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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第4章 学生時代・ダンジョン課題編
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第20話 〇〇しないと出られない部屋

 ダンジョン課題in神殿。

 僕が危惧した通り、リリィ君は教師達が意図していない攻略を始めた。

 刻まれた矢印の方向に滑る床があるフロアがあった。

 正しい順番で乗って行かないとゴールにたどり着けないそのフロアに無数の障害物を錬成して配置するとその上を飛び石の様に飛んでクリアした。

 

 屈強なガーディアンが立ちはだかる通路があった。

 実は離れた部屋にあるレバーでガーディアンが立つ床を入れ替えればいいのだが彼女はガーディアンを撃破して先へ進んだ。

 

 半円を転がり続ける鉄球が阻むエリアがあった。

 彼女は鉄球を殴り飛ばし無理やり止めた。


 絶対、これは想定外のクリア方法だ。

 おかげで半時間後には大分奥まで到達していた。

 

 そうしてやってきたのは二手にルートが分かれた部屋。

 入り口には二人一組で別れて入り、部屋の中にある課題をクリアせよというものだった。

 良かった。これなら無理矢理突破することは無いだろう。

 話し合った結果、僕とリリィ君が組むことになった。

 理由は……


「だって、戦闘系の課題だったらあんたは詰む。他の2人と組ませて足を引っ張らせるのも悪いし」


 まあ、確かにこの神殿内の疑似モンスターは魔法防御が高いから魔法使いの僕では厳しいところがあるからね。


 そうして踏み入れた部屋は思ったより狭かった。

 扉が自動で閉まり出口の上に文字が浮かぶ。  


『相手をハグしないと出られない部屋』


 瞬間、リリィ君がハンマーを錬成して力の限り出口の扉を殴りつけていた。


「くっ!特殊な術式が掛けれらていて攻撃が無効化されている!?」

 

 彼女はめげずにありとあらゆる攻撃を繰り出すが攻撃は通らない。


「か、課題のくせに生意気な!!」


 いや、普通は力技で突破しないからね。

 だがそれにしても……よりによって『ハグ』か。


 恐らくちょっとしたお遊び感覚で配置した部屋なのだろう。

 だがリリィ君にとっては悪夢のような課題だ。

 彼女は男性に恐怖心を抱いている。

 だから無暗に触ることは出来ない。僕がしたらスープレックスものだ。

 ちなみにスープレックスを喰らうのは僕くらいで、他の男がそれをやった場合は彼女がへたり込んでしまう。

 だから極力接触が無い様、彼女の姉妹や僕達がガードしているわけだが……

 

「し、仕方ない。ハグよ!ハグしましょう!!さぁ!!」


 リリィ君は半ばやけくそになった感じで叫ぶ。

 だが目を瞑った状態で完全に直立して固まっていた。

 ぷるぷると少し震えてすらおり少し可愛らしい。


「…………リリィ君……リタイアしよう」


「はぁ!?な、何でよ!?」


「僕にとって君は大切な人だ。君が嫌だと言ってもそれは変わらないよ?だからこそ、君にとって辛くて苦しい事をさせたくは無いんだ」


「で、でもこれは卒業に必要な課題で……」


「リタイアすることで評価は下がるだろうがレポートなりで挽回すればいい。僕にとっては君が傷つく方が我慢できないよ」


 沈黙。


「私は……」


「済まない。こういった展開を予測して君を女子と一緒に部屋に入れるべきだった」


「いや、あんたを連れて入るって言ったのは私だし……やっぱりこのままリタイアすると他の2人に申し訳ないし」


「大丈夫さ。二人で一緒に謝ろう。きっとわかってくれるさ!!」


 そう言った僕は思わず彼女の手を取っていた。


「あっ……」


 次の瞬間だった。

 ほとんど反射で背後に回った彼女のドラゴンスープレックスが決まった。

 まあ、しっかりと受け身は取ったけどね。


「全く!あんたはちょっといい事を言ったかと思ったら……あれ?」


 出口の扉は開いていた。


「もしかして……ドラゴンスープレックスのホールドをハグと認識した?」


「そ、その様だね……」


 肩を鳴らしながら僕は立ち上がる。


「というかあんた、本当に受け身が上手くなったわね」


「はーっはっはっは!何せ僕は、君の夫になる男だからね」


「さらっと目的をランクアップしないでよ。やれやれだわ。こんな事ならさっさと投げておくべきだった」


 そうして部屋から出ると別ルートに進んでいた二人が顔を赤くして待っていた。

 何やら距離も近い気がする。

 まあ、恐らく似たような課題が出されていたのだろうね。


「何かふたりとも顔が赤いみたいだけど……」


「リリィ君。そこは察し給え」


 僕に言われハッと気づいた彼女は……


「わ、私達はその。投げただけだから!こいつを投げたら扉が開いたから」


 いや、もう意味が分からないよ。


□□


 その後、最奥に辿りついた僕達を待ち受けていたのは……


「ミス・レム!君達レムの姉妹は何でダンジョンをめちゃくちゃにするんですか!!」


 教師の雷だった。


「ミスター・モンティエロ!君もです。ちゃんと手綱を握っていなさい!!!」


 ついでに僕も怒られた。

 結果として一応課題はクリアしたものの互いの親が呼ばれ先生たちに平謝り。

 僕達はそれぞれ一ヶ月間掃除当番に固定される事となった。

こぼれ話

ユリウスとリリィの関係は限りなく恋人同士に近いもの、というのが教師達の認識です。

なのでリリィの暴走を止めるのはユリウスの役目、となっているのです。

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