかもしれない。それとも何か別のものに反応したととか?」


 駄目だ分からないことが多すぎる! いろいろと確認しなければいけない。


 まずはこの発光するポーションが元々これくらいの回復力があるかだ。回復魔法をかけたことがないこのポーションがほしいところだが、もらったポーションはひとつだけだ。


 さすがにこんな時間にお店はやっていないし、エルミー達がこのポーションを持っているかも分からない。くそ、いろいろと確認してみたいのに、今日はもう何もできないな……


 明日このお店のポーションを買っていろいろと試してみるしかなさそうだ。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


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