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【書籍発売中】男女の力と貞操が逆転した異世界で、誰もが俺を求めてくる件【WEB版】  作者: タジリユウ@6作品書籍化


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第167話 漆黒の光

【イラスト公開】

いつも拙作をお読みいただき、誠にありがとうございます(*ᴗˬᴗ)⁾⁾


5/17にファンタジア文庫様より発売されます当作品のイラストが公開されました!

特設ページにはカロリーヌや女王様のキャラ紹介、ヒロイン達の水着イラストの一部が見られますので、ぜひご覧になってください(๑˃̵ᴗ˂̵)


https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1538253/blogkey/3287206/


「んなっ!?」


「なんだ、あれは!」


 騎士団と冒険者の間をすり抜けるようにエルミーは走るが、ドラゴンは真っすぐにこちらを捉えている。


 そしてドラゴンの口元からは黒い炎のようなものが溢れてきた。


「障壁、障壁、障壁、障壁、障壁!」


 とてつもなく嫌な予感がする。味方の陣形から少し離れた場所で、今できるありったけの魔力を使って巨大な障壁を5重に展開する。


「うっ……」


 さすがにこのサイズの障壁をこれだけ一気に張ると、とてつもない疲労感が身体を襲う。


「来る!」


「来ます!」


「任せろ!」


 俺を背負ったエルミーの前にフロラ、デジアナ、フェリスが前に出て、フェリスはその巨大な盾を前に掲げた。


「GYAAAAAAAAAAA!」


「んなっ!?」


 遠くに見えるドラゴンの口元から漆黒の炎……むしろ光線のような光が放たれた。その光線はものすごいスピードで俺が張った障壁へと到達し、その障壁を1枚ずつぶち破ってきた。


「ストーンウォール!」


 フロラが俺が張った障壁の間にさらに巨大で分厚い土の壁を展開する。そして多少の勢いを落としつつも、漆黒の光線が最後の障壁を破った。






「うう……」


「ソーマ、大丈夫か!」


「だ、大丈夫だよ。だけどもう魔力がほとんどない……でもよかった、みんなも無事みたいだね」


「おう、ギリギリのところでフロラの土の壁がもってくれたみたいだな」


「本当に危ないところだった……」


 ドラゴンから放たれた凄まじい破壊力を持つ漆黒の光線は聖男である俺の5枚の障壁をすべてぶち破り、フロラの魔法による巨大で分厚い土の壁をほとんど削り切っていた。


 そしてその衝撃もとてつもなく、俺が吹き飛びそうなところをエルミーがなんとか押さえてくれた。


「んなっ!?」


「王都の城壁が……」


 後ろを見ると、俺の障壁とフロラの土魔法の壁に守られていた範囲の外、先ほどまであったはずの城壁が吹き飛び、城壁だけでなく街の一部も消し飛んでいた。


 この城壁はただの城壁ではなく、強固な素材を使用し、強化魔法で強化されていると国王様から聞いていた。その王都を守る要の城壁が消し飛んでいたことからも先ほどの漆黒の光線の威力が窺える。


「……ソーマがここまで走っていなけりゃ、後ろにいたやつはみんな死んでいただろうな」


 ドラゴンが何かをすると察知した瞬間、エルミーに陣形の右側へ走ってもらった。そのおかげで俺を狙ってきたドラゴンの狙いは俺の方へ向かい、王都の正面から右へずれた。


 そして俺の障壁もドラゴンの正面に張るのではなく、ドラゴンの攻撃をさらに右側へ受け流せるように斜めに張り、フロラも相談をしていないにもかかわらず、それに合わせて右側に傾斜をつけて壁を設置した。


 そのおかげもあって、漆黒の光線は俺たちのさらに右側へ逸れて、王都の一角を消し飛ばしただけで済んだ。あれが討伐部隊の真正面からぶつかっていたらと思うと本気でぞっとする……本当に危ないところだった。


「総攻撃! あれを撃たせる前にぶっ殺せえええ!」


「総員、総攻撃!」


「「「おおおおお!」」」


 離れた場所にいるディアーヌ様の号令と城壁の上にいる国王様の号令が一致する。


 確かにもう一度あれを撃たせたら、今度はもう防ぎきれない! その前にあのドラゴンを倒しきるしかない!


「私がここにいても、ソーマ様の壁にすらなれません。ソーマ様、私も行ってまいります!」


「あっ、デジアナ!」


 俺が止める間もなく、デジアナがドラゴンの方へ向けて走り出した。先ほどの漆黒の光線の威力を見て一刻も早くドラゴンを倒すべきだと判断したようだ。


 おそらく、その判断は正しい。俺の魔力もあまり残っていないし、次に同じ攻撃をされたら間違いなく防ぎきれないだろう。


「まずい、ソーマ殿の聖魔法の効果が!?」


「くそっ、なんでこんな時に!?」


 そんな中でドラゴンと戦っているディアーヌ様たちの声が聞こえた。なおもこちらを睨んでほんのゆっくりとだがこちらに向かってくるドラゴンの肌の色が少しずつ赤から黒色へと変色していく。


 くそっ、最悪のタイミングで聖魔法が切れてしまった!


「エルミー! ドラゴンの傍まで早く!」


「っ!? ……くそっ、ソーマが聖魔法を掛けたらすぐに戦闘から離脱するからな!」


「防御は任せろ!」


「ついてく!」


 エルミーは一瞬だけ考えたが、すぐに俺を背負ってドラゴンの方へと向かう。それにフェリスとフロラも続く。


 この機会を逃して俺が離れたら、カースドラゴンの変異種が不死性を取り戻してしまう。危険な状況であることは分かっているが、ここで逃げるわけにはいかない!


 少しずつドラゴンの元へと近付いていく。大丈夫、ディアーヌ様たちや冒険者のみんながドラゴンを抑えてくれているし、先ほどの黒い光線を放ってきた時のような予備動作はまだない。


「ピュリフィケーション!」


 エルミーのスピードで一気にドラゴンへと近付いたところで聖魔法を放つ。


 これでほとんどの魔力が持っていかれてしまったが、またドラゴンの肌の色が赤色へと変化する。さっきの感覚だと一度聖魔法を掛ければ5分近くはもつはずだ。なんとしてもこの5分間で決着をつけなければならない。


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聖男


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