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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第1章 学生時代・最低の出会い編
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第5話 史上最大のミッション

 リリィ君の親との話し合いに両親が出ていった数時間後。

 僕は居間に呼び出された。

 

 相変わらず鋭い視線を向けてくる母上と困惑した表情の父上。


「さっき、リリアーナの両親と話し合い謝罪して来た」


「あれ、君、謝罪なんかしてたっけ?」


「おいおい、ノーマン。手前は一体何を聞いてたんだ。あたしが恥を忍んで謝罪してたじゃないか」


「あー、うん。そうだね……」


 父上は『もういいや』みたいな顔だ。

 まあ、いつもの光景だ。


「それで、話し合いをした結果だがな……モンティエロ家はあたしの代で終わりにする事にした」


「なっ!?」


 つまりそれは…………


「手前みたいなやつに家督を継がせる気はない。それこそ家名を汚す行為だ」


 僕はひとりっ子だ。

 その僕を後継者として認めないという事は必然的にそうなる。

 そして、この人は一度言いだした事を撤回するような人では無い。

 父上の様子を見れば確定事項であることがよくわかる。

 恐らく説得は試みたのだが失敗したのだろう。


「それで、だ。手前をレム家に婿として出す事にした」


 更に重ねられた言葉に僕は目を剥いた。


「レム家の婿だって!?」


 今まさに揉めているレム家に僕を……

 確かにあの家は女子が多い。

 だが貴族血統が平民血統の家に婿へ行くとは……いや、その血統云々の考えが今回の事態を引き起こしたのだ。

 その考えは捨てなければなるまい。


「母上……その、相手は誰なんですか?」


 ケイト君をバカにした責任を取って彼女の婿になれというのだろうか?

 いや、でも今の状況だと彼女の方からお断りされる気がする。

 多分好感度で言えば底値のはず。

 だとしたら三女のアリス君だろうか?

 それより下の妹達については知らないのだが……


「レム・ミアガラッハ・リリアーナ」


 思いがけない名前に言葉が出なかった。

 同時にまた彼女の涙が、そして僕に技を掛けていた時に震えていた事実が脳裏によぎった。


「一応、あっちの親と話し合った。最初は難色を示したが『当人同士が良いと言ったら』という条件を貰っている」


 当人同士を差し置いて何という話をしているんですか……


「手前はこれから、リリアーナの婿になれるよう努力しろ。それまでは家に置いててやる。だが手前が他の女にうつつを抜かしたり、リリアーナから完全に嫌われてどうしようもない状況に陥ったとあたしが判断した場合は家から放逐する。親子の縁も完全に切る。何処で野垂れ死にしようがあたしは知らん」


 凄まじい言葉の数々が飛び出した。

 多分、好感度の低さで言えばケイト君のさらに下を行く。

 というか正に『どうしようもない状況』の一歩手前か既にそうなっている可能性すらあるのだが……


「母上、ですが彼女は……」


「口答えをするな。手前が生まれ変わるにはリリアーナを射止める事が最重要だ。それが嫌だというのなら使用人たちを避難させてこの家に火を放つ」


「シャーリィ!?」


 凄まじく物騒な言葉に父上が慌てふためく。


「手前とあたしの息子だ。くだらん貴族意識に囚われて恥を重ねていく、努力すらしようとしないならこの手で始末をつけるのが親ってもんだろ?」


 そこまで過激な親というのも中々いないと思いますよ、母上。

 とは言え……


「わかりました。彼女と結婚できるよう。生まれ変わったつもりで努力します」


 彼女に謝りたい。

 そして彼女の事をもっと知りたかった。

 だから僕は……


こぼれ話

ユリウスの父親であるノーマンは『破界の聖拳使い』に登場したへっぽこ貴族アンブリス・ノーマンです。ユリウス同様かつては血統にこだわる男でした。

アンジェラにボコられた結果色々と目が覚め旧アンブリス領を取り戻す為に悪徳商人相手に主人公張りの活躍をしてその時に出会ったのがシャーリィです。妻にはいつも尻に敷かれています。

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