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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第1章 学生時代・最低の出会い編
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間話1 現在:あの頃は思った以上に嫌われてたみたいです

 目覚めると隣に彼女は居なかった。

 起き上がり時計を見るといつも起きるより半時間ほど遅い。

 どうやら見事に寝過ごした様だ。

 慌ててベッドから起き上がり部屋から出るとエプロン姿で腕を組みこちらを睨む妻と出くわした。


「や、やあ、おはよう」


 ヤバイ、超絶似合っている。

 控えめに言って可愛すぎやしないか?


「おはよう。なかなか起きないから目覚ましにビームでも打ち込んでやろうかと思っていた所よ」


 それは命の危険があって割と洒落にならないので勘弁してほしい。

 ビームは魔法とは違う。各種『属性耐性』や『魔法防御』も適用されない。

 なので『ビーム耐性』のスキルが無いととんでも無い威力のものをくらう事になるのだが……そもそもそんなスキル、彼女の姉妹兄弟くらいしか持っていない。

 だから彼女は姉との喧嘩で普通にビームを使っていたわけだ……そして壁には穴が開く。そして親に叱られてしまう。


「ご飯、できてるから早く着替えてよね……」


「ああ、わかった。すぐ行くよ」


 そう言って寝間着のボタンを外し前をはだけた瞬間……


「バカ、ここで脱ぐな!部屋に戻って着替えなさい!!」


 彼女に蹴り飛ばされ、僕は部屋の中に戻された。



 朝食を摂った後、僕達は紅茶を淹れ談笑していた。


「砂糖……君は3つで良かったよね?」


「ん。ありがとう」


 付き合いも結構長いので彼女の嗜好も段々とわかって来た。

 彼女は甘党である。

 嫌いな味付けは酸っぱいものだ。

 


「そう言えば昨日、夢を見たんだ」


「夢、ね……」


 彼女は少し苦い表情になる。


「私にとって夢っていうのはあまりいい想い出が無いわ。ずっと悪夢にうなされてたから。眠りにつくのが怖かった……」


 かつての彼女は毎晩のように悪夢にうなされ飛び起きて泣いていたらしい。

 そんな時にはいつもケイト君とアリス君が傍で寝ていてくれたということだ。

 彼女がこうして僕の傍で笑っていられるもの彼女らのおかげだろう。


 実は今でも悪夢を見ているのではないかという時がある。

 ただ、そんな時彼女は目覚めるとそのまま僕に身を寄せて腕を抱いて眠ったりしていた。

 握力が半端なく強い一族なので下手をすれば腕を握りつぶされる恐れもあるのだがまあ、今の所大丈夫だ。

 これは世界中で僕にだけ許された特権だと思っている


「それで、どんな夢を見たの?」


「君と出会った頃の夢だよ。大人しそうで可憐な少女っていうのが第1印象だったよ。思えばあの頃から既に君に惹かれていたのかもしれないね」


「そう……私は最初、あんたが嫌いだったわ」


 ばっさりと切り捨てる辺り彼女らしい。

 だかこの言葉、裏を返せば『今は好き』という事だ。


「僕らは始まり方が最悪だったからね」


「いや、ドラゴンスープレックス以前からよ。あんたよくケイトの後をつけて私の居たクラスを見に来てたでしょ?しかも何回も。何というか寒いものを感じたわ」


 確かに興味深くて何回も見に行っていた。


「僕がこっそり見ていたのを気づいていたのか…………確かに冷静に考えると怪しかったかもしれないな」


「格闘技の授業でもじーっと私の方を見てたでしょ?正直怖かったわ」


 どうやら自分が思っていた以上に彼女に向けていた視線はバレていたらしい。

 初期好感度は相当低かった様だ。


「あ、あれは君のいきいきとした姿に思わず見とれてしまっていて……」


「何というか、欲望に満ちたいやらしい視線を感じた……」


 確かに体操着から覗く眩しい太ももに悶々としたことはあった。

 だが彼女への想いは純粋な恋愛感情だった。


「待ってくれ!確かに君の素晴らしい太ももに魅了されたが……」


「あーやっぱり太ももフェチだったか……私の太ももを欲望に満ちたいやらしい目で舐め回す様に見ていた人が今の夫……うわぁ…………」


 リリィ君が身体を抱いて身を震わせる。

 ヤバイ、彼女を怖がらせてしまったか。


「待って!ちょっとタンマ。誤解だ。君への想いは変わらぬ純愛であってそういったよこしまな思いはない!!」


「えーと、つまり結婚したての新妻に対して魅力を感じない、と」


「ええっ!?そ、そうじゃなくて!!」


 どんどん掘っているは墓穴が深くなっている。

 慌てふためく僕を見て彼女が声を上げて笑った。


「ごめんごめん。まさかそんなに慌てるとは思わなかったわ。まあ……太ももの件は少し引いたけど……」


 やれやれ、どうやら冗談だった様だ。

 本当にわからないものだ。

 それにしても彼女がこんな冗談まで言えるようになるとは。

 本当に彼女との愛は奇跡の連続だったと思う。


「それにしても本当に驚いたわ。ドラゴンスープレックスの後に出会ったあんたは何というか……」


「ふむ。見違えるほどのいい男に生まれ変わっていた、ということだね?」


「いえ、見違えるほどの『変態』にクラスチェンジしてたわ」


こぼれ話

家事は大体リリィがしています。

ナダ人は男性も割と家事が出来るのですがユリウスは得意ではありません。

仕事は出来るのですが家では割と残念な夫です。ただ、リリィに対する愛情は非常に強いくよき理解者です。


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