表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

152/174

第152話 進まない検証


「……う~ん、今回も駄目か」


「やはり例の発光現象が確認できないことには難しい気もしますね……」


 男巫であるデーヴァさんと一緒に浄化魔法のピュリフィケーションをかけた液体を前にして首を傾げる。残念ながら、今回浄化魔法をかけた試作も駄目だったようだ。


「なかなか難しいみてえだな。これまでの試作品も例のカースドラゴンの変異種には効果がなかったみたいだし、厳しい状況かもしれねえ」


 例の回復ポーションのようにポーションに浄化魔法の効果を付与できないか、デーヴァさんと一緒にいろいろと試してからすでに4日が過ぎたが、現在のところ良い結果は出ていない。


 フェリスの言う通り、例の回復ポーションの元になった液体へ聖男のジョブを持った俺の浄化魔法をかけたものを偵察部隊が遠距離からカースドラゴンの変異種に投擲してみたが、まったく効果がなかった。


 やはり他のキュアの魔法やリカバーの魔法のように、魔鉱結晶とポーションと回復魔法が反応した時に起こる発光現象が起こらなければ駄目なのかもしれない。


 こうなると、今アニックの街にいるユージャさんがいないのはかなりつらいところだな。元々例のポーションが完成したのはユージャさんのおかげだ。


 発光現象に気付いたのは俺だが、その原因を突き止めたり、他のキュアやリカバーの魔法をポーションに付与できたのはユージャさんが中心になって検証を進めてくれたからだ。一応そのあたりの知識に詳しい人も手伝ってくれているのだが、なかなかうまくはいっていない。やはりあれは回復魔法だけに起こる現象で、浄化魔法は駄目なのかもな。


「王都もだいぶ騒がしくなってきたぜ。最終的にはもっと多くの王都に住んでいたやつらが避難するんだろうな」


「王都に住んでいる人の大半は戦闘ができる人じゃないから仕方がないよ。その代わりに王都の近くの村や街から戦闘に参加できそうな人が集まってきてくれているからね」


 先日王都ではカースドラゴンの変異種のことを発表した。幸いなことにカースドラゴンの変異種の足は遅く、避難まで十分な時間があることをしっかりと説明をしたため、大きな騒ぎなんかは起きていない。


 王都に住んでいる住民は少しずつ他の村や街に一時的に避難をし始めた。そしてその代わりにカースドラゴンの変異種のことを住民へ発表する前に連絡をしていた王都付近に住んでいる腕利きの騎士や冒険者たちが、少しずつ王都へとやってきている。


 敵が未知のカース化しつつ変異種となったドラゴンということだが、国を想う多くの人が集まっているのはこの国が民衆に愛されている証拠だろう。


「一応聖魔法を使える人も集められているみたいだから、浄化魔法を付与できるようになれば、だいぶ被害を減らせると思うんだけどね」


 そしてカース化した魔物の唯一の対抗手段である聖魔法の使い手については、この戦いの要となるので、結構強引な感じで王都まで集められているらしい。


 聖魔法を使えるジョブは戦闘に適していない治療師なんかのジョブの人が多いから、希望者を集めてもほとんど集まらないだろうし、国の存亡にかかわることだから、当然と言えば当然か。


 できればその人たちが戦場にでないようにこれを完成させたいところだ。もちろん戦場に出たくないのは俺も同じである。出るとしても、後ろからの後方支援が限界だろうな。


「ソーマさん、こればかりは焦っても仕方がないことです。ここ数日あまり休んでないようですし、駄目元で考えるくらいがちょうどいいと思いますよ」


「……はい、デーヴァさん」


 確かにここ数日の睡眠時間はいつもの半分くらいだ。俺がいても専門的な素材のことは分からないから、浄化魔法のピュリフィケーションをかけるくらいしか役に立てないと分かってはいるのだが、浄化魔法を液体に付与できれば傷付く人が減ると思うと、どうしてもよく眠れないんだよな。


「ソーマは回復ポーションに回復魔法をかけているだけでも十分すぎるほどみんなの役に立っているんだからな。あんまり無理をして身体を壊す方がみんな困っちまうぜ」


「そうだね、フェリス。分かった、ちゃんと休みはしっかりと取るよ」


 これとは別に毎日何度かポーションへエリアヒールをかけている。聖男である俺が回復魔法をかけたポーションは他の人がかけるよりも大きな回復効果があるそうだからな。


 王都にある素材の分はすでに回復魔法をかけ終わったが、近くにある村や街からも素材を集めてくれているらしい。


 確かにフェリスの言う通り、ここで俺が無理をして倒れてしまう方がみんなに迷惑を掛けてしまうことになる。今は無理にでも身体を休めておかなければならない。


 カースドラゴンの変異種の近くにある村や街の住民は着々と避難をしているので、今のところ大きな被害は出ていないが、確実にカースドラゴンの変異種は王都へと近付いてきている。


最後まで読んで頂きまして誠にありがとうございます!

執筆の励みとなりますのでブックマークの登録や広告下にある☆☆☆☆☆での評価をいただけますと幸いです。

誤字脱字、日本語のおかしいところがありましたら教えて頂けますと非常に嬉しいです( ^ω^ )

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

【書籍第1巻発売中!】
(画像クリックで作品ページへ飛びます)

聖男


― 新着の感想 ―
[気になる点] >>「ユウスケさん、こればかりは焦っても仕方がないことです。ここ数日あまり休んでないようですし、駄目元で考えるくらいがちょうどいいと思いますよ」 [一言] ユウスケさんとは誰でしょう?…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ