第2話 血統重視派
ケイトは美術の才能は無いですが基本的にスペック高い子です。
学業は
ケイト>ユリウス>リリィ>>アリスといった感じですね。
ユリウスに少し変態の兆しが見え始めています。
レム・ケイトリンは意外な事にクラスでも上位の成績を収めるほどの才女であった。
悔しい事にこの僕より成績は上だった。
明るく気さくな性格でクラスにすぐ溶け込み、女子の中では中心にいるようになった。
運動能力も高く、このクラスに配置されたのも納得いくレベルである。
男子にもそこそこ人気があった。まあ、確かに魅力的ではあると思う。
だが平民血統なのが残念であると思う。
彼女は昼休憩になるとクラスの女子の誘いを断り必ずどこかへ出かけていた。
何となく興味が沸き後をつけてみるとどうやら別のクラスにいる妹と食事をしていた。
そこにはこれまた他のクラスにいる三女のアリス君もやって来ていた。
次女の名はレム・ミアガラッハ・リリアーナ。
姉妹の中で貴族血統を持つ彼女は物静かな少女で姉と違いクラスにあまり馴染めていない様だった。
そして何度か観察していて気付いたがどうやら彼女は男子を避けている様だ。
姉と妹は彼女に男子が近づかないようにガードしていた。
なるほど、妹に悪い虫がつかないようしているというわけか。
人見知りが激しい次女だが姉妹が一緒に居る時は明るく笑ったり怒ったりと表情がコロコロ変わっていた。
少しだけ羨ましく感じた。兄弟姉妹は居ない一人っ子だ。
弟や妹が居たらあんな感じであったかもしれない。
そういうわけなので時折、彼女らの様子を見に行き仲の良い様子を陰から見ていた。
ちょっとした楽しみでもあった。
ひとつ気になったことがある。
ずっと見ているわけでは無いが彼女らは昼休みに必ずトイレに行っていた。
しかも3人揃って。女子というのはわからないものだ。
何故トイレごときで連れを作りたがるのだろうか?
格闘技の授業はクラス合同になるのだがそこで次女であるリリィ君の意外な一面を見た。
大きな大会に出場して優勝した経験もある我がクラスの女子相手に大立ち回りを演じていたのだ。
どうもレムの3姉妹は格闘技が得意らしい。
ケイト君も同じように格闘技のセンスが高かった。
普段とは違い水を得た魚の様に生き生きとしたその姿はとても眩しくつい見とれていた。
後、体操着から覗く健康的な太ももを見てその次の授業は何か悶々とした気持ちと戦う羽目になった。
名門モンティエロ家の嫡男たる僕が何という様だろうか。
いや、だが父上も言っていた。
『太ももは正義だ』
中々のパワーワードだが何となく理解出来た気はする。
それにしても可憐な姉妹だ。
平民で無ければお近づきになりたいくらいだ、と残念がったものだ。
□
さて、長姉であるケイト君の存在はクラス内で大きくなっていった。
そんな彼女を疎む者たちが居た。
それは僕を中心とした血統重視派の男子だ。
かつては女子も所属してたがいつのまにか彼女と仲良くなっていた。
「ここいらで少し痛い目に遭わせた方がいいんじゃないか?」
ある日、仲間のひとりが言い出した。
「痛い目だって?あのね、君。平民とは言え女性の暴力を振るうなどそれこそ貴族の風上に置けないよ?」
「そうじゃない。貴族と平民は住む世界が違うって思い知らせてやるのさ」
息まく彼だが正直難しいと僕は感じていた。
まず先ほども述べた通り彼女は才色兼備だ。
血統重視派の誰よりも成績が良い。
しかも平民ながらも家はかなり裕福で大きな屋敷に住んでいた。
「あの女さ、ユリウスに気があるみたいだろ?だからそれを利用するのさ」
「ケイト君が僕にね……」
あのケイト君が……残念でならない。
妹程ではないが彼女の太もももまた素晴らしい正義だった。
だが付き合う相手はやはり家の発展に利する相手でなければならない。
彼女が平民でなく貴族であるなら喜んで声をかけた所なのだが……
「なぁ、ユリウス。貴族と平民の違いってのを教えてやるのもまた貴族に生まれた者の務めだと俺は思うぞ?」
なるほど、彼の言う事も一理ある。
貴族血統と関わるという事は最終的にその社会に加わる可能性がある。
礼節や行儀、しきたりにうるさい世界だ。
平民として育った者には酷だろう。
「な、お前は持って生まれた選ばれた存在なんだ。どうすればいいか、わかるか?」
彼の言葉がゆっくりと僕に染みわたっていく。
そう、これは僕の使命なのだ。
いずれはモンティエロ家を背負い生きていく僕の使命なのだ。
こぼれ話
ユリウスを焚きつけていた生徒のひとりは「ノジーニ・アリ」という男子で実はリリィの家出を誘発するためにレム家の宿敵であるイシダ・シラベが操っていました。