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第26話 お買い物


「それじゃあリーチェとケイシュを少しだけお借りしますね」


「はい、2人をよろしくお願いします」


 ケイシュくんは小学校3〜4年生くらいのネコ獣人の男の子だ。この世界の獣人は、ほとんど人族と変わらない外見を持つ獣人もいるし、モフモフした毛皮を持った動物に近い外見を持つ者もいる。


 そのあたりは個人差がかなりあるみたいだ。ケイシュくんはどちらかというと、モフモフとした毛並みをしていてケモノ度が高い。ネコミミや尻尾もあって、少し触ってみたかったりもするが、気軽に触っていいものなのかはまだよくわかっていないからやめておこう。


 これから孤児院の男の子と女の子の2人を連れて市場に行き、パンを販売する際に着てもらう服を購入しに行く。


 院長達の服は問題ないのだが、子供達の服はかなりボロボロで、接客業をするのに相応しくない。他の孤児院にいる子供達の分を含めて、同じ服やエプロンを買ってあげようと思っている。そのため、サイズやどんな服を着せればいいのかを確認するために、孤児院にいる2人についてきてもらった。




「着心地は大丈夫?」


「うん、あとは尻尾を出せるようにすれば大丈夫!」


「なかなか似合っているぞ。いつもの格好よりもそっちのほうが可愛いな」


「ありがとう、フェリスお姉ちゃん!」


「ソーマお兄ちゃん、どう、僕格好いい?」


「ああ、リーチェに似合ってて可愛いぞ」


「ソーマ、そこは格好いいと言ってあげないと駄目」


「そっか、格好いいぞ、リーチェ」


「む〜、フロラお姉ちゃんの言う通りだよ! 僕は女なんだからね!」


 ……まだイマイチ慣れていないが、この世界では女性にとって、可愛いよりも格好いいと言われたほうが嬉しいようだ。元の世界で男性が女性から美しいとか可愛いと言われてもあんまり嬉しくないもんな。


「はっはっは、似合っているじゃないか、おチビちゃん達」


「うるさくしてしまって申し訳ない。ほらみんな、もう少し静かにしないと駄目だ」


「うるさくしてしまってすみません」


「いいってことさ! それよりも噂の黒髪の天使……じゃなかった、治療士様にうちの店を使ってもらって箔がつくってもんだよ!」


 今はリーチェとケイシュ、エルミー達の6人で市場の服屋さんに来ている。基本的に普通の人は安い服を古着屋で買うらしいのだが、今回は一応お店というか屋台で食べ物を売るわけだからな。全員でお揃いの服やエプロンを買いに、新品の服屋に来ている。


 ちなみにこのお店の店主さんは30〜40代くらいの女性で、俺の噂を聞いていたらしく、黒髪の天使様と呼んでくるので、普通に呼んでほしいとお願いした。……いつもご飯の食材を買っているお店でも、噂を知って男神様とか呼ばれたし、この噂はどこまで広がっているのだろう……




「それではこれだけお願いします」


「あいよ! こんなに買ってもらってありがとね。その分ちゃんと割引いておくからさ」


「ありがとうございます。今度この子達の孤児院の前で新しくパン屋を始めますので、お時間のある時にぜひ来てみてください」


「へえ〜そうなのかい? これだけ買ってもらったし、ぜひ寄らせてもらうよ。知り合いにも宣伝しといてやるさ」


「お姉さん、ありがとうね!」


「お姉さん、ありがとう!」


「いいってことよ。それにしても孤児院に寄付もしてお店を出す手伝いかい……噂通り本当に立派な男性だねえ。応援しているからみんな頑張りなよ!」


「はい、本当にありがとうございます」


 よし、お店の服に加えて宣伝までできてしまった。俺の名前が広がっていくことで、たまにはいいこともあるもんだ。この調子でいつも食材を買っているお店とかでも宣伝していくとしよう。


 服を買った帰りに、服のサイズやデザインを選ぶのを手伝ってもらった2人には、ご褒美として屋台で買った大きなお肉をご馳走してあげた。これくらいは役得としてもいいだろう。


「ソーマお兄ちゃん、ありがとう!」


「ソーマお兄さん、ありがとうございます!」


「リーチェとケイシュがいてくれて助かったからな。これは2人が働いた分の正当な報酬だから、遠慮なく食べるといいよ」


 2人とも本当に美味しそうにお肉を食べるなあ。食材を寄付はしているが、肉がそれほど多いというわけではない。それに2人は孤児院の中でも年上のほうだから、食べ盛りの2人には少し量が足りていなかったのかもしれない。


 やはり子ども達が美味しそうにご飯を食べてる姿はいいものだな。なんか絶対に人をリラックスさせるような物質が発生しているよ。




 そのあとは2人を孤児院に送り届け、服やエプロンを他の孤児院にも届けに行った。これでパンを販売する準備はほとんど整った。


 あとはドルディアさんのパンの改良がうまくいき、デルガルトさんがパン窯を作ったら、いよいよ孤児院でのパン屋さんがオープンだ。うまくいくといいんだけどな。


 そんな感じで俺の異世界での初めての休日が終わった。いろいろと忙しかったが、新しい場所にも行けたし、いろんな人にも出会えた。やっぱり休日というものはいいものだな。来週も頑張るとしよう!


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

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誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

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聖男


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