第18話 彼女は物理職?魔法職?
「いよいよ来週はダンジョン課題だ。各々気を引き締めてかかるように!!」
教師の言葉が教室に響く。
ダンジョン課題。
それは我が校の伝統的なカリキュラムのひとつ。
学園が用意している4種の模擬ダンジョンのうちひとつをパーティを組んで攻略するというものだ。
ダンジョンは
『塔』
『迷宮』
『神殿』
『墓場』
となっている。
そしてパーティメンバーだがあらかじめくじ引きでグループを割り振られ決められている。
僕が引いた番号は20番。
早速20番を引いた生徒の集合場所に行くと……
「げっ……!」
「やぁ、リリィ君。奇遇だね。まさか君も20番だとは……」
僕にとって運命の女性、リリィ君がポツンと立っていた
「うーん、これはもしかしたら05番の身間違えかもしれないわね」
彼女は自身の札を凝視する。
「はっはっはっ!残念ながら20番だね」
「この課題、棄権するわ」
「いやいや、卒業に必要な単位だよ?」
僕の言葉に彼女は苦い顔をした。
「棄権をすれば他のメンバーにも迷惑がかかるよね?それに考えようによっては僕と一緒で運がいいかもしれないよ」
「どういうことよ?」
「君はそれでなくても男性恐怖症だろう?でも僕ならある程度の連携も取れると思うのだがね」
「うっ……た、確かに。あんたならまあ、多少は気心も知れてるし。全く知らない男3人とかに囲まれたりするよりはるかにマシね」
「わかってくれて良かったよ」
その後、他にふたりの生徒がやって来た。
弓兵職のアーチャーであるヘクタインは街の警備兵をしている。
回復職のシスターであるローリーンは教会の娘だ。
簡単な自己紹介の後、どのダンジョンに挑むかを話し合う。
「墓場は絶対嫌!」
ローリーン君の主張にリリィ君が反論をする。
「だけどアンデッド系モンスターが多い墓場はシスターにとっては得意分野じゃないの?」
「そうかもしれないけど、聖魔法はあんまり覚えていないし……何よりキモイのは嫌!!」
「なるほど。そこは同意するわ」
効率を重視する傾向のあるリリィ君が周囲とぶつからないか心配だったが意外と大丈夫そうで安心だ。
「だけどダンジョンは慎重に選ぶ必要があるわね。何せ魔法職が3人なんだから……」
「おや?ちょっと待ってくれ。ヘクタイン君は確かアーチャーだよね?」
「ああ、そうなるぜ」
となると物理職、魔法職2名のバランスが取れたパーティじゃなかろうか?
「ユリウス、あんた確かに運動は出来る様だけどメイジでしょ?だから魔法職は3人よ」
うーん、これってもしかして。
「リリィ君。君はもしかして自分を魔法職にカウントしてやしないかい?」
「何でよ。当り前じゃない」
「いや、君はどう考えても物理職の前衛だよ?」
彼女のクラスはアルケミーケンプファ―。
その特殊性ゆえに実質彼女の専用職となっている。
「アルケミストは魔法職でしょ?」
「いや、でもほら、『ケンプファー』ってついているし。多分君のスキルも前衛向きだよ?」
「失礼ね。それなら私のスキルを調べてみようじゃないの!!」
ということで学内にあるスキル鑑定施設で調べたのだけれど……
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レム・ミアガラッハ・リリアーナ
【所持スキル】
格闘術Lv3
関節技Lv4
剣術Lv2
弓術Lv2
槍術Lv2
馬術Lv3
風魔法Lv3
ビームLv3
etc……
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「ほらね?」
彼女は表情を歪めていた。
「た、確かにこれは物理職のスキルよね……」
ローリーン君が苦笑いし。
「弓術が俺より上だし……」
ヘクタイン君が少し落ち込んでいた。
それにしてもリリィ君、まさか自分が物理職だという自覚が無かったとは。
基本的にどんな武器を持たせてもしっかり扱えるし馬術も得意だ。
そして特徴的なのは『関節技』。
これについてはほぼ上位互換の実力を持つ姉のケイト君よりも上。
ついでに言うとこのスキルを持っている人間は知っている限り3人。
ひとりはリリィ君。そして後二人は彼女の姉と妹、ケイト君とメール君のみだ。
そもそも『関節技』というスキルの存在自体彼女らに会うまで知らなかった。
後は『ビーム』というスキルも実質彼女ら専用だ。
まあ、それにしても改めてみるとオーバースペックだね。
その後話し合いを続けた結果、課題で挑むダンジョンは『神殿』に決定した。
こぼれ話
この世界には様々なクラスが存在します。
父親であるナナシの『タフガイ』やリリィの『アルケミーケンプファー』などです。
レム家の面々だけで専用職が数個存在するのでギルドでは纏めて『レム・クラス』と呼ばれています。




