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【完結】「最低」から始まる二人の異世界恋愛譚  作者: HOT-T
第4章 学生時代・ダンジョン課題編
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第19話 課題荒らし

 ダンジョン課題当日。

 僕らはラシュトル湖上に浮かぶ課題ダンジョン、『神殿』にやってきていた。

 学校の課題用に作られたダンジョンである疑似モンスターなどが生息している。


「ねぇユリウス、あんたふざけているわよね?」


「ふふっ、何がかね?」


「その格好よ!ブーメランパンツ+前をはだけたシャツとか変態極まりない!!」


「これはモンティエロ家の正装だよ?ダンジョン課題という大舞台なのだからやはり正装が必要かと思ってね」


「……ごめん。あんたが変態だって事忘れてたわ」


「何ッ!?変態がいるだと!?安心したまえ。僕が守ってあげようでは無いか。さあ、僕の後ろに隠れるんだ!!」


「学校の課題じゃなければこのまま湖に沈めてやるのに……」


 うん。今日も彼女は絶好調な毒舌だね。

 一方他のパーティメンバーは青い顔をして『色々と終ったかも』と呟いている。

 やれやれ、始まる前から諦めていてはいけないのだがね。

 

 



 神殿の大扉は閉ざされている。そして傍に立つ石碑には謎の文字が刻まれていた。


「何だろうこの文字、読めないね」


 回復役のローリーン君が首を傾げる。

 古代文字の一種だろうか?

 しかしどこかで見た事がある気もする。

 

 すると試験管の教師が現れ説明を始める。

 神殿に入る為にはこの石碑に刻まれた謎を解く必要があるようだ。

 ヒントは外廓から侵入できるエリア内に分散しておかれた壁画に記されているという。


「なかなか面倒だな……」


 アーチャーのヘクタイン君も唸る。

 ところでさっきから気になっているのだがリリィ君は難しい顔で黙って石碑を眺めていた。


「とりあえずヒントを探すとしよう。行こうか、リリィ君」


 しかし彼女は返事をせず扉の周りを見渡し飾られた石像のひとつに歩み寄っていく。

 案内役の教師の表情が少し固くなるのが見えた。


「リリィ君?」


 双頭の鷲を模した像。

 その右側の頭に触れ時計回りに回し始める。

 教師の顔がますます強張る。

 更に左側の頭も逆時計回りに回していると……


 ガチャッ!

 音を立てて閉ざされていた扉が開く。

 

「はい、開いた」


「いやいや、リリィ君。何で!?もしかしてその石碑が読めたのかい!?」


「ん。これ、『日本語』だったわ」


「ああ、なるほど。そういう事か」


 謎の文字の正体。

 それはリリィ君のルーツである異世界『地球』の言語だ。

 かつて異世界へ家出した彼女を迎えに行った際、見た覚えがある。

 あの時は一時的に神から『言語理解』スキルを貰っていたので読めていた。

 彼女を連れてこちらに戻った際、スキルは返却したのだが……


 リリィ君はそもそも『日本語』が『読める』。

 幼い頃より興味を持ち父親から学んでいたのだ。

 だからそもそも自分で習得したスキルなので神に返却する事はなく現在もこうやって解読できているわけだ。


「異世界言語、読めるんだ……」


「時間は大幅に短縮できたけどこれってありなのかな」


「まあ、読めるものは仕方がないんじゃないかな……」


 彼女を見ると少し誇らしげだ。

 対照的に教師は顔が引きつっていた。


「どうなってるんだレムの家は……『迷宮』は一番上の姉がモンスターを薙ぎ払いながら最短距離で壁を壊しながら突破するし『塔』は三女がまさかの外壁を上って上まで行くし……」


「ウチの姉と妹が課題荒らしして迷惑をかけているようですいません」


 ぺこりと頭を下げるリリィ君だが彼女も大概だと思う。

 別にずるをしているわけでは無いのだが何というか課題の主旨には沿っていない気がする。


「流石に壁を壊したり、昇ったりはしないわよ。そこまで無茶苦茶な事はしないわ」


 そうだね、と相槌を打ちつつ僕は確信していた。

 もう何というか『絶対そんなはずがない』。

 彼女が、レムシスターズが『大人しくダンジョンをクリアするわけがない』。

こぼれ話

RPGで行き先が見えているのに遠回りしないといけないという事がよくありますよね。

レムシスターズはそれを物理で解決していくスタイルです。

一応、ルール違反では無いというか想定されていなかった事態だったので合格にはなっていますがこの年以降、様々なルールが追加されたといいます。


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